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懇話会活動

会告


令和6年度活動報告

総会・第258回講演会
日 時 2024(令和6)年4月25日(木)13:00~17:15
場 所 Zoomでのオンライン開催
総 会 2023年度事業報告および決算収支報告の承認。2024年度事業計画および予算の決議。
テーマ 『次世代リソグラフィ技術の展開』
  テーマの下、次の3件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
13:30~14:30 1. 「EUVリソグラフィの現状と課題」
EUVリソグラフィの概要とBeyond EUVへの将来展開および目指すべき半導体業界の将来像
兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
EUV リソグラフィ( EUVL )技術は 2019 年より量産適用された。先端半導体製造では前工程の素子の3次元構造、並びに後工程の3次元実装が重要な技術となっている。前工程の微細加工技術では IRDS のロードマップによると 0.7 nm 世代まで EUVL が量産適用されることになっている。さらなる微細化に向けて、様々な技術課題がある。この技術の現状およびそれを取り巻く環境、並びに次世代のByyond EUVLも含めた今後の展開について概説していただいた。
13:40~15:40 2.「EUVLレジストプロセスの最新動向」 大阪大学 産業科学研究所 教授 古澤 孝弘氏
EUVレジストを中心に、材料およびプロセスの開発が精力的に進められている。現世代の材料ではレジスト主要性能である解度・ラフネス・解像度間のトレードオフ関係の打破が最大の課題であった。次世代では確率統計欠陥の抑制が最大の課題となっている。これらの課題解決に向けた最近の研究動向、将来展望などを含めて概説していただいた。
15:50~16:50 3.「先端感光性材料の現状と今後」 東洋合成工業 感光材研究所長 榎本 智至 氏
感光材を主力製品としてフォトレジスト材料の製品開発を行っている該社では、品質要求の最も厳しい最先端のEUV(極紫外線)レジスト向けの感光材においてもニーズに応える製品供給に注力している。今後のレジスト材料開発を進めるうえでの研究課題、将来展望などを含めて概説していただいた。次世代メタルレジスト材料として、スズを含むレジストの開発が期待されている。本講演では、高分子側鎖に有機スズ化合物を持つEUVレジストを用いた電子線パルスラジオリシス法と、ガンマラジオリシス法を用いた生成物分析によるスズ化合物の放射線化学反応解析についても報告していただいた。
16:50~17:15 総括討議

第259回講演会
日 時 2024年6月13日(木)13:00~16:50
場 所 Zoomでのオンライン開催
テーマ 『パターニング材料・技術の新展開』
電子材料、印刷、接着、医療など幅広い産業に利用されるフォトポリマーは、社会や市場のニーズに応えるため、より高度な機能や技術が求められている。そのため、新しいパターニングや光応答性材料に関連する技術も次々に提案され、基礎検討や社会実装に向けたアプローチが進められている。今回、「ナノ結晶パターニング、偏光UVアシスト蒸着重合、光細胞操作、プリンテッドエレクトロニクス」に関する新技術について、4名の先生方に講演頂いた。また、講演後、参加者と質疑応答を実施し、活発な議論を通して本分野の理解を深めることができた。
講演内容 1.「モノマーの光重合によるナノ結晶のパターニング」 京都工芸繊維大学 中西 英行 氏
近年、合成技術の発達により、様々な機能を持った金属や無機のナノ結晶が合成されるようになっている。今回、新たに開発されたナノ結晶をポリマーフィルムにパターニングする独自の技術・方法について、ペロブスカイト量子ドットをパターニングに適用した例を中心にしながら、原理からメカニズム、特長や課題をわかりやすく紹介頂いた。
2.「偏光UVアシスト蒸着重合による螺旋配向高分子半導体薄膜」 静岡大学 久保野 敦史 氏
真空中で加熱気化させたモノマーを基板上で反応させて高分子薄膜を作製する蒸着重合法を応用し、成膜時に偏光紫外光を照射し、高度に配向された高分子薄膜を作製する偏光UVアシスト蒸着重合法について、詳しく説明頂いた。また、最新の研究成果である偏光方向の多段階制御によるポリアゾメチン薄膜の疑似螺旋構造の形成についても紹介頂いた。
3.「フォトポリマーが拓く新しい光細胞操作技術」 産業技術総合研究所 須丸 公雄 氏
光は、対象に対して局所的・遠隔的・即時的に作用させることができる優れた制御手段であり、近年、光制御バイオシステムの実現を目指して、新しい技術の開発が活発に進められている。本講演会では、光水溶化や光ゾル-ゲル転移をはじめとする様々な光応答物性変化を有するポリマー材料と、これらを用いて実現した新しい光細胞操作技術について詳しく紹介頂いた。
4.「プリンテッドエレクトロニクスの新展開」 物質・材料研究機構 三成 剛生 氏
プリンテッドエレクトロニクスでは、これまで主に使われていた銀ナノ粒子インクから、銅をベースとした金属インクへと転換期を迎えている。本講演会では、物質・材料研究機構で開発し、NIMS発ベンチャー企業プリウェイズから社会実装を進めている新Cu-Ni錯体インク技術についてわかりやすく説明頂いた。

第34回フォトポリマー講習会
日 時 2024年 8月29日(木)【基礎編】・8月30日(金)【応用編】
場 所 Zoomでのオンライン開催
  二日間にわたってフォトポリマー各分野から10件の講義が行われ、68名の聴講参加申し込みがあった。また、各日、講師ごとのブレイクアウトルームが設けられ、活発な質問討論が行われた。
Ⅰ.基礎編 1.「光化学の基礎と分子デザイン」 成蹊大学 稲垣 昭子 氏
フォトポリマーのフォトの部分、すなわち光反応の基礎について平易に講義された。光と分子との相互作用、分子間のエネルギー移動や電子移動、増感反応などの基礎的な概念をとてもわかりやすく解説された。光反応分子の設計例として金属錯体の光化学反応とこれらを用いた酸化的還元的消光サイクルによる重合反応などについて明快に説明された。
2.「光開始剤によるラジカル生成とその反応素過程に対する高速ESR分光観測」 神奈川大学 河合 明雄 氏
反応中間ラジカルの直接的検出法である時間分解ESRやパルスESRの原理や測定例についてわかりやすく解説された。時間分解スペクトル観測の現象原理の説明や歴史の説明からはじまり、光ラジカル開始剤からのラジカル生成過程とモノマーへの付加反応の観察、さらに電子スピンエコー観測することによってラジカル付加反応の反応速度定数を決定し、それらの産業的応用についても議論された。
3.「ポリマーの光化学と特性」 大阪公立大学 岡村 晴之 氏
高分子中と低分子の光物理化学を比較し、溶液中と高分子固体中の光反応の差異についてわかりやすく説明された。特に、ポリマーの光分解について中心に解説され、ポリアクリレートとポリメタクリレートなどの光反応の比較や、分解反応の温度依存性、光安定化や光フリース転移、典型的なポリマーの光分解メカニズムについて詳しく述べられた。
4.「リソグラフィ技術の基礎とフォトレジストの材料設計」 大阪大学 遠藤 政孝 氏
光リソグラフィ技術を構成する要因である、露光、マスク、反射防止やハードマスクなどにおける特有な課題についてわかりやすく説明し、これらを解決してきた技術史を明瞭に解説された。さらに、微細加工技術のロードマップから、技術の変遷に対応してきたフォトレジストの材料設計について、その要点をわかりやく説明された。また、現在最先端である発展著しいEUVレジストについてメタルレジスト、ドライレジストなども含めてその特徴や課題について解説された。
5.「フォトポリマーの特性評価」 リソテックジャパン(株) 関口 淳 氏
フォトポリマーの特性評価技術、特に化学増幅レジストにおける脱保護反応、現像中の膨張、酸発生剤からの酸発生や酸拡散の挙動の測定法について、開発された測定装置や結果例を示され、それらから構築された反応モデルについて具体的に解説された。
Ⅱ.応用編 6.「光開始剤の基礎と反応」 BASFジャパン(株) 鮫島かおり 氏
光開始剤、特に光重合開始剤、なかでも光ラジカル開始剤を中心にその分子構造や反応について詳しく解説された。光硬化技術と光重合特性を決定する要因や、光重合開始剤の種類、代表的なラジカル開始剤の量子収率などの基本データや生成ラジカルの反応性など、具体的にその特性について詳しく紹介された。また、増感反応の設計やカラーレジストへの応用例についてもわかりやすく解説された。
7.「光酸発生剤と先端フォトポリマー材料への応用」 富士フイルム(株) 土村 智孝 氏
光酸発生剤とそれを用いたフォトポリマー材料を中心に解説された。非イオン性、イオン性などの光酸発生剤の種類と具体例と反応メカニズム、フォトポリマー材料中の反応例について解説し、最近の高度なさまざまな機能化が進められている例を整理して紹介された。さらに、先端フォトポリマー材料への応用例として、電子移動増感系を用いるスルホニウム塩光酸発生剤のアニオン部の分子設計などについて解説し、近赤外光源に対応したグラフィック材料への応用や、EUVレジストの光酸発生剤の設計と応用について紹介された。
8.「感光性耐熱材料の開発と事業化」 三井化学(株) 表 利彦 氏
研究中の偶然から初めて見出したニフェジピン誘導体の反応から展開した新規感光性ポリイミドの開発と、それに続く新事業開発に関する内容を、企業内での立場とその時の失敗や勇気づけられたことなど自らの体験を交えてお話しされた。単なる材料の基礎研究に留まらず、実用材料の開発、さらに、その材料を用いた部材開発、そして最終的には、当時世界初のハードディスク部品の開発に至るまでの事例を紹介され、企業研究者としてのロールモデルとしても価値のあるお話をされた。
9.「微細加工用レジスト」 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
半導体とは何かにはじまり、動作原理やデバイス構造・性能を平易に解説し、半導体の市場や微細加工技術の必要性について説明された。長年の開発の末、実用化に至ったEUVリソグラフィプロセスについて、詳しく解説された。現在、最先端半導体加工技術となったEUVリソグラフィの必要性や、その課題と展望について各プロセス要因から解説された。さらに、将来のEUVの短波長化の可能性や、日本の半導体技術や産業復興に向けた取り組みについて、課題と提案を述べられた。
10. 「トピックス 光オンデマンド法の展開」 神戸大学 津田 明彦 氏
クロロホルムと酸素の混合物に紫外光を照射することで、クロロホルムの光酸化生成物が定量的に発生することを見出したことから、これを展開し、汎用性のある独自の光オン・デマンド合成法を構築された。当初から環境・社会問題解決の観点から進めてきた研究開発経緯について説明された。現在、安全・安価・簡単かつ高効率な反応システムを構築し、ホスゲンが関与できるほぼすべての合成反応に実用レベルで展開可能なことを示された。さらに、メタンを出発物質にすることや、可視光源照射の反応システムも開発し、社会実装への意欲的な展開についても力強く紹介された。

見学会・第260回講演会
日 時 2024(令和6)年9月12日(木)14:30~17:00
場 所 太陽ホールディングス株式会社・嵐山(らんざん)事業所
見学会 静寂な環境に恵まれた場所にある新開発棟と研究棟を見学させていただいた。始めに太陽ホールディングス、嵐山事業所の概要説明を後藤様にしていただき、太陽ホールディングス・高様による講演の後、実験設備、オフィス等をご案内いただいた。最新の建物での講演、ガラス張りの環境での会議室、実験設備など何事もオープンにするという太陽ホールディングス様の意識を肌で感じることができた。
第260回講演会 再配線用フィルムについて 太陽インキ製造株式会社 高 明天 氏
ソルダーレジストの概要を材料面、使い方で説明いただいた後、現在、最先端パッケージで使われている再配線用の絶縁材料について解像性能、絶縁信頼性、使い方などについて講演をいただいた。
参加者 13名

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令和5年度活動報告

総会・第253回講演会
日 時 2023(令和5)年4月20日(木)13:00~17:00
場 所 Zoomでのオンライン開催
総 会 2022年度事業報告および決算収支報告の承認。2023年度事業計画および予算の決議。
テーマ 『先端・次世代リソグラフィ技術』
  次世代リソグラフィ技術(1件)、レジストの技術動向(2件)について講演を企画した。半導体は国家安全保障や経済安全保障上重要な技術です。この中で、リソグラフィ技術は重要な技術であり、EUVリソグラフィ技術、レジストの材料・プロセス技術量産の最新動向および今後の展開について解説頂いた。また、ご講演の後、ブレイクアウトルームで参加者と質疑応答を実施し、理解および交流を深めることができた。
講演内容 1. 「EUVリソグラフィ技術の現状およびその取り巻く環境、今後の展開」 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
EUVリソグラフィ(EUVL)技術は2019年より量産適用された。先端半導体製造では前工程の素子の3次元構造、並びに後工程の3次元実装が重要な技術となっている。前工程の微細加工技術ではIRDSのロードマップによると0.7 nm世代までEUVLが量産適用されることになっている。さらなる微細化に向けて、様々な技術課題がある。この技術の現状およびそれを取り組む環境、並びに次世代のリソグラフィも含めた今後の展開について紹介した。
2.「EUVレジストにおけるストカスティック課題に対する最新動向」 富士フイルム(株) 藤森 亨氏
2019年に量産適用されたEUVリソグラフィだが、その適用レイヤーは限られており、EUVリソグラフィの発展、展開はまさにこれからである。EUVリソグラフィ発展に欠かせないフォトレジスト材料への要求課題も山積であり、その課題を解決していくことが、半導体業界発展にとって極めて重要である。EUVレジスト特有のストカスティック課題に対する最新動向を紹介頂いた。
3.「EUVレジストの軌跡と今後への期待」 JSR(株) 丸山 研 氏
EUVリソグラフィ時代が到来し数年が経った。EUV用フォトレジストは従来の化学増幅型レジスト(CAR)と、新たに注目されているメタルオキサイドレジスト(MOR)の2タイプに大別される。講演ではこれまでのEUVレジスト開発を振り返中で、上記した2タイプのレジスト開発の現状と課題について、また今後の展望についても紹介頂いた。
ブレイクアウトルーム 全講演者
聴講者と個々のご講演者が個別に質疑応答や意見交換をする場として「ブレイクアウトルーム」にて提供をさせて頂いた。多くの方々が講演内容についてさらに理解を深めることができた。

第254回講演会
日 時 2023年6月16日(金)13:00~16:50
場 所 Zoomでのオンライン開催
テーマ 『光反応・重合技術の新展開』
電子材料、印刷、接着、医療など幅広い産業に利用されるフォトポリマーは、社会や市場のニーズに応えるため、より高度な機能や技術が求められている。そのため、新しい素材、光反応・重合技術も次々に提案され、基礎検討や実用化に向けたアプローチが進められている。今回、「開始剤、光反応、光重合」に関する新技術について、4名の先生方に講演頂いた。また、講演後、参加者と質疑応答を実施し、活発な議論を通して本分野の理解を深めることができた。
講演内容 1. 「近赤外光を光源とする開始剤の検討とフォトポリマーへの応用」 サンアプロ株式会社 白石 篤志 氏
近赤外光を光源とするフォトポリマーの開始系(ヨードニウム塩と増感色素)の研究内容に関して、基礎研究から最近のトピックスも含めて詳しく講演頂いた。また、アニオン種の影響、反応機構や用途展開に向けた課題についても議論頂いた。
2.「動的光重合による分子配向制御」 東京工業大学 宍戸 厚 氏
機能性フィルムの創製においては、液晶をはじめとする機能性分子の精緻な配向制御が重要である。今回、新たな原理に基づく光配向法について講演頂いた。空間的な強度分布を有する非偏光を用いた光重合により、簡便なプロセスで大面積一軸分子配向や二次元分子配向パターンを誘起し、光学機能や力学機能を備えた材料を一段階で創製することが可能になっている。
3.「新規パーオキシドフリーレドックス重合開始剤」 三井化学株式会社 髙橋 一生 氏
一般的なレドックス重合開始剤はパーオキシド系を酸化剤として用いるが、保管安定性に問題があり、パーオキシドフリーの重合開始剤の開発が求められている。本講演会では、サッカリン酸化剤、アミン還元剤、銅錯体触媒を用いた新規な重合開始システムについて詳しく紹介頂いた。また、ラジカル種の構造、反応機構や歯科材料への応用用途についても説明頂いた。
4.「光オン・デマンド合成法を用いるポリマーや医薬品中間体の合成」 神戸大学 津田 明彦 氏
ホスゲンは、ポリマーや医薬品中間体の化学品合成原料として用いられているが、極めて高い毒性を持つため、製造に大きな制約がある。本講演会では、汎用有機溶媒のクロロホルムと酸素の混合物に光を照射するホスゲンの光オン・デマンド合成法について紹介頂いた。バッチおよびフロー反応システムを構築し、安全・安価・簡単かつ高効率で、ポリマーなど種々の化学品を実用スケールで合成できることを説明頂いた。

第33回フォトポリマー講習会
日 時 2023年8月24日・25日
場 所 Zoomでのオンライン開催
  2日間にわたって基礎編、応用編の10件の講義が行われ、86名の聴講参加申し込みがあった。また、各日の最終プログラムとして講師ごとのブレイクアウトルームが設けられ、講師ごとの質問等も行われた。構成はフォトポリマーに関する各分野の内容を網羅し、フォトポリマー技術全般が解説された。
Ⅰ.基礎編 1.光化学の基礎と分子デザイン 成蹊大学 稲垣 昭子 氏
フォトポリマーの反応についての基礎となる光化学について、光吸収や分子の励起などの光と分子との相互作用、励起分子からのエネルギーや電子の移動、増感反応など基礎的な現象や概念を非常にわかりやすく丁寧に解説された。光反応分子の設計例として金属錯体の光化学反応、photoredox錯体とこれらを用いた酸化的還元的消光サイクルによる光触媒的有機合成反応例について説明された。
2.光開始剤の基礎と反応 BASFジャパン(株) 鮫島かおり 氏
光開始剤の分子構造や反応についてわかりやすく解説された。各種光開始剤、特にラジカル開始剤を中心にして、活性種生成メカニズムと特徴について説明された。光硬化技術と光重合剤について俯瞰し、光集合開始剤の種類、代表的な光重合開始剤とその特性について詳細に紹介された。これらに基づいて、光重合開始剤選定と最適な使用方法についてまとめられた。
3.ポリマーの光化学と特性 大阪公立大学 岡村 晴之 氏
高分子中の光物理化学を低分子と比較して解説され、溶液中と高分子固体中の光反応の差異についてわかりやすく説明された。また、ポリアクリレートとポリメタクリレートなどの光反応の例を比較し、それらの反応メカニズムの違いについて解説された。
4.フォトポリマーの特性評価 大阪公立大学 堀邊 英夫 氏
リソテックジャパン(株) 関口 淳 氏
8月24日は関口氏が海外出張中のアクシデントとオンライン参加できなかったので大阪公立大学 堀邊 教授が代講され、リソグラフィー材料・技術を概説していただき、関口氏とそれらの特性について共同研究された評価結果について解説された。8月25日に関口 淳 氏が時間を変えて講義された。リソグラフィーの工程や化学増幅型レジストの課題と、脱保護反応の評価、現像中のレジストの膨潤の評価、光酸発生剤のからの酸発生挙動および光酸発生剤からの酸の拡散挙動の評価方法に関して詳しく解説していただき、評価のために改良した分析装置、最新の評価手法などの研究結果もあわせて紹介された。
5.フォトポリマーの材料設計 信州大学 上野 巧 氏
フォトポリマープロセスについて概説し、極性変化型レジスト、分子量変化型レジストについて材料やメカニズム、特徴などについて詳細に説明され、塗布、露光、現像などのプロセスにおける留意点、高感度についての要因を解説した。ネガ型フォトポリマーの溶解挙動測定の難しさ、高分子の溶解について触れ、フォトポリマーに求められる要求項目、露光装置・現像方法、感光性機能、要求性能への対応の点から感光材料の設計についてまとめられた。
Ⅱ.応用編 6.コーティング分野におけるモノマーとフオトポリマーの役割と設計思想 荒川化学工業(株) 川添 圭 氏
熱硬化と光硬化の比較や、光源や光硬化システムの特徴と課題、用途・材料構成について概説された。ラジカル重合性オリゴマーやモノマーについて詳細に解説され、光開始剤と組み合わせと特性について紹介された。さらに、光硬化を利用したディスプレイや光学フィルム製造などコーティング分野での応用例について、高硬化、低カール化、干渉縞低減、低耐電防止、塗料水系化などの課題解決と技術進展について解説された。
7.光硬化型接着剤および光アニオン硬化の接着剤への活用 (株)スリーボンド 大槻 直也 氏
身近な接着剤の紹介に始まり、接着剤の分類から「なぜ接着するのか?」について解説し、光硬化型接着剤についてラジカル、カチオン、アニオンUV硬化の原理、物質および接着剤分野におけるそれぞれの硬化方法の長所と短所を比較され、課題のひとつである硬化収縮と反応の分子動力学シミュレーションによる解析について説明された。また、種々の影部硬化性の付与方法について解説された。その方法として光硬化シアノアクリレート接着剤や光スイッチ硬化型エポキシ樹脂接着剤ついてメカニズム・特性について詳しく解説された。加えて光硬化型接着剤の硬化収縮挙動の評価方法について紹介された。
8.感光性耐熱材料の最近の進歩 (株)東レ 富川真佐夫 氏
ポリイミドが優れた耐熱性、機械特性、電気絶縁性をもつことから、電子材料などに用いられるエンジニアリングプラスチックとして発展し、感光性ポリイミドが出現してきた技術的背景について歴史的にも詳しく解説された。ポリイミド(PI)およびポリベンゾオキサゾール(PBO)系の材料を中心に、ポリイミドの光化学と具体的な感光材料、次世代に向けた低温硬化材料などへの取り組みを紹介された。さらに、ポリイミド/銅界面での化学、先端パッケージ用材料、ディスプレイ用途への展開など最新の開発動向についても詳しく解説された。
9. 微細加工用レジストと先端リソグラフィー技術 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
半導体とは何かにはじまり、動作原理やデバイス構造・性能を平易に解説し、半導体の市場や微細加工技術の必要性について説明された。長年の開発と実用化に至ったEUVリソグラフィプロセスについて解説された。最先端半導体加工技術となったEUVリソグラフィーの課題と今後の展望について各プロセス要因から解説された。さらに技術的課題解決に向け、EUVリソグラフィー研究開発センター(CEL)の研究成果を紹介し、レジスト評価技術の展開についても説明された。さらに将来のEUVの短波長化:BEUVの可能性や日本の半導体復興に向けた取り組みについて課題と提案を述べられた。
10. トピックス 光クリックケミストリー:2022年ノーベル化学賞「クリックケミストリー」の展開ー 東京理科大学 有光 晃二 氏
2022年ノーベル化学賞が「クリックケミストリー」に授与されたことに鑑み、光クリックケミストリーとしてフォトポリマーへ展開されてきている反応を中心に解説された。光クリックケミストリーの研究の概念と展開について詳細に説明された。それを踏まえて、独自に切り拓いている光強塩基発生剤群、それらを応用した光強塩基発生剤/エポキシ系フォトポリマー、光強塩基発生剤/エピスルフィド系フォトポリマー、光強塩基発生剤/アクリル系フォトポリマー、光強塩基発生剤/過酸化物反応系、光チオール発生剤などによるクリックケミストリーの展開ついて解説された。

第257回講演会
日 時 2024年1月18日(木)13:00~16:50
場 所 Zoomでのオンライン開催
テーマ 『⾼分⼦の光分解』
⾼分⼦の光分解はエネルギー消費の低いクリーンな⾼分⼦処理法であることから、産業廃棄プラスチクス(廃プラ)よる地球環境汚染問題の有効な解決技術として期待される。今回、「⾼分⼦の光分解」の観点から、これに関連した最先端の研究について、マイクロプラスチクスの解析や、光分解性⾼分⼦の設計、⾼分⼦微粒⼦のリサイクル、さらに宇宙空間での⾼分⼦の劣化を中⼼に4名の先⽣⽅にご講演ただいた。講演会では、参加者との活発な議論を通して、これらの研究についての知⾒を深めることができた。
講演内容 1. 「促進酸化法(AOP)を⽤いた海洋マイクロプラスチックモデルの作製と特性解析」 ⻑崎⼤学 中⾕ 久之 氏
海洋マイクロプラスチック(MP)による地球環境汚染問題の解決には、海洋から回収した MP と同じ形状や特性を持つMP の⼈⼯モデルの作成が重要な役割を果たす。本講演会では、ポリマー型光触媒及び硫酸イオンラジカルを⽤いたAOP による MP の⼈⼯モデルの作成をご紹介いただいた。海⽔中、pH 制御下での硫酸イオンラジカルを⽤いて作成したPP、PS 及び PE の MP は、均⼀な劣化挙動かつ促進性を⽰し、このことにより、モデル MP の⼤量作製が可能になり、MP の化学的、物理的及び⽣物的な特性解析への道が開かれたことが例証された。
2.「ポリスチレン誘導体の光・熱分解 ―環境負荷低減を⽬指して―」 ⼤阪公⽴⼤学 岡村 晴之 氏
熱および光で架橋する部位と解架橋する部位を有するスチレン誘導体の合成と重合について、光化学実験における基礎的な知識や⾼分⼦の評価法、さらに、光分解性⾼分⼦の応⽤研究に⾄るまで幅広くご講演いただいた。特に、透過性が⾼い近⾚外光を⽤いる⾼分⼦の光分解は、不透明材料への適⽤が可能になり、サーキュラーエコノミーの実現に展開できることが⽰された。
3.「⼒学的安定性と分解性を備えた⾼分⼦微粒⼦成型体」 信州⼤学 鈴⽊ ⼤介 氏
⾼分⼦微粒⼦を活⽤した新奇なマテリアルリサイクル⼿法についてご講演いただいた。メチルアクリレートからなる合成⾼分⼦微粒⼦は、微粒⼦の集合によって形成された強靭な微粒⼦フィルムを与える。このフィルムは溶媒に浸漬するだけで、⾼分⼦鎖の破断を伴うことなく、99%の⾼回収率で単⼀微粒⼦まで分解される。このマテリアルリサイクル法は、サステイナブルな循環型⾼分⼦材料としての可能性を秘めていることが⽰唆された。
4.「宇宙空間での紫外線による⾼分⼦劣化」 宇宙航空研究開発機構 ⾏松 和輝 氏
宇宙環境での⾼分⼦材料の劣化や材料特性の変化について、地球環境との違いに基づいてご講演いただいた。宇宙環境では⾼分⼦材料の特性は、宇宙放射線や原⼦状酸素の影響を受け、さらに、地球上では⼤気の吸収によって存在しない 290nm 以下の波⻑領域の紫外線によって劣化が促進される。宇宙機の設計におけるポイントや地球上で⾏う宇宙環境曝露実験の紹介等を通して、宇宙環境下での⾼分⼦の劣化メカニズムについて知⾒を深めることができた。

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令和4年度活動報告

第248回講演会
日 時 2022(令和4)年4月21日(木)13:30~17:00
場 所 Zoomでのオンライン開催
テーマ 『次世代リソグラフィ技術の展開』
  次世代リソグラフィ技術、半導体市場動向、半導体用レジストについての3件の講演を企画しました。量産が進む中でのEUVリソグラフィの現状と課題、半導体市場を取り巻く環境、そして、EUV用レジストを中心とした先端フォトレジスト技術について概説して頂いた。また、ご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 1. 「EUVリソグラフィ技術の取り巻く環境および今後の微細加工技術について」 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
量産に用いられているEUVリソグラフィ技術の現状および今後の展開について、半導体産業にとりまく環境を含めて解説をして頂いた。また、今後の微細加工のpotential solutionについても紹介します。今後の日本の半導体技術の復興についても、ご講演を頂いた。
2.「現在および今後の半導体市場動向について」 野村證券(株) 和田木 哲哉 氏
ハイテク業界の見通しは明るい。日本の国際競争力が比較的高い半導体製造装置市場は、30年代に半導体市場が100兆円を超えるのに伴い、市場規模は20兆円を突破することが予想されている。半導体及び製造装置市場急拡大のドライバとして期待されるもののとして、カーボンニュートラル達成の機運やメタバースが挙げられる。この内容についてもご講演を頂いた。
3.「先端レジスト技術の開発動向」 東京応化工業(株) 中村 剛 氏
半導体前工程の加工にEUVリソグラフィが適用され始め、微細化を担っている。EUV光はこれまでの光源に比べてフォトン数が少なく、微細化に伴い確率的な欠陥(Stochastics)の影響が大きくなってきている。フォトレジストの変遷も踏まえて、学会報告例等を取り上げて、今後の技術動向について優位性、懸念点などについてご講演を頂いた。
4.「ブレイクアウトルーム」 全講演者
聴講者と個々のご講演者が個別に質疑応答や意見交換をする場として「ブレイクアウトルーム」にて提供をさせて頂いた。多くの方々が講演内容についてさらに理解を深めることができた。

第249回講演会
日 時 2022年6月10日(金)13:00~17:15
場 所 Zoomでのオンライン開催
テーマ 『光制御重合反応の新展開』
本講演会では、光による精密重合や特色ある重合方法の新しい展開について、新進気鋭の研究者4名を講師として招いてその可能性について解説をいただいた。ご講演の後、参加者とブレークアウトルームでの質疑応答も実施し、理解を深めることができた。
講演内容 1.「光ペルフルオロアルキル化反応を基にした重合反応への展開」 お茶の水女子大学 矢島 知子 氏
光反応による有機化合物へのフルオロアルキル基の導入反応の開発とこの反応を用いた高分子化合物の合成につい講演された。光ペルフルオロアルキル化反応を基盤として、重付加によるフルオロアルキルーアルキル交互型フッ素ポリマーの合成、可逆配位媒介重合の開始剤としての活用、ヨウ化ペルフルオロアルキルからの光重合に展開した結果について詳細に解説があった。
2.「相分離プロセスから見た精密UV硬化の新展開」 早稲田大学 須賀 健雄 氏
光レドックス触媒やアミン、ホスフィンなどの有機触媒の存在下、重合鎖末端の共有結合(C-X結合、Xは臭素やヨウ素など)を「熱」ではなく「光」照射で可逆的に活性化することで、精密重合の進行/停止(On/Off)を繰り返し任意に制御できる技術背景から。本講演では、迅速なUV硬化反応に「光駆動型」の精密ラジカル重合機構を組み込み、重合過程の時間軸を制御することで、硬化膜内部のミクロ相分離構造、特に「共連続ナノ構造」を硬化と同時に形成する手法を紹介された。多官能アクリレートなどを母材としポリマーと光開始剤をそれぞれ加える汎用UV硬化と対比しながら、添加ポリマーと光開始剤を結合させた「光解離性高分子ドーマント」を用いる精密UV硬化について、成形・相分離形成プロセスを解説された。
3.「安定ラジカルによる光制御リビングラジカル重合と高分子設計」 豊橋技術科学大学 吉田 絵里 氏
安定ニトロキシルラジカルとして知られる 2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルを重合の制御剤とする光制御リビングラジカル重合と、この重合を用いる高分子設計について講演された。また、この重合に高分子の自己組織化を組み込むことによって得られる高分子ベシクル(ジャイアントベシクル)の分子生物学的な応用についても詳細にご講演された。
4.「可視光を外部刺激とするポリマー合成と均一系光触媒デザイン」 東京都立大学 稲垣 昭子 氏
可視光増感ユニットとして銅を導入したCu-Pd二核錯体を設計し、パラジウム中心におけるスチレン類重合反応を検討したところ、銅周りを適切な立体環境に置くことによって初めて可視光増感ユニットとして機能することから、この錯体を触媒として用いると、可視光に鋭敏に応答し、光照射することにより進行する重合反応についてその詳細を解説された。

第250回講演会
日 時 2022年10月21日(金)13:00~16:50
場 所 大阪公立大学文化交流センター
テーマ 『光レジスト材料の基礎と応用』
レジスト原料の合成、レジスト材料の合成・評価、最終的にはレジスト剥離まで、フォトポリマー材料に関する最新の研究開発について4件の講演をいただいた。参加者は少なかったものの、久しぶりの対面での開催となり、対面での熱いディスカッションがおこなわれた。講演会終了後も講師や参加者による交流が行われ、対面開催の良さを実感した。
講演内容 1.「原子状水素アニールによるポリマーの表面改質」 兵庫県立大学 部家 彰 氏
水素ガスを加熱触媒体(1700 ℃程度)で接触分解させることで高密度原子状水素を生成できる。この原子状水素の還元反応と再結合反応エネルギー(4.5 eV)を利用した表面改質法を原子状水素アニール(AHA)と命名し、各種材料への応用を検討している。本講演では、AHAによるポリマー材料の表面改質について紹介いただいた。
2.「レーザー照射を用いたレジスト除去技術の開発」 大阪工業大学 神村 共住 氏
水中環境下でSiウェハーに塗布されたレジストに可視レーザー光を照射すると、Siウェハーからレジストが剥離する。レジスト表面から除去する従来技術とは異なりレジストを剥離できる新しい技術です。本講演では、レーザー照射を用いたレジスト剥離とさらにオゾン水処理を組み合わせた除去技術について紹介いただいた。
3.「ポリグリセリン系アクリレートの機能紹介」 阪本薬品工業(株) 宮路 由紀子 氏
ポリグリセリン系アクリレートは、1分子内にポリグリセリン構造とアクリロイル基を有する多官能アクリレートです。我々が開発したポリグリセリン系アクリレートは、ネットワーク形成においてはソフトセグメントとして作用し、これまでの多官能アクリレートには見られない機能を備えています。本講演では、ポリグリセリン系アクリレートの塗膜物性を紹介いただいた。
4.「i線用厚膜化学増幅型3成分レジストの開発」 大阪公立大学 堀邊 英夫 氏
発表者自身の、大学に異動する前に勤務した電機メーカでは、16MDRAM用i線ノボラック系ポジ型レジスト、64MDRAM用KrF化学増幅型レジストの材料・プロセス開発に携った経験をもとにご講演いただいた。半導体、液晶デバイスの高密度化は著しい速度で進んでおり、より微細なパターンを短時間で加工するには、高解像度・高感度のフォトポリマー(レジスト)の開発が重要であり、i線用厚膜化学増幅型3成分レジスト(ベース樹脂、溶解抑制剤、酸発生剤)の開発について、溶解抑制剤の化学構造の観点から報告いただいた。

第32回フォトポリマー講習会
日 時 2022年8月25日-26日
場 所 Zoomでのオンライン開催
  2日間にわたって基礎編、応用編の9件の講義が行われた。各日の最終プログラムとして講師ごとのブレイクアウトルームが設けられ、総括討議が実施された。構成はフォトポリマーを網羅し、ノウハウに関わる話題もあって、フォトポリマー技術の全貌が理解できる内容であった。
Ⅰ.基礎編 1.フォトポリマーの光化学 大阪公立大学 岡村 晴之 氏
フォトポリマーについて考えるために一般的な光化学以外にも有機化学や生化学の概念にも触れ、高分子の光物理化学を中心に光吸収や分子の励起状態と溶媒効果、エネルギーや電子の移動、増感反応、励起錯体形成などの基礎的な光化学と、関連して高分子中での挙動について低分子系と比較して解説された。さらに、カルボニル基含有ポリマーを例に挙げて温度依存性や光安定化、光フリース転移反応など高分子の光化学の特徴について詳しく説明された。
2.フォトポリマーの材料設計 信州大学 上野 巧 氏
感光性材料をパターン転写のために用いる場合と永久膜として用いる場合の材料設計について解説された。塗布、露光、現像などのプロセスにおける留意点をフォトポリマーの疑問に答える形で平易に説明し、要求項目、露光装置・現像方法、感光性機能、要求性能への対応の点から感光材料の設計を考察された。また高感度、高解像度のパターンを得るために重要な光化学反応、現像についても解説された。
3.光酸発生剤の基礎 サンアプロ(株) 柴垣 智幸 氏
光酸発生剤は、カチオン重合を用いた光硬化材料、および半導体デバイス製造のための化学増幅型フォトレジスト等、各種産業上の種々の用途に用いられており、それら用途によって、適応する光発生剤について解説された。実際に使われている光酸発生剤化合物群を例に挙げ、それらの反応、用途例、吸収波長や増感などについて実際の応用で要求される特性について詳しく説明された。それらの光酸発生剤の選択の考えかたについても紹介していただいた。カチオン重合反応を用いたコーティングや光造形、接着剤用途などの使われ方や、フォトレジスト用途でのg-線、i-線からEUVまでそれぞれの光源に対応する光酸発生剤の選択のポイント、高感度化の試みなどについて解説され、加えてサンアプロ社の光酸発生剤ラインナップについても紹介された。
4.フォトポリマーの特性評価 リソテックジャパン(株) 関口 淳 氏
フォトポリマーを設計、開発、使用する、あるいはその材料を扱う上で必要なリソグラフィー材料・技術を概説していただき、特に、近年半導体微細加工に重要な化学増幅型レジストについて詳しく解説された。リソグラフィーの工程や化学増幅型レジストの課題と、脱保護反応の評価、現像中のレジストの膨潤の評価、光酸発生剤からの酸発生挙動および光酸発生剤からの酸の拡散挙動の評価方法に関して詳しく解説していただき、評価のために改良した分析装置、最新の評価手法などの研究結果もあわせて紹介された。
Ⅱ.応用編 5.微細加工用レジストと先端リソグラフィー技術 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
半導体とは何かにはじまり、動作原理やデバイス構造・性能を平易に解説し、微細加工技術の重要性について説明された。30年にわたり開発が進められてきたEUVリソグラフィプロセスについて解説し、最先端半導体加工技術として量産化されたEUVリソグラフィーの技術的課題と今後の展望について各プロセス要因から解説された。さらにEUV用レジストについて現状と技術課題について説明された。技術的課題解決に向け、EUVリソグラフィー研究開発センター(CEL)研究施設や活動を紹介し、レジスト開発、新評価技術開発などの状況についても説明された。さらに将来のEUVの短波長化などの状況や日本の半導体復興に向けた取り組みについて課題と提案を述べられた。
6.コーティング分野におけるモノマーとフオトポリマーの役割と設計思想 荒川化学工業(株) 冨樫 春久 氏
熱硬化と光硬化の比較から、光硬化システムの特徴や用途・材料構成について解説された。ラジカル重合性オリゴマーやモノマー、光開始剤と組み合わせと特性について紹介された。さらに、光や電子線照射装置の紹介や、光硬化を利用したディスプレイや光学フィルム製造などコーティング分野での応用例について、高硬化、低カール化、干渉縞低減、低耐電防止、塗料水系化などの課題解決と技術進展について解説された。
7.感光性耐熱材料の最近の進歩 東レ(株) 富川真佐夫 氏
ポリイミドが優れた耐熱性、機械特性、電気絶縁性をもつことから、電子材料などに用いられるエンジニアリングプラスチックとして発展し、感光性ポリイミドが出現してきた技術的背景について詳しく解説された。ポリイミド(PI)およびポリベンゾオキサゾール(PBO)系の材料を中心に、ポリイミドの光化学と具体的な感光材料、次世代に向けた低温硬化材料などへの取り組みを紹介された。さらに、ポリイミド/銅界面での化学、先端パッケージ用材料、ディスプレイ用途への展開など最新の開発動向についても詳しく解説された。
8.光硬化型接着剤および光アニオン硬化の接着剤への活用 (株)スリーボンド 大槻 直也 氏
「なぜ接着するのか?」についての解説から始まり、光硬化型接着剤についてラジカル、カチオン、アニオンUV硬化の原理、および接着剤分野におけるそれぞれの硬化方法の長所と短所を比較され、光塩基発生剤などの光アニオン硬化の材料についても解説された。さらに、光スイッチ硬化型エポキシ樹脂接着剤、光硬化型黒色接着剤について概念やメカニズム・特性について詳しく紹介された。光硬化型接着剤の硬化収縮挙動の評価方法について接着剤組成との関連を考察された。
9. トピックス マテリアルズインフォマティクスの基礎 長瀬産業(株) 折井 靖光 氏
材料開発の効率化や革新的素材開発につなげていくために、企業等に長年蓄積されたビッグデータを価値に変える手段のひとつとして、マテリアルズインフォマティクス(MI)技術をわかりやすく解説された。長瀬産業が開発したMIプラットフォームのビジネスモデルとこれを用いて何ができるかについて紹介された。「AIは新材料をみつけることができるのか?」について現状と課題について実例をあげて詳しく解説された。喫緊の低消費電力化への半導体技術の展開と、AIを支えることにもなるこのための新材料開発の重要性について述べられた。

第251回講演会
日 時 2022年12月8日(木)13:00~16:50
場 所 Zoomでのオンライン開催
テーマ 『ライフサイエンスを支える機能材料』
社会、市場のニーズに応えるフォトポリマー分野の新材料、新技術開発が進んでいる。今回、バイオマテリアルやヘルスケア材料などライフサイエンスに関連する機能材料について、企業の先生方4名にご講演頂いた。また、ご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、活発な議論を通して本分野の理解を深めることができた。
講演内容 1.「生物多様性の中で見いだされた、UV接着材料としてのドーパミンアクリルアミド」 大阪有機化学工業(株) 赤石 良一 氏
バイオミメッティクスモノマーであるドーパミンアクリルアミドは無機酸化物や金属への表面親和性が高く、UV硬化反応において表面密着性や異種材料間の粘・接着性の高い特性を有する研究内容に関して詳しくご講演頂いた。また、フェニルボロン酸との相乗効果や今後の展開に関しても紹介頂いた。
2.「生体適合性ポリマーの新展開」 (株)日本触媒 中田 善知 氏
生体適合性発現のメカニズムとして「中間水コンセプト」が注目されている。中間水コンセプトの概略と、中間水コンセプトを用いた日本触媒における生体適合性ポリマーの開発についてご講演頂いた。また、多くの中間水を有し、優れた生体適合性が注目されているGLMA系ポリマーの特徴と、いくつかの応用例、さらに架橋技術と組み合わせた機能化などのトピックスについても紹介頂いた。
3.「生体親和性を指向した機能性重合材料」 富士フイルム(株) 菅﨑 敦司 氏
富士フイルムが開発した機能性重合材料の水溶性多官能アクリルアミドモノマーについて、硬化性、安全性、安定性などの基本特性を紹介頂いた。更に、本材料の生体親和性を指向した新たなバイオマテリアルへの応用例として、抗血栓性(抗血小板粘着性)やがん細胞接着選択性に展開した研究トピックスに関して詳細にご講演頂いた。
4.「歯科治療と口腔ケアに光反応で貢献する歯科用高分子材料」 サンメディカル(株) 山本 隆司 氏
歯科治療としてメタクリレートモノマーを光重合で硬化させる手法は、ハンディタイプの可視光線照射器の開発、う蝕治療方法と接着材料の進歩により、現在では世界的スタンダードとなっている。光反応性高分子およびその技術が歯科治療と口腔ケアにどのように貢献してきたか、関連する製品の特性示しながら光反応技術の有用性をご講演頂いた。

第252回講演会
日 時 2023年1月19日(木)13:00~17:00
場 所 Zoomでのオンライン開催
テーマ 『SDGsなフォトポリマー』
フォトポリマーは、光の刺激により特性が大きく変わることを機能として様々な用途に使用されている。フォトポリマーは、光を利用するため省エネルギー化には貢献しているが、脱炭素社会では材料を含め様々な新たな取り組みが必要となる。本講演では、持続可能な社会実現に向けた取り組みに関する最新の動向について紹介頂いた。
講演内容 1.「循環型熱硬化性樹脂によるサーキュラーエコノミー戦略」 物質・材料研究機構 内藤 昌信 氏
サーキュラーエコノミーに関する全般的内容からリサイクルに関するアプローチ方法であるプロセスインフォマティックスによる手法や動的共有結合を導入したエポキシ樹脂の特異な力学物性などを含め硬化物の分解及び再生などの演者等の取り組みについて紹介頂いた。
2.「酸と光を用いた協働的な材料分解・加工技術の開発」 東京大学大学院総合文化研究科 正井 宏 氏
光分解性材料や光加工性材料は産業的にも重要である一方で、材料が環境中の光でも容易に劣化し得るため、長期的な利用が困難とされてきた。本講演では新たに開発した酸と光を用いた協働的な分解・加工が可能な材料について紹介頂いた。酸と光による加工や分解が可能でありながらも、使用時には酸の除去によって高い光安定性を持つ材料を実現している。
3.「光エネルギーと生体触媒によるCO2から有用物質生産~プラスチック原料生産への展開~」 大阪公立大学 人工光合成研究センター 天尾 豊 氏
太陽光エネルギーを利用し二酸化炭素をブドウ糖やデンプンに固定する天然光合成を手本にして、二酸化炭素を原料として有機化合物に固定し、生分解性プラスチック原料やプラスチックそのものを作り出すことができれば、天然光合成を手本とした究極の人工光合成が達成できる。本講演では、可視光増感分子とロジウム錯体からなる光酸化還元系にいくつかの生体触媒を組み込むことによって、光エネルギーを駆動力として二酸化炭素をアセトンなどの簡単な有機分子に固定し、有用なプラスチック原料が生産可能な技術について紹介頂いた。
4.「ブレイクアウトルーム」 全講演者
聴講者と個々のご講演者が個別に質疑応答や意見交換をする場を「ブレイクアウトルーム」にて提供をさせて頂いた。個別に意見交換することにより講演内容についてさらに理解を深めることができた。

会告

令和3年度活動報告

2021年度総会・第243回講演会
日 時 2021年4月22日(木)
13:00~13:20(総会)/13:30~17:00(第243回講演会)
場 所 Zoomでのオンライン開催
テーマ 『次世代リソグラフィ技術の展開』
講演会
講演内容
本講演会では、次世代リソグラフィ技術とそこに展開するフォトポリマーとの係わりについて3件の講演があり、現行リソグラフィの延長線上にあるEUVリソグラフィ、先端フォトレジスト技術および3次元実装関連材料について詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
1.「EUVリソグラフィの課題」 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
ハードウェア(露光機)、プロセスおよびマスク、レジスト材料などの技術開発が進みEUVリソグラフィの量産化が開始されている。EUVリソグラフィ技術の歴史や日本の産業上の立ち位置、今後の10年単位の展開について俯瞰され、レジスト技術についての改良が必要な低LWRやパタン倒れなどの課題や、技術開発の現状について詳細に解説された。さらにニュースバル放射光設備で開始している次世代BEUV研究、量子素子研究の成果についてもご講演頂いた。
2.「先端フォトレジスト技術」 富士フイルム(株) 藤森 亨 氏
1986年の最初のEUVレジストに関する論文からひもとき、実用化の歴史から材料およびプロセスの開発についての最近の研究動向、将来展望について詳しく解説された。EUVレジストにおけるphoton stochasticとchemical stochasticについて解説し、どのようにこれらを軽減してレジスト材料を開発してきたか、ネガ型レジスト開発例などを踏まえてご講演頂いた。
3.「3次元実装関連技術の現状と今後」 昭和電工マテリアルズ(株) 鳥羽 正也 氏
半導体の高集積化は限界になりつつあり、様々な環境下で使用される電子機器に搭載される半導体パッケージは、3次元実装も含めてこれまで以上に複雑で、かつ高い信頼性が要求されるようになってきている。半導体パッケージのトレンドから5G通信技術に向けた実装材料、プロセスなどについて、UV改質無電解めっき配線やトレンチ微細配線技術の例を交えて最近の研究動向、将来展望などを詳細にご講演頂いた。

第244回講演会
日 時 2021年6月11日(金)13:00~16:50
場 所 Zoomでのオンライン開催
テーマ 『励起三重項状態を利用した機能材料』
近年、励起三重項状態に関する新原理の発見に伴い、新材料、新技術の研究開発が進んでいる。今回は励起三重項状態を利用した新原理、機能性材料とその応用に関する報告4件についてご講演いただいた。ご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 1.「非共役リンカーを基軸とした励起子変換材料の開発」 大阪府立大学 松井 康哲 氏
近年、太陽光エネルギーの有効利用の手法として、長波長光を短波長光に変換するアップコンバージョン現象や、短波長光から複数の励起子を取り出す一重項分裂現象等の励起子変換が注目を集めている。本講演では、最近の励起子変換に関する研究の動向と、講演者らが行っている非共役リンカーを用いた励起子変換材料についてご講演を頂いた。
2.「三重項直接励起による光化学反応」 千葉大学 中島 誠也 氏
直接的なS0→Tn遷移は古くからその現象は知られていたものの、S0→Sn遷移よりも圧倒的に起こりにくいことから、これまで光反応開発において重要視されてこなかった。本講演では、典型元素光化学反応における直接的なS0→Tn遷移の証明とそれを用いた光反応の開発に関してご講演を頂いた。
3.「溶液塗布型OLEDの作製に資するりん光性有機金属錯体の機能化」 大阪府立大学 八木 繁幸 氏
Ir(III)やPt(II)を中心金属とする有機金属錯体は効率的な室温りん光を与えることで知られており、有機電界発光素子(organic light-emitting diode、OLED)の量子効率の向上に資する材料として注目されてきた。本講演では、溶液塗布型OLEDを指向した材料設計やエキシマー発光を利用した発光色の調節に関する話題を中心に、りん光性有機金属錯体の機能化についてご講演を頂いた。
4.「高効率を目指した有機EL用りん光発光材料の開発」 コニカミノルタ(株) 北 弘志 氏
有機ELを照明に適用するには消費電力化、つまり高効率発光が最大の課題であり、そのためには開発難度の高い青色りん光材料の開発が不可欠であった。本講演では高効率かつ長寿命を達成した材料群の開発と、それらを用いた白色照明デバイスの商品化について詳しくご講演を頂いた。

第31回フォトポリマー講習会
日 時 2021年8月26日-27日
場 所 Zoomでのオンライン開催
  基礎編、応用編に分けて2日間9件の講演が行われた。各日の最終プログラムとして総括討議が実施された。構成はフォトポリマーを網羅し、かつ、応用編ではノウハウに関わる話題まであり、本講習会に出席すればフォトポリマーの全貌が理解できる内容であった。
Ⅰ.基礎編 1.フォトポリマーの光化学 大阪府立大学 岡村 晴之 氏
フォトポリマーについて考えるためには、一般的な光化学の概念を基礎とするも、その他に有機化学や生化学の概念も必要となってくる。本講演では、光吸収や分子の励起、エネルギーや電子の移動、増感反応等基礎的な光化学と、それらを実際にフォトポリマーに活用した幾つかの具体例を解説していただいた。
2.フォトポリマーの材料設計 信州大学 上野 巧 氏
感光性材料をパターン転写のために用いる場合と永久膜として用いる場合ではその材料設計が異なる。塗布、露光、現像などのプロセスにおける留意点を解説し、感光材料の設計を考察していただいた。また高感度、高解像度のパターンを得るために重要な光化学反応、現像についても解説していただいた。また、フォトポリマーの疑問という形式で、フォトポリマーの材料設計にかかわる基本的な考え方を解説していただいた。
3.光酸発生剤の基礎 サンアプロ(株) 柴垣 智幸 氏
光酸発生剤は、カチオン重合および半導体デバイス製造のための化学増幅型フォトレジスト等、各種産業上の種々の用途に用いられており、それら用途によって、適応する光発生剤も異なってくる。本講演では、光酸発生剤の分類・反応、それぞれの応用で要求される特性、およびその組成物の性能を最適化するための光酸発生剤の選択について紹介していただいた。g-線、i-線からEUVまでそれぞれの光源に対応する光酸発生剤の選択のポイントを解説していただいた。
4.フォトポリマーの特性評価 リソテックジャパン(株) 関口 淳 氏
フォトポリマーを設計、開発、使用するうえで、あるいはその材料を扱ううえで必要なリソグラフィ材料・技術を概説していただき、特に、近年半導体微細加工に重要な化学増幅型レジストについて詳しく解説していただいた。脱保護反応、現像中のレジストの膨潤、光酸発生剤のからの酸発生挙動および光酸発生剤からの酸の拡散挙動に関して詳しく解説していただき、評価のために改良した分析装置、最新の評価手法など最近の研究結果もあわせてご紹介いただいた。
Ⅱ.応用編 5.微細加工用レジストと先端リソグラフィー技術 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
LSIの微細加工は、レジスト材料の発展によって支えられてきた。本講演では、レジスト材料開発の歴史と、波長別レジスト材料について紹介し、最先端半導体加工技術としてEUVLでの量産が開始されたこと、今後の展望もEUVL技術を中心に解説していただいた。あわせて、兵庫県立大学のEUVレジスト研究施設を紹介し、さらに、レジスト開発、新評価技術開発などの状況についても説明していただいた。
6.コーティング分野におけるモノマーとフオトポリマーの役割と設計思想 荒川化学工業(株) 冨樫 春久 氏
光硬化を利用したコーティングはディスプレイや光学フィルムを製造する際に欠かせない技術である。重合活性基を有する様々なモノマーと、それらを変性したオリゴマー、光開始剤の特性と基本的な組み合わせ例を紹介していただいた。さらに応用技術として、高硬化、低カール化、干渉縞低減、低耐電防止、塗料水系化などの技術を紹介いただいた。
7.感光性耐熱材料の最近の進歩 東レ(株) 富川真佐夫 氏
半導体の保護膜などに用いられている感光性耐熱材料について、ポリイミド(PI)およびポリベンゾオキサゾール(PBO)系の材料を中心に、ポリイミドの光化学、具体的な感光材料、次世代に向けた、低温硬化材料などへの取り組みを紹介していただいた。さらに、ポリイミド/銅界面での化学、先端パッケージ用材料の最新の開発動向などについても詳しく解説していただいた。
8.光硬化型接着剤および光アニオン硬化の接着剤への活用 (株)スリーボンド 大槻 直也 氏
アニオンUV硬化を中心に、ラジカル、カチオン、アニオンUV硬化の原理および接着剤分野におけるそれぞれの硬化方法の長所と短所を解説していただいた。また、(株)スリーボンド社の製品を中心に、各硬化方法を利用した種々の接着剤製品を紹介していただいた。また、トピックスとして光硬化型黒色接着剤について解説していただいた。さらに、光硬化型接着剤の硬化収縮の最近の研究についてご紹介いただいた。
9. トピックス フォトレジストの分析技術~薄膜の化学構造解析を中心に~ (株)東レリサーチセンター 萬 尚樹 氏
フォトレジストの露光・現像プロセスにおける化学構造変化を把握するための分析法は限られているが、近年の分析技術の進歩により、得られる情報量が多くなってきた。GCIB-TOF-SIMSによる化学増幅型レジストの深さ方向分析では、PAGの分布や酸の拡散挙動、脱保護反応を明確にとらえることができる。本講演では、フォトレジストの薄膜での分析事例を中心に、最近の分析技術について解説していただいた。さらに、最新分析技術としてLESA機能を搭載したNanoESI-MSについてもご紹介いただいた。

第245回講演会
日 時 2021年10月19日(火)14:00~17:00
場 所 オンライン開催
テーマ 『ビッグデータと人工知能による材料開発』
材料科学と人工知能(AI)を組み合わせたマテリアルズインフォマティクス(MI)が今後は重要になる。近年、ビックデータの出現、ネットワーク・アルゴリズムの進化、ハードウェアの独創的進歩により、第3次AIブームが到来しており、人間とAIとの共存が問題となっている。そのためには、エッジ側のインテリジェント化や、人間の脳を模倣したデバイスの開発、低電力のAIを開発することが重要となる。人間とAIとが共存する未来を創るためには、AIを発達させるためには、今我々は何をすべきかについて、MIを中心に各分野の著名な方3名にご講演頂いた。
講演内容 1.「マテリアルズ・インフォマティクスプラットフォームの開発」〜AIは新材料を見つけることができるのか?〜 長瀬産業 折井 靖光 氏
MI技術により材料開発期間やコストの削減、革新的な素材の発見が実現する。AIをベースとして膨大な文献情報を読みデータを知識化する「コグニティブアプローチ」、構造や物性値の予測モデルから理論的に化合物の構造を推定する「アナリディティクスアプローチ」の手法を紹介された。長瀬産業はIBMとこれら2つのエンジンを搭載したMIプラットフォームを開発している。AI時代における半導体技術の在り方から、材料技術の重要性、新規材料発掘に手助けとなるMIの話を2020年11月にサービスを開始したMI SaaSサービスを中心にご説明された。
2.「線型独立記述子生成法による解釈可能モデリング」 兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所 藤井 将 氏
計算・実験により得られた様々なデータから物性や機構を理解するためには、予測精度だけでなく解釈性も高いモデルを構築する必要がある。そのための方法として線型独立記述子生成(LIDG)法を紹介する。LIDG法では、記述子(説明変数)の数が少ない(スパースな)モデルが得られるだけでなく、モデルの構築段階において記述子の形の単純さ・整合性を十分配慮しながらのモデリングが可能であるとのお話であった。
3.「架橋型ポリシルセスキオキサン合成における分子量予測」 千葉大学大学院工学研究院物質科学コース 塚田 学 氏
ポリシルセスキオキサン(RSiO3/2)nは、三官能性有機アルコキシシランの加水分解重縮合反応で合成されることが多い。しかし、反応制御が難しいため、得られるポリシルセスキオキサンの分子量を予測することは、一般的には困難である。本講演では、架橋型ポリシルセスキオキサンの合成やその物性について、また加水分解重縮合反応におけるポリシルセスキオキサンの分子量予測についてご紹介された。

第247回講演会
日 時 2022年1月26日(水)13:00~16:40
場 所 オンライン開催(ZOOM)
テーマ 『アニオン重合性フォトポリマーの最新動向』
フォトポリマーは、塗料・コーティングからフォトリソグラフィーといった様々な用途で重要な役割をはたしている。光硬化型フォトポリマーの硬化方式はラジカル系やカチオン系が良く知られている。アニオン硬化系はラジカル系やカチオン系と異なり、欠点の少ない硬化系として期待されている。今回、新たにアニオン系に注目し、アニオン重合系フォトポリマー分野で起こっている最新の技術革新についてオンラインでご講演頂いた。
講演内容 1.『三官能オキシムエステル型光塩基発生剤を用いたエピスルフィド基を有する高屈折率ジフェニルフルオレン光架橋膜の作製』 大阪府立大学 岡村 晴之 氏
光塩基発生剤によるリワーク型の光架橋系の紹介から最新のエピスルフィド部位を有するジナフチルフルオレンと三官能オキシムエステル型光塩基発生剤をブレンドした高屈折・高い熱安定性を有する光架橋系まで基礎的なところから最先端の研究例まで詳しく解説頂いた。
2.『光塩基発生剤を用いたUVアニオン硬化』 富士フイルム和光純薬(株) 酒井 信彦 氏
光塩基発生剤は、ラジカルや酸を用いた従来のUV硬化とは異なる多彩な反応に応用できる。本講演では、光塩基発生剤(PBG)の種類や利用できる硬化系の種類・その応用事例などの紹介から、非常にユニークなビニルスルホン誘導体や今後期待されるアプリケーションまで幅広くご講演頂いた。
3.『オキシムエーテルユニットを末端に導入したポリフタルアルデヒドの光解重合』 大阪府立大学 陶山 寛志 氏
ポリフタルアルデヒド(PPA)は代表的な解重合性ポリマーである。本講演では、アニオン重合で末端にオキシムエーテルユニットを組み込んだPPAの合成及びその光解重合挙動やマクロモノマー化してアクリル酸ブチルと共重合化したポリマーの光による特性変化などの紹介頂いた。また、本技術の今後の展開についても併せてご報告頂いた。

会告

令和2年度活動報告

第238回講演会
日 時 2020(令和2)年6月25日(木)13:00~16:30
場 所 オンライン開催(Teams)
テーマ 『フォトポリマーの新材料、新技術』
  フォトポリマー材料の分野においても社会、市場のニーズに応える新材料、新技術の研究開発が進んでいる。今回の講演会では、環境保護の観点から注目されている解体性材料、および、従来にはない特徴を有する新規な機能性モノマーとその応用について、オンラインでご講演頂いた。
講演内容 1. 「様々な外部刺激に応答する解体性材料の開発」 大阪産業技術研究所 舘 秀樹 氏
リサイクル・環境保護の観点から、使用後に解体可能な機能性材料が注目されている。酸分解性ポリウレタン粘着剤とマイクロカプセル化した熱酸発生剤からなる超音波剥離可能な易剥離粘着剤、光分解性ユニットとしてアシルオキシム構造を導入した光分解性の架橋剤やポリウレタン樹脂について、合成法から外部刺激に対する応答性まで動画を交えて詳しく解説頂いた。
2.「メチレンマロネート(開発品)の特徴」 (株)日本触媒 西 孝治 氏
メチレンマロネートは、アニオン重合性とラジカル重合性を併せ持つモノマーで、常温アニオン硬化は水分の影響を受けづらく、ラジカル重合では(メタ)アクリレートとの共重合が可能という特徴を有する。UV硬化材料への応用として、光ラジカル発生剤や光塩基発生剤と組み合わせた時の特性(光硬化速度、硬化物の機械的特性)について講演頂いた。
3.「脂環式エポキシモノマー『EPOCHALIC(エポカリック)』について」 ENEOS(株) 米田 弘義 氏
一般に脂環式エポキシはグリシジルエーテルタイプのエポキシと比較して耐熱・耐光性に優れるが、ENEOS社開発の新規脂環式エポキシ「EPOCHALIC(エポカリック)」は脂環式骨格のみで構成されているため、より高い耐熱性、低粘度という特徴を有するモノマーである。光酸発生剤と組み合わせた時の特徴(低露光量での硬化、光酸発生剤低添加量での硬化が可能)について講演頂いた。

第30回フォトポリマー講習会
日 時 2020年8月27日-28日
場 所 MS Teamsでのオンライン開催
  基礎編、応用編に分けて2日間9件の講演が行われた。各日の最終プログラムとして総括討議が実施された。構成はフォトポリマーを網羅し、かつ、応用編ではノウハウに関わる話題まであり本講習会に出席すればフォトポリマーの全貌が理解できる内容であった。
Ⅰ.基礎編 1.フォトポリマーの光化学 大阪府立大学 岡村 晴之 氏
フォトポリマーについて考えるためには、一般的な光化学の概念を基礎とするも、その他に有機化学や生化学の概念も必要となってくる。本講演では、光吸収や分子の励起、エネルギーや電子の移動、増感反応等基礎的な光化学と、それらを実際にフォトポリマーに活用した幾つかの具体例を解説していただいた。
2.フォトポリマーの材料設計 信州大学 上野 巧 氏
感光性材料をパターン転写のために用いる場合と永久膜として用いる場合ではその材料設計が異なる。塗布、露光、現像などのプロセスにおける留意点を解説し、感光材料の設計を考察していただいた。また高感度、高解像度のパターンを得るために重要な光化学反応、現像についても解説していただいた。
3.光酸発生剤の基礎 サンアプロ(株) 柴垣 智幸 氏
光酸発生剤は、カチオン重合および半導体デバイス製造のための化学増幅型フォトレジスト等、各種産業上の種々の用途に用いられており、それら用途によって、適応する光発生剤も異なってくる。本講演では、光酸発生剤の分類・反応、それぞれの応用で要求される特性、およびその組成物の性能を最適化するための光酸発生剤の選択について紹介していただいた。
4.フォトポリマーの特性評価 リソテックジャパン(株) 関口 淳 氏
フォトポリマーを設計、開発、使用するうえで、あるいはその材料を扱ううえで必要な特性評価を概説していただいた。膜厚、光量の測定、フォトレジストのリソグラフィ特性、過渡吸収と活性種同定、膜の諸物性、化学反応速度論と量子収率まで広い範囲の項目をほぼ網羅していただいた。また、代表的なフォトレジストで、長い間使用され続けているノボラック系のポジ型レジストについて、プロファイルシミュレーション、マトリックス樹脂の分子量、分子量分布とレジスト性能に関する研究結果も紹介いただいた。
Ⅱ.応用編 5.微細加工用レジスト 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
LSIの微細加工は、レジスト材料の発展によって支えられてきた。本講演では、レジスト材料開発の歴史と、波長別レジスト材料について紹介し、最先端半導体加工技術としてEUVLでの量産が開始されたこと、今後の展望も解説していただいた。あわせて、兵庫県立大学のEUVレジスト研究施設を紹介し、さらに、レジスト開発状況についても説明していただいた。
6.コーティング分野におけるモノマーとフオトポリマーの役割と設計思想 荒川化学工業(株) 冨樫 晴久 氏
光硬化を利用したコーティングはディスプレイや光学フィルムを製造する際に欠かせない技術である。重合活性基を有する様々なモノマーと、それらを変性したオリゴマー、光開始剤の特性と基本的な組み合わせ例を紹介していただいた。
7.感光性耐熱材料の最近の進歩 東レ(株) 富川真佐夫 氏
半導体の保護膜などに用いられている感光性耐熱材料について、ポリイミド(PI)およびポリベンゾオキサゾール(PBO)系の材料を中心に、ポリイミドの光化学、具体的な感光材料、次世代に向けた、低温硬化材料などへの取り組みを紹介していただいた。
8.光硬化型接着剤の概要と光アニオン硬化、光硬化型黒色接着剤 (株)スリーボンド 大槻 直也 氏
アニオンUV硬化を中心に、ラジカル、カチオン、アニオンUV硬化の原理および接着剤分野におけるそれぞれの硬化方法の長所と短所を解説していただいた。また、(株)スリーボンド社の製品を中心に、各硬化方法を利用した種々の接着剤製品を紹介していただいた。また、トピックスとして光硬化型黒色接着剤について紹介していただいた。
9. トピックス フォトレジストの分析技術~薄膜の化学構造解析を中心に~ (株)東レリサーチセンター 萬 尚樹 氏
フォトレジストの露光・現像プロセスにおける化学構造変化を把握するための分析法は限られているが、近年の分析技術の進歩により、得られる情報量が多くなってきた。GCIB-TOF-SIMSによる化学増幅型レジストの深さ方向分析では、PAGの分布や酸の拡散挙動、脱保護反応を明確にとらえることができる。本講演では、フォトレジストの薄膜での分析事例を中心に、最近の分析技術について解説していただいた。

第240回講演会
日 時 2020(令和2)年10月16日(木)
場 所 オンライン開催(Teams)
テーマ 『ファインバブルの医療、農業・林業、工学分野への実用の可能性』
  現在注目されているファインバブルに関して、バイオ医薬、農業・林業分野への応用、滅菌技術や有機物分解に対する最新の成果について、当分野で著名な研究者による講演をオンラインで行った。
講演内容 1. 「バイオ医薬分野におけるウルトファインバブルの応用」 福岡大学 立花 克郎 氏
現在、マイクロバブルは医療分野で診断および治療を目的に臨床応用されている。超音波エネルギーでマイクロバブルを共振・崩壊することで、様々な化合物を物理化学的に励起でき、血栓の溶解、癌治療、遺伝子治療など大きなポテンシャルを有する。本講演では、さらに微細なウルトラファインバブルを用いた最新の研究成果について解説頂いた。
2.「農業・林業分野を中心としたファインバブル技術の実用化研究」 岩谷産業 小池 国彦 氏
ファインバブルは、洗浄や排水処理分野を中心に実用化が進んでいるが、植物の発芽率や生育速度の向上にも効果が認められている。この効果に着目し、ファインバブルの基本特性評価と合わせて、農業・林業分野への実用化開発に注力している具体的事例を解説頂いた。
3.「オゾンファインバブルによる滅菌技術」 ヤマト科学 筧 伸雄 氏
感染症対策の中で最重要プロセスの一つである滅菌工程におけるオゾンファインバブルを用いた新滅菌装置開発とその基盤技術であるファインバブルの、発生方法、測定技術、およびアプリケーションについて詳細に解説頂いた。
4.「オゾンマイクロバブルによる有機物分解」 大阪市立大学 堀邊 英夫 氏
マイクロバブルの有効性について、工学的観点から紹介頂いた。オゾンマイクロバブルを用いたレジスト薄膜の分解をレジストの化学構造、pH依存性、温度依存性について、また、水溶液中での高分子化合物(ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸等)の分解促進酸化も含めTOC、NMR、分子量の観点から解説頂いた。

第241回講演会
日 時 2020(令和2)年12月3日(木)13:00~17:00
場 所 Teamsでのオンライン開催
テーマ 『グリーンポリマーと環境調和型フォトポリマーの新展開』(有機エレクトロニクス材料研究会共催)
  本講演会では人類的課題となっている海洋漂流マイクロプラスチックの現象や状況について詳しい説明があり、これを踏まえたプラスチックの環境負荷低減、循環型社会への取り組みへの課題やさまざまな試み、さらには光反応が関与する環境調和型フォトポリマーに関する成果について詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 1. 「海洋プラスチックデブリ問題と海洋生分解性プラスチック」 群馬大学 粕谷 健一 氏
海洋プラスチックごみが引き起こす地球的な現象やさまざまな課題と、生分解性プラスチックを取り巻く情勢について解説され、生分解性プラスチックとその環境分解機構における分解微生物、分解酵素による分解について詳しく説明された。現在取り組んでいる光反応も含む海洋時限分解性プラスチックの創出に関する研究成果についてご講演を頂いた。
2.「感光性分解コントロール型バイオポリマー」 北陸先端科学技術大学院大学 金子 達雄 氏
多官能性バイオ分子を構造制御することで環境適応型材料を開発しており、光刺激応答型分解性の背景から解説し、生物由来の桂皮酸ポリマーである光応答分解性ポリエステル、生体分子の一つであるイタコン酸を用いた高性能な光応答水溶化バイオナイロンについて詳しくご講演頂いた。これらは光と水による刺激応答により水溶化し、分解、崩壊するものであり、いったん海洋に出ると光と水の二重刺激により分解性へと変化する海洋分解性プラスチックとなることについて詳しく解説された。
3.「パッケージにおける循環型社会に向けた取り組み」 東洋インキ株式会社 丹羽 紀人 氏
インド駐在のご経験に基づくプラスチックごみ問題と世界的な環境対応の取り組みとについて解説された。これに関する東洋インキグループの環境対応型パッケージ材料でのバイオマスインキ、水性インキなどの開発や課題、またリサイクル実現に貢献するインキ・接着剤脱離システムなどの技術等に関する具体的事例を紹介し、循環型社会をつくるためのプラスチック容器・パッケージの提案について講演された。
4.「リワーク型樹脂とその応用:環境負荷低減を目指して」 大阪府立大学 岡村 晴之 氏
光硬化性樹脂と環境問題について解説された。リワーク型樹脂の概念に基づき、光照射で架橋・硬化し、次に異なる波長の光照射とそれに続く加熱を行うと架橋構造が解裂し硬化物を溶解除去する事ができる解架橋性光硬化樹脂の設計と合成について説明された。また、光パターニング材料への応用や生物由来のモノマー材料などユニークな特長についてもご講演頂いた。

第242回講演会
日 時 2021(令和3)年1月27日(水)13:00~17:00
場 所 オンライン開催(Teams)
テーマ 『フォトリソグラフィと材料技術開発』
  半導体産業を支えるフォトリソグラフィ技術の進歩の背景に様々な技術分野での開発・改良の歴史がありました。それらの中の1つの技術でも欠けていたならば、この技術は現在のレベルには至らなかったものと考えられます。これらの技術分野の中から「フォトリソグラフィと材料技術開発」と題してレジスト材料技術及び分析・シミュレーションの技術分野での進展と将来像を考えてみたいと思います。
講演内容 1. 「Lithography’s Endgame」 EMDパフォーマンスマテリアルズ Ralph Dammel 氏
フォトリソグラフィの歴史を解説頂き、その技術はチップ設計が3次元に移行するにつれて、ノードを進歩させるためのゲーティング技術としての歴史的な役割を失いつつあります。 EUVの登場により現実的に最終波長に到達したと言っても過言ではない。このプレゼンテーションでは、デバイスの高密度化がリソグラフィ技術と共にチップ製造技術及び材料設計がそれぞれの極限技術を目指している状況を解説して頂いた。
2.「EUVレジストの軌跡と今後への期待」 JSR(株) 丸山 研 氏
EUVリソグラフィの実デバイスへの適用が本格化している。EUV用フォトレジストの開発を振り返ると共に、レジスト開発の一端としてstochastic errorを低減するための技術を報告頂き、更なる微細化技術としての今後の展望について解説して頂いた。
3.「レジスト材料の分析技術」 (株)東レリサーチセンター 萬 尚樹 氏
レジストの露光・現像プロセスにおける化学構造変化を把握するために有効な最新分析技術について解説頂いた。主な分析技術としてGCIB-TOF-SIMSによるレジスト膜の深さ方向解析法、マイクロGPC & 熱分解GC/MSによる現像境界領域の解析法及びレジスト表面分析としての最新技術としてLESA-NanoESI-MSによる分析法を紹介頂いた。
4.「分子シミュレーションとその応用」 境界科技研、東京理科大学 鳥海 実 氏
最先端の半導体デバイスの量産現場では光源波長が13.5nm のEUVリソグラフィが使われるようになり、5nmノードプロセスが行われている。このプロセスにおいても化学増幅レジストが使われているが、その解像度、感度、パターン側壁の荒れなどのレジスト特性を向上させるための手法として分子シミュレーションを援用した取り組みについて紹介頂いた。

会告


2019年度(令和元年)活動報告

総会・第231回講演会
日 時 2019年4月25日(木)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
総 会 平成30年度事業報告および決算収支報告の承認。2019年度事業計画および予算の決議。
第231回
講演会
『次世代リソグラフィ技術の展開』のテーマの下に次の3件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
13:30~14:30
「EUVリソグラフィの課題と今後の展開」
兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
EUVリソグラフィについて、ハードウェア(露光機)、プロセスおよびマスク、レジスト材料など量産適用のための技術開発が進められているが、レジスト材料、光源などのさらに改良が必要な課題も残されている。本講演では、このような状況の中で、技術開発の現状および今後の展望について概説していただいた。
14:40~15:40
「EUV露光装置の現状と今後」
ASMLジャパン 宮崎 順二 氏
ASMLは次世代露光技術であるEUVリソグラフィ装置の世界唯一のメーカーで、EUVは1台1億ドル以上かかるような世界で最も高価な精密機械ともいわれる。該社が開発を進めているEUV露光装置の現状と将来展望などを概説していただいた。
15:50~16:50
「先端フォトレジスト技術」
JSR 丸山 研 氏
EUVレジストを中心に、材料およびプロセスの開発が精力的に進められている。歴史的なレジスト材料を俯瞰し、金属レジストなどの最近の研究動向、将来展望を概説していただいた。

第232回講演会
日 時 2019年6月6日(木)13:00~16:55
場 所 東京理科大学 森戸記念館
テーマ 『フォトポリマーによる微小構造形成技術の新展開』
本講演会では生物の表面構造により発現する機能とこれを模倣した表面やデバイスが紹介され、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
第232回講演会

講演内容
1. 「フォトポリマーを利用した機能表面の創成と応用」 工学院大学 鈴木 健司 氏
生物の表面構造により発現する機能とこれを模倣した興味深い表面やデバイスが紹介され、さらに昆虫の表面機能を模倣したマイクロロボットについての最近の研究成果についてご講演を頂いた。
2.「MEMS用レジストの新展開」 日本化薬(株) 小野 禎之 氏
MEMSは半導体微細加工技術を基礎に発展した小型システムである。エポキシ硬化反応を利用した代表的MEMSレジストであるSU-8とその材料的展開と、接合や埋め込みなどの各プロセスと対応するMEMSレジストと将来について詳しくご講演頂いた。
3.「高規則性ポーラスアルミナを用いた光インプリントによるナノ規則表面形成と機能化」 首都大学東京 柳下 崇 氏
陽極酸化によって作製される高規則性ポーラスアルミナをモールドにした光インプリントによる規則パターンの形成と撥水表面や反射防止表面などの機能性表面への展開について詳しくご講演頂いた。
4.「微細構造作製技術を利用した生体模倣材料」 名古屋工業大学 石井 大佑 氏
フナムシの後ろ脚にある微小構造で形成されたオープン流路を模倣したフナムシ流路について、その化学的組成を系統的に変化させて、液体輸送や水―オイル分離システムとなり得るマイクロ流体デバイスへの展開について詳しくご講演頂いた。

第29回フォトポリマー講習会
日 時 2019年8月29日-30日
場 所 東京理科大学 神楽坂キャンパス2号館222教室
  基礎編、応用編に分けて2日間9件の講演が行われた。第1日目の最終プログラムとして統括討議と懇親会が実施された。懇親会では参加者と講師の先生方ほぼ全員が出席し、ビールを飲みながら和気藹々とディスカッションや名刺交換を行い、よい雰囲気であった。構成はフォトポリマーを網羅し、かつ、応用編ではノウハウに関わる話題まであり本講習会に出席すればフォトポリマーの全貌が理解できる内容であった。
Ⅰ.基礎編 1.フォトポリマーの光化学 大阪府立大学 岡村 晴之 氏
フォトポリマーについて考えるためには、一般的な光化学の概念を基礎とするも、その他に有機化学や生化学の概念も必要となってくる。本講演では、光吸収や分子の励起、エネルギーや電子の移動、増感反応等基礎的な光化学と、それらを実際にフォトポリマーに活用した幾つかの具体例を解説していただいた。
2.フォトポリマーの材料設計 信州大学 上野 巧 氏
感光性材料をパターン転写のために用いる場合と永久膜として用いる場合ではその材料設計が異なる。塗布、露光、現像などのプロセスにおける留意点を解説し、感光材料の設計を考察していただいた。また高感度、高解像度のパターンを得るために重要な光化学反応、現像についても解説していただいた。
3.光酸発生剤の基礎 サンアプロ(株) 白石 篤志 氏
光酸発生剤は、カチオン重合および半導体デバイス製造のための化学増幅型フォトレジスト等、各種産業上の種々の用途に用いられており、それら用途によって、適応する光発生剤も異なってくる。本講演では、光酸発生剤の分類・反応、それぞれの応用で要求される特性、およびその組成物の性能を最適化するための光酸発生剤の選択について紹介していただいた。
4.フォトポリマーの特性評価 リソテックジャパン(株) 関口 淳 氏
フォトポリマーを設計、開発、使用する上で必要な特性評価について概説していただいた。特に近年リソグラフィにとって重要な化学増幅型レジストについて、①脱保護反応の評価、②現像中のレジスト膨潤の評価、③PAGからの酸発生挙動の評価、④PAGからの酸の拡散挙動の評価を中心に詳しく解説していただいた。また、演者が考案した脱保護過程を分析すためのぺーく付きFT-IR分光装置についてもご紹介いただいた。
Ⅱ.応用編 5.微細加工用レジスト 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
LSIの微細加工は、レジスト材料の発展によって支えられてきた。本講演では、レジスト材料開発の歴史と、波長別レジスト材料について紹介し、最先端半導体加工技術としてEUVLでの量産が開始されたこと、今後の展望も解説していただいた。あわせて、兵庫県立大学のEUVレジスト研究施設を紹介し、さらに、レジスト開発状況についても説明していただいた。
6.コーティング分野におけるモノマーとフオトポリマーの役割と設計思想 荒川化学工業(株) 冨樫 晴久 氏
光硬化を利用したコーティングはディスプレイや光学フィルムを製造する際に欠かせない技術である。重合活性基を有する様々なモノマーと、それらを変性したオリゴマー、光開始剤の特性と基本的な組み合わせ例を紹介していただいた。
7.ウエハーコート用感光性耐熱材料 日立化成デュポンマイクロシステムズ(株) 大江 匡之 氏
半導体の保護膜などに用いられている感光性耐熱材料について、ポリイミド(PI)およびポリベンゾオキサゾール(PBO)系の材料を中心に概説した。ポリイミドの光化学、具体的な感光材料、次世代に向けた、低温硬化材料などへの取り組みを紹介していただいた。
8.光硬化型接着剤の概要と光アニオン硬化、光硬化型黒色接着剤 (株)スリーボンド 大槻 直也 氏
アニオンUV硬化を中心に、ラジカル、カチオン、アニオンUV硬化の原理および接着剤分野におけるそれぞれの効果方法の長所と短所を解説していただいた。また、(株)スリーボンド社の製品を中心に、各硬化方法を利用した種々の接着剤製品を紹介していただいた。また、トピックスとして光硬化型黒色接着剤について紹介していただいた。
9. トピックス 黎明期からのリソグラフィの進化:悠久のレジスト材料開発 フォトポリマー懇話会/神奈川大学 鴨志田洋一 氏
現在の情報化社会はマイクロエレクトロニクス(ME)の進化に支えられている。MEはリソグラフィ技術の結晶であり、リソグラフィの進歩は露光装置をはじめとするハードウェア、レジスト材料、プロセス技術開発など日本が発展期を牽引してきた。特にレジスト材料開発に関しては、発展期から現在に至るまで日本の材料メーカーが中心となって推進してきている。ゴム系ネガ型フォトレジストからg線/i線ノボラック系レジスト、エキシマレーザ化学増幅型レジストまで材料開発の歴史の光と陰を振り返り、さらに今後の材料開発を展望した。

2019年(令和元年)度見学会・第233回講演会
日 時 2019年9月11日(水)13:30~16:15
場 所 日立化成株式会社 パッケージングソリューションセンタ
見学会 次世代パッケージの研究開発を加速するための最先端の実装装置を設置したクリーンルーム、実験スペース、装置メーカー、材料メーカーとともに、次々世代パッケージを評価するためのコンソーシアム専用スペース等を案内していただき、直径300mmウエハーサイズから600mm角パネルサイズまで対応する最先端の半導体実装装置最先端のウエハーの加工方法であるレーザーダイシングやパネルレベルのステッパーによる微細配線形成、さらに2.5D実装、3D実装、FOWLP、FOPLPの試作、評価用の設備を見学させていただいた。
第233回講演会 「パッケージングソリューションセンタを利用したオープンイノベーション戦略と成果」 パッケージングソリューションセンタ 宮崎 忠一 氏
峯岸 知典 氏
半導体実装材料・プロセスのオープンイノベーションを促進するオープン・ラボ(茨城県つくば市)の機能を強化すべく、神奈川県川崎市(新川崎)に移転し、パッケージングソリューションセンタを開設した。実装材料クラスターの戦略的拠点とし、材料の提供にとどまらず、プロセスを含めた総合的なソリューション・プロバイダーとして、お客さま、装置メーカー、材料メーカー各社とともにオープンイノベーションに取り組み、新規最先端パッケージの実現に貢献してゆくとのこと。研究事例を交えて説明していただいた。

第234回講演会
日 時 2019(令和元)年10月11日(金)13:00~17:00
場 所 大阪市大文化交流センター
テーマ 『フォトポリマーによる微小構造形成技術の新展開』
講演内容 1.「柔軟性に優れる多官能アクリレートの特性と応用例」 阪本薬品工業(株) 栗山 重平 氏
光硬化性樹脂の1つであるアクリレートは、硬化に熱を必要とせず、短時間で硬化できることに加え、無溶剤化が可能であることから、省エネルギーで環境負荷が少ない材料である。グリセリンの重縮合物であるポリグリセリンを主骨格に用いた多官能アクリレートについては、柔軟なポリグリセリン骨格により、硬化物は硬化速度が早い、柔軟性が高い、硬化収縮が低いなど多くの特徴を有する。本講演では、ポリグリセリンアクリレートモノマーについて、その基礎物性と応用例を紹介頂いた。
2.「エステル交換法による多官能アクリレートの開発」 東亞合成(株) 大房 一樹 氏
従来、多官能アクリレートは脱水エステル法が主な製造法であったが、マイケル付加反応による高分子量化や、強酸触媒の残存による経時変化などの問題があった。本講演では、エステル交換法による新しい多官能アクリレートの製造法を確立し、従来よりも低粘度、高純度な多官能アクリレートについて紹介された。さらに、植物由来原料の活用や高親水性など、これまでは実現困難だった多官能アクリレート化合物についても説明された。
3.「フォトレジストの分析技術~薄膜の化学構造解析を中心に~」 (株)東レリサーチセンター 萬 尚樹 氏
フォトレジストの露光・現像プロセスにおける化学構造変化を把握するための分析法は限られているが、近年の分析技術の進歩により、得られる情報量が増加してきた。特にGCIB-TOF-SIMSによる化学増幅型レジストの深さ方向分析では、PAGの分布や酸の拡散挙動、脱保護反応を明確に捉えることができる。本講演では、フォトレジストの薄膜での分析事例を中心に、最新の分析技術について解説頂いた。
4.「感光性耐熱材料の最近の進歩」 東レ(株) 富川 真佐夫 氏
感光性ポリイミド、感光性PBOはファンアウト型パッケージの再配線材料への展開が進められている。銅配線との接着、マイグレーション耐性、高温放置耐性などについて触れるとともに、低温硬化に向けた取り組みなどについて紹介頂いた。さらに、低誘電率化・低誘電損失化などの今後の開発のトレンドについて述べられた。

第236回講演会
日 時 2020(令和2)年1月28日(火)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
テーマ 『短波長光源と波長の科学 ~マッチングと新しい選択~』
  各種光源から発生する様々な波長を利用した新しい技術が開発され、多くの分野で実用に向けた研究開発が進んでいる。今回は、短波長光源に焦点をあて光源と波長及び波長にマッチした革新的な微細構造体開発やその応用についての紹介を頂きました。また、放射光(軟X線領域)やガンマ線領域における最新の技術革新についても紹介して頂きました。また、ご講演の後、参加者との質疑応答を通して相互の理解を深めることができました。
講演内容 1. 「エキシマランプを用いたポリマー表面処理と応用事例」 事業統括本部 伊藤 寛泰 氏
UV-C / 真空紫外光と呼ばれる短波長UV(エキシマランプ)を用いたポリマー表面の洗浄・改質技術、またその応用事例についてご紹介頂いた。エキシマランプ処理の基本的特徴から実用面でのメリットについて詳しくご講演頂いた。
2.「革新的なモノづくりと分子接合技術」 岩手大学 八甫谷 明彦 氏
分子接合技術は、2官能性化合物X(分子接合剤)を用いて、材料Aと材料B間を共有結合で接合する技術である。本技術を応用することにより、プロセスとプロダクトのイノベーションを生み出すことが期待でき、材料依存性、接合条件依存性、及び環境依存性を軽減することができる。共有結合で強固に接合できる分子接合技術の概要及びプロセス変革と製品の付加価値を生み出すエレクトロニクス分野での適用事例についてご講演頂いた。
3.「医用LIGAプロセスの研究開発」 兵庫県立大学 内海 裕一 氏
先端産業を支える各種マイクロ部品の開発において高機能化、高集積化が進み、数μm~数100μmレベルの3次元構造体の作製が重要である。また、高感度かつ迅速な小型の分析ステムが医療現場などで求められ、分析に必要な単位化学操作をオンチップで行なえるマイクロ化学システムが注目されている。講演者が開発しているLIGAプロセスとそれを用いた3次元的なマイクロ流体回路の構築を通した種々の環境阻害物質やマウス免疫グロブリン等の高感度測定への適用例など詳しく紹介頂いた。
4.「準単色・偏極ガンマ線の発生と利用研究」 兵庫県立大学 宮本 修治 氏
レーザー・コンプトン散乱(LCS)ガンマ線源とその特徴を紹介頂いた後、このガンマ線を使った放射性廃棄物処理や医療応用のための核変換研究や光核反応の国際核物理共同研究などの紹介を頂いた。ガンマ線は物質の相互作用で、高効率に陽電子を発生することから、近年高速陽電子を用いた、固体中の空孔欠陥検査への応用が始まっている。ニュースバル放射光施設における、ガンマ線ビームの発生とその特徴、これを用いた光核反応研究や陽電子利用について詳細に紹介頂いた。

会告

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平成30年度活動報告

総会・第226回講演会
日 時 平成30年4月19日(木)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
総 会 平成29年度事業報告および決算収支報告の承認。平成30年度事業計画および予算の決議。
第226回
講演会
『次世代リソグラフィ技術の展開』のテーマの下に次の3件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
13:30~14:30
「先端フォトレジスト技術」
JSR 丸山 研 氏
EUVレジストを中心に、材料およびプロセスの開発が精力的に進められている。歴史的なレジスト材料を俯瞰し、金属レジストなどの最近の研究動向、将来展望を概説していただいた。
14:40~15:40
「半導体量産用ナノインプリントリソグラフィ技術の開発」
キヤノン 伊藤 俊樹 氏
20nm以下の微細パターン形成技術として、半導体量産用のナノインプリント技術が注目されている。量産化に向けてハードウェア、材料およびプロセスの開発が精力的に進められている。該社が開発を進めている半導体量産用のナノインプリント技術とそれに必要なレジスト材料について、最近の研究動向、将来展望などを含めて概説していただいた。
15:50~16:50
「EUVリソグラフィの課題と今後の展開」
兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
EUVリソグラフィについて、ハードウェア(露光機)、プロセスおよびマスク、レジスト材料など量産適用のための技術開発が進められているが、光源開発などのさらに改良が必要な課題も残されている。本講演では、このような状況の中で、技術開発の現状および今後の展望について概説していただいた。

第227回講演会(活動報告)
日 時 平成30年6月7日(木) 13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
テーマ 『光重合性化合物と機能性材料への応用』
  光重合性材料は幅広い分野で使われているが、高機能化を進める上で新規な光重合性材料登場への期待は大きい。本講演会では光酸発生剤、光塩基発生剤といった光開始系と光硬化を利用した高屈折率材料について、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 1. 「ターアリーレン系フォトクロミック分子の高感度化と酸発生剤への展開」 奈良先端科学技術 大学院大学 物質創成科学研究科 河合 壯 氏
フォトクロミック分子のジアリールエテンのπ共役系を拡張したターアリーレンは、分子構造によりほぼ100%の光反応量子収率を示すなど高性能化が可能である。本講演では高感度光酸発生剤や放射線検出機能などについて最近の研究成果についてご講演頂いた。
2. 「光架橋による有機無機ハイブリッドの創成と高屈折率材料への応用」 京都工芸繊維大学 分子科学系 松川 公洋 氏
高屈折率無機ナノ物質を含んだ有機無機ハイブリッド材料は、ディスプレイ等に不可欠な光学薄膜に有効である。本講演では、シルセスキオキサンや無機酸化物ナノ粒子を含有する有機無機ハイブリッド材料を光架橋で作製し、屈折率を制御した透明薄膜へ応用した研究成果についてご講演頂いた。
3. 「ジアリルフルオレン/ポリシランブレンド膜の高屈折率光硬化膜の調製とその屈折率制御」 大阪府立大学 大学院工学研究科 岡村 晴之 氏
ジアリルフルオレンやポリシランの高屈折率性を利用した光硬化膜の調製と、ポリシランの光分解性を利用した光硬化膜の屈折率制御について、光開始剤の選択や照射波長の観点から詳しくご講演頂いた。
4.「光塩基発生剤を用いたUVアニオン硬化と応用事例」 富士フイルム和光純薬株式会社 試薬化成品研究所 酒井 信彦 氏
工業的に生産され徐々に普及が進み始めている光塩基発生剤(PBG:Photo base generator)は、ラジカルや強酸を活性種とする既存のUV硬化系には見られない様々な特長を有している。本講演では、PBGの選定法および硬化できる樹脂の種類について応用事例を交えてご講演頂いた。

第28回フォトポリマー講習会
日 時 平成30年8月28日-29日
場 所 東京理科大学 森戸記念館
  基礎編、応用編に分けて2日間9件の講演が行われた。第1日目の最終プログラムとして統括討議と懇親会が実施された。懇親会では参加者と講師の先生方ほぼ全員が出席し、ビールを飲みながら和気藹々とディスカッションや名刺交換を行い、よい雰囲気であった。構成はフォトポリマーを網羅し、かつ、応用編ではノウハウに関わるお話まであり本講習会に出席すればフォトポリマーの全貌が理解できる内容であった。
Ⅰ.基礎編 1.フォトポリマーの光化学 大阪府立大学 岡村 晴之 氏
フォトポリマーについて考えるためには、一般的な光化学の概念を基礎とするも、その他に有機化学や生化学の概念も必要となってくる。本講演では、光吸収や分子の励起、エネルギーや電子の移動、増感反応等基礎的な光化学と、それらを実際にフォトポリマーに活用した幾つかの具体例を解説していただいた。
2.フォトポリマーの材料設計 信州大学 上野 巧 氏
感光性材料をパターン転写のために用いる場合と永久膜として用いる場合ではその材料設計が異なる。塗布、露光、現像などのプロセスにおける留意点を解説し、感光材料の設計を考察した。また高感度、高解像度のパターンを得るために重要な光化学反応、現像についても解説していただいた。
3.光酸発生剤の基礎 サンアプロ(株) 白石 篤志 氏
光酸発生剤は、カチオン重合および半導体デバイス製造のための化学増幅型フォトレジスト等、各種産業上の種々の用途に用いられており、それら用途によって、適応する光発生剤も異なってくる。本講演では、光酸発生剤の分類・反応、それぞれの応用で要求される特性、およびその組成物の性能を最適化するための光酸発生剤の選択について紹介していただいた。
4.フォトポリマーの特性評価 リソテックジャパン(株) 関口 淳 氏
フォトポリマーを設計、開発、使用する上で必要な特性評価について概説していただいた。特に近年リソグラフィにとって重要な化学増幅型レジストについて、①脱保護反応の評価、②現像中のレジスト膨潤の評価、③PAGからの酸発生挙動の評価、④PAGからの酸の拡散挙動の評価を中心に詳しく解説していただいた。
Ⅱ.応用編 5.微細加工用レジスト 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
LSIの微細加工は、レジスト材料の発展によって支えられてきた。本講演では、レジスト材料開発の歴史と、波長別レジスト材料について紹介し、今後の最先端半導体加工技術としてEUVLなどの展望も解説していただいた。あわせて、兵庫県立大学のEUVレジスト研究施設を紹介し、さらに、レジスト開発状況についても説明していただいた。
6.コーティング分野におけるモノマーとフオトポリマーの役割と設計思想 荒川化学工業(株) 冨樫 晴久 氏
光硬化を利用したコーティングはディスプレイや光学フィルムを製造する際に欠かせない技術である。重合活性基を有する様々なモノマーと、それらを変性したオリゴマー、光開始剤の特性と基本的な組み合わせ例を紹介していただいた。
7.ウエハーコート用感光性耐熱材料 日立化成デュポンマイクロシステムズ(株) 大江 匡之 氏
半導体の保護膜などに用いられている感光性耐熱材料について、ポリイミド(PI)およびポリベンゾオキサゾール(PBO)系の材料を中心に概説した。ポリイミドの光化学、具体的な感光材料、次世代に向けた、低温硬化材料などへの取り組みを紹介していただいた。
8.光硬化型接着剤の概要と光アニオン硬化、光硬化型黒色接着剤 (株)スリーボンド 大槻 直也 氏
アニオンUV硬化を中心に、ラジカル、カチオン、アニオンUV硬化の原理および接着剤分野におけるそれぞれの効果方法の長所と短所を解説していただいた。また、(株)スリーボンド社の製品を中心に、各硬化方法を利用した種々の接着剤製品を紹介していただいた。
9. トピックス 黎明期からのリソグラフィの進化:悠久のレジスト材料開発 フォトポリマー懇話会/神奈川大学 鴨志田洋一 氏
現在の情報化社会はマイクロエレクトロニクス(ME)の進化に支えられている。MEはリソグラフィ技術の結晶であり、リソグラフィの進歩は露光装置をはじめとするハードウェア、レジスト材料、プロセス技術開発など日本が発展期を牽引してきた。特にレジスト材料開発に関しては、発展期から現在に至るまで日本の材料メーカーが中心となって推進してきている。ゴム系ネガ型フォトレジストからg線/i線ノボラック系レジスト、エキシマレーザ化学増幅型レジストまで材料開発の歴史の光と陰を振り返り、さらに今後の材料開発を展望した。

第228回講演会(活動報告)
日 時

平成30年10月11日 13:00~16:55

場 所 東京理科大学 森戸記念館
テーマ 『分子性材料の基礎とフォトレジスト』
  フォトレジストは分子レジスト材料や誘導自己組織化(DSA)材料へ展開されており、分子性材料の実用化例となっており今後の展開が興味深い。本講演会では分子性材料の概念を振り返り、今後の展開とフォトレジストでの最近の進展について、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 1. 「誘導自己組織化(DSA)レジストの展開」 NTT物性科学基礎研究所 山口 徹 氏
ブロックコポリマーを用いた自己組織化は、フォトリソグラフィー技術と融合し、誘導自己組織化(DSA)技術を生み出した。本講演では、多くの参考文献に基づき、これらのDSAレジスト開発を概観し、誘導自己組織化と欠陥の問題や大量生産への課題などの技術的展開について最近の研究成果について、ご講演を頂いた。
2.「極端紫外線リソグラフィー用レジスト材料の分子設計」 関西大学 化学生命工学部 工藤 宏人 氏
低分子材料によるラダー型環状オリゴマーなどを基盤とした次世代分子レジスト材料の開発が注目されている。本講演では、環状オリゴマー、高分岐ポリアセタール、テルル含有材料、タンニン酸誘導体などの極端紫外線(EUV)リソグラフィーレジスト材料について詳しくご講演頂いた。
3.「デンドリティックフォトポリマーの構築と特性評価」 東京理科大学 理学部 青木 健一 氏
クリック反応を組み合わせた簡便なデンドリマーの大量合成法を見出し、これを基盤にエン・チオール系UV硬化材料や塩基増殖性フォトポリマー、光架橋性デンドリティックフォトポリマーなどへの展開について詳しくご講演頂いた。
4.「分子性材料の基礎と将来」 東北大学 多元物質科学研究所 芥川 智行 氏
機能性分子集合体、分子性導体・分子磁性体・分子性強誘電体、分子性強弾性体など分子性材料の実現が本格化している。本講演では分子性材料の概念について解説するとともに、分子デバイスをめざした次世代の多重機能性複合材料の開発について、分子集合体の物性化学を基盤として、発光センサ材料やゲスト吸脱着材料、有機塩の誘電応答、有機結晶の熱による結晶ジャンプ挙動など幾つかの事例を交えてご講演頂いた。

第229回講演会(活動報告)
日 時

平成31年12月6日(木) 13:00~16:50

場 所 東京理科大学 森戸記念館
テーマ 『フレキシブルエレクトロニクス』
  IoT時代を迎え、電子デバイスが身に着けている事を忘れるほど小さなサイズになってきている。従来のリジッドからフレキシブルやストレッチャブルと言った柔軟で体にフィットする新しい技術が必要となっている。本講演会では、これら電子デバイスを支える技術及び将来の電子デバイスの可能性を含めたご紹介を頂き、ご講演の後、参加者との質疑応答を通して理解を深めることができた。
講演内容 1. 「産業応用を見据えた有機半導体材料の開発戦略」 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 岡本 敏宏 氏
有機半導体材料はシリコンに代表される無機半導体材料と比べて、安価、軽量、低環境負荷、機械的柔軟性の特長を持ち、有機トランジスタをはじめとするプリンテッド・フレキシブルエレクトロニクスへの期待が益々高まっている。講演者が最近開発したp型およびn型有機半導体分子群をわかりやすく紹介頂いた。また、講演者が取り組んできた有機半導体材料の開発戦略についても紹介頂いた。
2.「フレキシブル・プリンテッド有機エレクトロニクスの基盤研究と応用展開」 山形大学 有機エレクトロニクス研究センター 時任 静士 氏
IoT社会の到来に合わせて膨大なセンサがヘルスケア、医療、物流、農業、自動車用途として手頃な価格で製造する必要がある。本講演では、金属導電体や有機半導体の機能性インク、印刷技術の特徴、有機薄膜トランジスタ、集積回路、圧電素子などのデバイス、その具体的な応用まで、この分野に関わる最新技術を詳しくご紹介頂いた。。
3.「液晶性を活用した有機半導体の大面積薄膜作製プロセスと応用」」 東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 飯野 裕明 氏
可溶性の低分子結晶材料は、高移動度の有機半導体材料として期待されているが、溶液プロセス適合性がなく、大面積に平坦性が高く、特性のそろった電子デバイスを作製することが困難であった。本講演では、液晶性を活用した液晶性有機半導体材料の多結晶薄膜の製膜プロセスとその有機薄膜トランジスタ応用について詳しくご講演頂いた。
4.「フォトシンタリング型Cuナノインクによる有機フィルム上での導電パターンの形成」 石原ケミカル株式会社 第三研究部 開発一課 南原 聡 氏
あらゆるモノがインターネットでつながるIoT(Internet of Things)において、センサーは、軽く、薄く、曲げられるという特性が求められる。そこで、印刷法を用いて回路形成するプリンテッドエレクトロニクスが注目されている。本講演では、ナノインクを用いて、印刷法により回路パターンを形成し、フラッシュランプを用いて、大気下、短時間でCu回路を形成するフォトシンタリング法の紹介を頂いた。

第230回講演会(活動報告)
日 時

平成31年1月25日(金) 13:00~17:00

場 所 大阪市立大学 文化交流センター
テーマ 『光機能性材料の最近の進歩』
  「光機能性材料の最近の進歩」について、フォトポリマーの基礎から応用までを講演していただいた。4人の講演者全員が企業の方である点も今回の特徴であった。光機能性材料の最近の進歩に関する詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 1. 「最新ディスプレイの現状と課題および材料開発について」 メルクパフォーマンスマテリアルズ(株) 野中 敏章 氏
LCDとOLEDが取り組む高精細化技術や色再現性技術および最近注目されているマイクロLEDを使ったディスプレイモードの課題などから必要とされる材料開発の現状についてご講演を頂いた。
2.「脂環式エポキシ樹脂の特性と応用例」 (株)ダイセル 鈴木 弘世 氏
脂環式エポキシ樹脂は、密着性・電気特性・耐熱性・反応性に優れることから接着剤、塗料、電気、電子材料に多く利用されている。 本講演では、脂環式エポキシ樹脂の性状、硬化物物性の紹介及び用途展開についてご講演を頂いた。
3.「近赤外光(NIR)に感光する開始剤とこれを用いたフォトポリマーへの応用」 サンアプロ(株) 白石 篤志 氏
フォトポリマーに用いられる材料の多様化に伴って、求められる光源の波長は従来の紫外光領域から、極端紫外光領域~可視光領域、さらに波長が長い近赤外光領域(NIR)に広がりを見せている。今回近赤外光(NIR)に感光する開始剤とこれを用いるフォトポリマーへの応用について詳しくご講演頂いた。
4.「UV硬化組成物におけるモノマー、オリゴマーの選択について」 大阪有機化学工業(株) 猿渡 欣幸 氏
UV硬化技術はエレクトロニクス、印刷、自動車など様々な分野に応用されている。それぞれの分野で様々な解決課題があり、モノマーやオリゴマー、開始剤等の選択が重要な役割を担う。本講演では解決課題別にモノマーやオリゴマーの選択についてご講演頂いた。

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平成29年度活動報告

総会・第220回講演会
日 時 平成29年4月20日(木)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
総 会 平成28年度事業報告および決算収支報告の承認。平成29年度事業計画および予算の決議。
第220回
講演会
『次世代リソグラフィ技術の展開』のテーマの下に次の3件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
13:30~14:30
「EUVリソグラフィの課題と今後の展開」
兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
EUVリソグラフィについて、ハードウェア(露光機)、プロセスおよびマスク、レジスト材料など量産適用のための技術開発が進められているが、光源開発などのさらに改良が必要な課題も残されている。本講演では、このような状況の中で、技術開発の現状および今後の展望について概説していただいた。
14:45~15:50
「半導体量産用ナノインプリントリソグラフィ技術の開発」
キヤノン 伊藤 俊樹 氏
20nm以下の微細パターン形成技術として、半導体量産用のナノインプリント技術が注目されている。量産化に向けてハードウェア、材料およびプロセスの開発が精力的に進められている。該社が開発を進めている半導体量産用のナノインプリント技術とそれに必要なレジスト材料について、最近の研究動向、将来展望などを含めて概説していただいた。
16:00~17:15
「自己組織化(DSA)技術の最前線題」
名古屋大学 高野 敦志 氏
20nm以下の微細パターン形成技術として、自己組織化(DSA)技術が注目されている。量産化に向けてハードウェア、材料およびプロセスの開発が精力的に進められている。ブロック共重合体の自己組織化に焦点を当て、そのモルフォロジー、構造サイズの制御など基礎的な知見を中心に、最近の研究動向、将来展望などを含めて概説していただいた。

第221回講演会
日 時 平成29年6月8日(木) 13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
テーマ 『光重合性材料の最近の進歩』
  光重合性材料は、光源の進化、新たな用途開発が進む中で活発に研究が行われ、日々進歩してきている。今回は、光重合開始剤、重合性モノマーの開発に取り組まれている研究者4名の方に、ご講演頂いた。
講演内容 13:00~13:50
「光開始剤と周辺材料」
株式会社ADEKA 佐藤 直美 氏
UV-LED光源向けの各種開始剤(光ラジカル開始剤、光カチオン開始剤、酸発生剤)、ディスプレイ向けフォトレジスト用ラジカル開始剤について、わかりやすく解説して頂きました。さらに、加熱で露光波長(365nm)の光吸収が低下する酸化防止剤について紹介頂きました。
14:00~14:50
「NIR(近赤外光)に感光する開始剤とこれを用いたフォトポリマーへの応用」
サンアプロ株式会社 白石 篤志 氏
フォトポリマーに用いられる材料の多様化に伴い、要求される光源の波長は従来の紫外光領域から、極端紫外光領域~可視光領域、さらに波長が長い近赤外光領域(NIR)に広がりを見せている。本講演では、NIR(近赤外光)に感光する開始剤とフォトポリマーへの応用について、基礎的な事項からわかりやすく講演頂いた。
15:05~15:55
「脂環式エポキシ樹脂の特性と応用例」
株式会社ダイセル 鈴木 弘世 氏
脂環式エポキシ樹脂は、密着性・電気特性・耐熱性・反応性に優れることから接着剤、塗料、電気、電子材料に多く利用されている。 本講演では、脂環式エポキシ樹脂の性状、硬化物物性の紹介及び用途展開について概説して頂いた。
16:05~16:55
「環境・安全に配慮した新規水溶性硬化材料」
富士フイルム株式会社 水谷 一良 氏
同一分子内に複数の重合性基を有する多官能モノマーは、そのほとんどが水に難溶で有機溶媒にしか溶解しない。本講演では、従来困難とされてきた「硬化性」「水溶性」「安定性」「安全性」の4つの基本特性を高いレベルで実現した新規水溶性多官能アクリルアミドモノマーについて、その基本特性と応用について概説した。

第27回フォトポリマー講習会
日 時 平成29年8月30日-31日
場 所 東京理科大学 森戸記念館
  基礎編、応用編に分けて2日間9件の講演が行われた。第1日目の最終プログラムとして統括討議と懇親会が実施された。懇親会では参加者と講師の先生方ほぼ全員が出席し、ビールを飲みながら和気藹々とディスカッションや名刺交換を行い、よい雰囲気であった。構成はフォトポリマーを網羅し、かつ、応用編ではノウハウに関わるお話まであり本講習会に出席すればフォトポリマーの全貌が理解できる内容であった。
Ⅰ.基礎編 1.フォトポリマーの光化学 東京理科大学 青木 健一 氏
フォトポリマーについて考えるためには、一般的な光化学の概念を基礎とするも、その他に有機化学や生化学の概念も必要となってくる。本講演では、光吸収や分子の励起、エネルギーや電子の移動、増感反応等基礎的な光化学と、それらを実際にフォトポリマーに活用した幾つかの具体例を解説していただいた。
2.フォトポリマーの材料設計 信州大学 上野 巧 氏
感光性材料をパターン転写のために用いる場合と永久膜として用いる場合ではその材料設計が異なる。塗布、露光、現像などのプロセスにおける留意点を解説し、感光材料の設計を考察した。また高感度、高解像度のパターンを得るために重要な光化学反応、現像についても解説していただいた。
3.光酸発生剤の基礎 サンアプロ(株) 白石 篤志 氏
光酸発生剤は、カチオン重合および半導体デバイス製造のための化学増幅型フォトレジスト等、各種産業上の種々の用途に用いられており、それら用途によって、適応する光発生剤も異なってくる。本講演では、光酸発生剤の分類・反応、それぞれの応用で要求される特性、およびその組成物の性能を最適化するための光酸発生剤の選択について紹介していただいた。
4.フォトポリマーの特性評価 リソテックジャパン 関口 淳 氏
フォトポリマーを設計、開発、使用する上で必要な特性評価について概説していただいた。特に近年リソグラフィにとって重要な化学増幅型レジストについて、①脱保護反応の評価、②現像中のレジスト膨潤の評価、③PAGからの酸発生挙動の評価、④PAGからの酸の拡散挙動の評価を中心に詳しく解説していただいた。
Ⅱ.応用編 5.微細加工用レジスト 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
LSIの微細加工は、レジスト材料の発展によって支えられてきた。本講演では、レジスト材料開発の歴史と、波長別レジスト材料について紹介し、今後の最先端半導体加工技術としてEUVLなどの展望も解説していただいた。
6.コーティング分野におけるモノマーとフオトポリマーの役割と設計思想 荒川化学工業(株) 唐澤 隆 氏
光硬化を利用したコーティングはディスプレイや光学フィルムを製造する際に欠かせない技術である。重合活性基を有する様々なモノマーと、それらを変性したオリゴマー、光開始剤の特性と基本的な組み合わせ例を紹介していただいた。
7.ウエハコート用感光性耐熱材料 日立化成デュポンマイクロシステムズ(株) 大江 匡之 氏
半導体の保護膜などに用いられている感光性耐熱材料について、ポリイミド(PI)およびポリベンゾオキサゾール(PBO)系の材料を中心に概説した。ポリイミドの光化学、具体的な感光材料、次世代に向けた、低温硬化材料などへの取り組みを紹介していただいた。
8. 光硬化型”黒色”接着剤~光硬化型接着剤の進化~ (株)スリーボンド 大槻 直也 氏
アニオンUV硬化を中心に、ラジカル、カチオン、アニオンUV硬化の原理および接着剤分野におけるそれぞれの効果方法の長所と短所を解説していただいた。また、(株)スリーボンド社の製品を中心に、各硬化方法を利用した種々の接着剤製品を紹介していただいた。
9.トピックス 黎明期からのリソグラフィの進化:悠久のレジスト材料開発 フォトポリマー懇話会/神奈川大学 鴨志田洋一 氏
現在の情報化社会はマイクロエレクトロニクス(ME)の進化に支えられている。MEはリソグラフィ技術の結晶であり、リソグラフィの進歩は露光装置をはじめとするハードウェア、レジスト材料、プロセス技術開発など日本が発展期を牽引してきた。特にレジスト材料開発に関しては、発展期から現在に至るまで日本の材料メーカーが中心となって推進してきている。ゴム系ネガ型フォトレジストからg線/i線ノボラック系レジスト、エキシマレーザ化学増幅型レジストまで材料開発の歴史の光と陰を振り返り、さらに今後の材料開発を展望した。

平成29年度見学会・第222回講演会
日 時 平成29年9月13日(水)14:00~16:30
見学先 産業技術総合研究所 フレキシブルエレクトロニクス研究センター
概 要 フレキシブルエレクトロニクス研究センターにおいて行っているマイクロコンタクトプリント技術を基盤としたフレキシブルエレクトロニクスの開発について、講演と見学からセンサーなどへの応用展開について理解、体験できた。
第222回講演会 14:00~14:50
「フレキシブルエレクトロニクスに関する技術開発」
産業技術総合研究所 副センター長 牛島 洋史 氏
フレキシブルエレクトロニクス製品が実演される展示会などの情報などの紹介からはじまり、本当の意味でのフレキシブルエレクトロニクスとは何かという解説や細線化と高均質化との関係などの課題を平易に説明された。静電容量センサーの応用を例にとり、大面積のストレッチャブルデバイスでしかできないデバイスなど、これまで量的に拡大してきたエレクトロニクスに対して質的進化が起こる未来のエレクトロニクスを望むコンセプトの解説があった。
見学 15:00~16:00
実験室(印刷装置、評価装置)見学
フレキシブルエレクトロニクス仕様の各種分析装置、印刷装置、試作ルームなどの見学があり、それらの装置の改良の課題の解決が講演と関連づけられて説明された。
16:00~16:30
デモとディスカッション
多くの質問と丁寧な解説があり有意義な討論ができた。

第223回講演会
日 時 平成29年10月12日(木) 13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
テーマ 『3Dプリンティングの現状と将来』
  誰でも自在に立体造形物が作れる“3Dプリンター”が今注目を集めている。フィギュア、人工骨、ピストル、オーダーメイドのシューズ等、安くかつ精度良く製造できれば人助けになるものもある。「何でもできるようで、何もできない」とも言われており、このあたりについて、実際の現場で3Dプリンターに携わっておられるそれぞれの専門家の方に率直にご講演頂き、参加者でディスカッションした。
講演内容 13:00~13:50
「Stratasys社3Dプリンターの概要と活用事例」
丸紅情報システムズ株式会社 丸岡 浩幸 氏
Stratasys社正規代理店として、最新のプログレード樹脂3Dプリンター(FDM、Polyjet)の仕組みと材料の特徴をご解説頂き、「模型を作る」と「実用品、型・治工具を作る(DDM)」の2つの大きな使い方について成功のポイントを国内外の事例を交えてお話し頂いた。
14:00~14:50
「3Dプリンターの将来とは・素材の立場から」
岡本化学工業株式会社 岡本 博明 氏
3Dプリンターは光造形法、粉末積層法、インクジェット法、熱融解積層法など様々な方式があるが、未だプロトタイプ造形の域を出ていないとのお考えであった。素材の立場から、今後用途拡大の為の要件にご言及頂いた。
15:05~15:55
「科学、医療、教育における3Dプリンター応用の現状と将来の展望」
山形大学 川上 勝 氏
現在の3Dプリンターの活用事例として、教育、研究、医療、食の分野への応用例をご紹介頂き、そこで得た講演者の体験を基にして、今後の3Dプリンターの展望を述べられた。
16:05~16:55
「3Dプリンター運用の実際について ~ユーザーの立場から~」
大阪産業技術研究所 吉川 忠作 氏
3Dプリンター運用の実際について、導入・運用を行っている粉末積層造形装置を例に、ユーザーの立場から、積層造形技術の概要、3Dプリンター運用の実際と限界、さらにはデジタルものづくりの可能性についてご紹介頂いた。

第225回講演会
日 時 平成30年1月26日(金) 13:00~16:55
場 所 大阪府立大学 I-site なんば
テーマ 『最先端光機能材料・物性』
  光を用いた機能発現は大変興味深く、従来のプロセスや材料に取って代わる可能性を秘めている。本講演会では、当該分野でご活躍中の先生4名にお越しいただき、今後の展開をふくめて、分かりやすく概説いただいた。詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 13:00~13:50
「超分子的アプローチによる機能性分子の凝集変換と光電特性制御」
大阪大学 藤内 謙光 氏
有機固体材料の物性や機能は分子構造だけではなく、分子集合にも大きく依存する。分子の集合様式を、有機塩を使った容易な方法で変換し、その光電特性を様々に制御する手法や結果について概説していただいた。たいへんわかりやすいスライドが多く、聴講者からの質問も絶えなかった。
14:00~14:50
「光機能性有機結晶の微小フォトアクチュエータへの展開」
大阪市立大学 小畠 誠也 氏
アクチュエーターの話から始まり、結晶中で起こる不思議な変形に関してわかりやすく解説していただいた。動画もふんだんに使用されており、不思議な現象について理解が深まった。聴講者からの興味深い質問に対しても丁寧にご回答いただけた。
15:05~15:55
「表面にナノ構造を付与した固体材料の光学増強機能」
大阪市立大学 坪井 泰之 氏
光ピンセットの話から始まり、先生が推進されている研究のみならず、研究の進め方、方向についても織り交ぜて講演されており、興味深く拝聴した。構造、光、操作というキーワードが今後のフォトポリマーに関しても有用であることを確信した。聴講者から多数の質問があり、さらに理解が深まった。
16:05~16:55
「光マニピュレーションに基く分子認識の光誘導加速」
大阪府立大学 飯田 琢也 氏
先生が推進されている光と物質の力学的相互作用によるナノ、マイクロ物質を捕捉・集積化する技術「光マニピュレーション」に関する多数の研究トピックスをわかりやすくご発表いただいた。理論・実験・分析法への展開等幅広くご紹介いただいた。時間の関係上、聴講者からの質問が多数あるにもかかわらず1件しかお受けできず申し訳なかった。

会告

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平成28年度活動報告

総会・第215回講演会
日 時 平成28年4月25日(月)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
総 会 平成27年度事業報告および決算収支報告の承認。平成28年度事業計画および予算の決議。
第215回
講演会
『次世代リソグラフィ技術の展開』のテーマの下に次の3件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
13:30~14:30
「EUVリソグラフィの課題」
兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
EUVリソグラフィについて、ハードウェア(露光機)、プロセスおよびマスク、レジスト材料など量産適用のための技術開発が進められているが、光源開発などのさらに改良が必要な課題も残されている。本講演では、このような状況の中で、技術開発の現状および今後の展望について概説していただいた。
14:40~15:40
「自己組織化(DSA)技術の最前線」
NTT 山口 徹 氏
20nm以下の微細パターン形成技術として、自己組織化(DSA)技術が注目されている。量産化に向けてハードウェア、材料およびプロセスの開発が精力的に進められている。最近の研究動向、将来展望などを含めて概説していただいた。
15:50~16:50
「先端フォトレジスト開発の現状と課題」
JSR 中川 恭志 氏
次世代レジストシステムとして、EUV露光システムを用い、サブ10nmの高解像性レジストパターンの量産化が期待されている。しかし、高解像性能を導き出すEUVレジスト材料の開発において、超えていかなければならない大きな課題として、露光感度の上昇、パターンのラフネスの改善、アウトガスの低減化、エッチング耐性の改善などが列挙される。本講演では、EUVレジスト材料を中心に開発の現状と課題および今後の開発動向状況について概説していただいた。

第216回講演会
日 時 平成28年6月13日(月) 13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
テーマ 『光開始剤とその応用』
  『光開始剤とその応用』  光開始剤は樹脂に感光性を持たすために必須な化合物群であり、材料分野のみならず化学分野においても幅広く用いられている。本講演会では、光開始剤に対する理解を深めるため、4件の講演を企画し、光開始剤の特徴、実際の使用法や今後の展開について、分かりやすく概説いただいた。詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 13:00~13:50
「光ラジカル発生剤とその最適な選定」
BASFジャパン(株) 鮫島 かおり 氏
光ラジカル発生剤の種類と特性および選定について分かりやすく御教授いただいた。最も多く使用されている開始剤であることから、講演後も質問が絶えず、参加者の関心も高かった。
14:00~14:50
「光塩基発生剤とその応用」
東京理科大学 有光 晃二 氏
光塩基発生剤について、その歴史から講師が展開されている研究を中心に幅広く御教授いただいた。光をトリガーとする塩基発生のみならず、増殖という概念についても御教授いただいた。
15:05~15:55
「光酸発生剤とその応用」
大阪府立大学 岡村 晴之 氏
光酸発生剤について、最近のトピックスを中心に、講師が展開されている近紫外対応光酸発生剤の開発についても御教授いただいた。また、光酸発生剤と他の光開始剤を組み合わせる系についても紹介していただいた。
16:05~16:50
「デンドリマーを利用したラジカル重合型UV硬化材料」
東京理科大学 青木 健一 氏
工業的にも利用可能な大スケールのデンドリマー合成を、光開始剤を用いることにより簡便に合成できる手法とそのUV硬化材料への展開について御教授いただいた。デンドリマーの濃縮された末端構造に着目し、種々の官能基を導入することによるレジスト等機能性材料への応用についても触れていただいた。

平成28年度見学会
日 時 平成28年8月25日(木)14:00~17:00
場 所 NTT技術史料館
  この資料館は、日本に初めて電信機がもたらされた1800年半ばから、1952年に、NTTの前身である日本電信電話公社が発足し、その後の日本における電気通信事業発展の歴史を紹介しています。東京電機大学の堀内敏行教授のご紹介により、展示ホールの新しい情報処理関連技術の説明を受け、さらに史料館を歴史をさぐるガイドツアーで見学することができた。
展示
ホール
見学
項 目 概 要
大規模・高度なDDoS攻撃からお客様を守ります[New] サイバー攻撃に対し自律的に対処することでお客様のネットワークおよびキャリアネットワークのサービスを迅速に回復させるセキュリティオーケストレーション技術について説明された。NTTが新しく開発した本技術により、ネットワークがサイバー攻撃を受けた際、攻撃検知、攻撃種別の特定、防御のための機器制御の3つの作業を自動化した。
Jubatus(ユバタス) Jubatus(ユバタス)とはビッグデータを、より深い分析をして、すばやく次の行動につなげることを実現するデータ処理基盤技術です。機械学習における「分類」アルゴリズムを使ったTwitterの企業分類のデモンストレーションと、その他のアルゴリズムを用いた事例をご紹介された。
機能素材”hitoe”による生体情報計測ウェア NTTが東レ株式会社と開発した、機能素材”hitoe”を用いた「ウェアラブル電極シャツ」をご紹介された。”hitoe”は耐久性が高く、肌へのフィット性・快適性を備えた機能素材であり、着るだけで心拍・心電のモニタリングが可能なシャツを実用化した。
光アクセスネットワークの設備と技術 NTTグループでは、光アクセスネットワーク「フレッツ光」 を利用した家庭向けインターネット接続サービスを通じ、様々な統合サービスをご提供している。お客様とNTTをつなぐ光アクセスネットワークの構成、ならびに主な開発技術についてご紹介された。
指でつまむと引っ張られる感覚:ぶるなび3 指でつまむと引っ張られる感覚を実現するぶるなび3をご紹介された。NTTではケースの中で重りを非対称振動すると大きな力が加わる方向に継続的に引っ張られているような錯覚が生じることを発見しました。この錯覚を利用した牽引力発生装置が「ぶるなび」です。

第26回フォトポリマー講習会
日 時 平成28年9月7日-8日
場 所 東京理科大学 森戸記念館
  基礎編、応用編に分けて2日間9件の講演が行われた。第1日目の最終プログラムとして統括討議と懇親会が実施された。懇親会では参加者と講師の先生方ほぼ全員が出席し、ビールを飲みながら和気藹々とディスカッションや名刺交換を行い、よい雰囲気であった。構成はフォトポリマーを網羅し、かつ、応用編ではノウハウに関わるお話まであり本講習会に出席すればフォトポリマーの全貌が理解できる内容であった。
Ⅰ.基礎編 1.フォトポリマーの光化学 東京理科大学 青木 健一 氏
フォトポリマーについて考えるためには、一般的な光化学の概念を基礎とするものの、その他に有機化学や生化学の概念も必要となってくる。本講演では、光吸収や分子の励起、エネルギーや電子の移動、増感反応等基礎的な光化学と、それらを実際にフォトポリマーに活用した幾つかの具体例を解説していただいた。
2.フォトポリマーの材料設計 信州大学 上野 巧 氏
感光性材料をパターン転写のために用いる場合と永久膜として用いる場合ではその材料設計が異なる。塗布、露光、現像などのプロセスにおける留意点を解説し、感光材料の設計を考察した結果を説明した。また高感度、高解像度のパターンを得るために重要な光化学反応、現像についても解説していただいた。
3.光酸発生剤の基礎 サンアプロ(株) 白石 篤志 氏
光酸発生剤は、カチオン重合および半導体デバイス製造のための化学増幅型フォトレジスト等、各種産業上の種々の用途に用いられており、それら用途によって、適応する光発生剤も異なってくる。本講演では、光酸発生剤の分類・反応、それぞれの応用で要求される特性、およびその組成物の性能を最適化するための光酸発生剤の選択について紹介していただいた。
4.トピックス 超分子ネットワーク 東京大学 伊藤 耕三 氏
超分子ネットワークとは、「ひも」状の高分子を「輪っか」状の分子で接続した、これまでにない、新しいタイプの高分子ネットワーク構造です。「輪っか」は「ひも」のネットワークの結合点としてはたらきますが、「ひも」は「輪っか」を自由にすり抜けることができる。言わば、「分子でできた世界最小の滑車」です。本講演では超分子ネットワークの実用化について解説していただいた。
Ⅱ.応用編 5.微細加工用レジスト 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
LSIの微細加工は、レジスト材料の発展によって支えられてきた。本講演では、レジスト材料開発の歴史と、波長別レジスト材料について紹介し、今後の最先端半導体加工技術としてEUVLなどの展望も解説していただいた。
6.コーティング分野におけるモノマーとフオトポリマーの役割と設計思想 荒川化学工業(株) 澤田 浩 氏
光硬化を利用したコーティングはディスプレイや光学フィルムを製造する際に欠かせない技術である。重合活性基を有する様々なモノマーと、それらを変性したオリゴマー、光開始剤の特性と基本的な組み合わせ例を紹介していただいた。
7.ウエハコート用感光性耐熱材料 日立化成デュポンマイクロシステムズ(株) 大江 匡之 氏
半導体の保護膜などに用いられている感光性耐熱材料について、ポリイミド(PI)およびポリベンゾオキサゾール(PBO)系の材料を中心に概説した。ポリイミドの光化学、具体的な感光材料、次世代に向けた、低温硬化材料などへの取り組みを紹介していただいた。
8. コーティングの表面・界面と接着 神戸大学 西野 孝 氏
基板上に高分子のコーティングを施す際、表面・界面の構造は接着性と密接な関係にある。バルクとは異なって、表面・界面は如何なる構造か、如何にして制御するか、制御の結果、如何なる物性を発現するのか、そして構造・物性を如何にして評価するのか、これらについて最近の話題を具体例を交えて紹介していただいた。
9.フォトポリマーの特性評価 大阪市立大学 堀邊 英夫 氏
EBに着目しレジストの化学構造と解像度および感度との関係を明らかにし、高感度・高解像度のポジ型EBレジストの開発について、材料設計の観点から解説していただいた。

第218回フォトポリマー懇話会・第220回JOEM 合同講演会
日 時 平成28年12月14日(水) 13:00~16:50
場 所 東京理科大学 森戸記念館
第220回
講演会
『光を利用するユニークな接着剤』と題し、次の3件の講演を行った。最終製品には残らないプロセス材料として一時的に使用される仮止め接着剤は、必要なときに接着機能を発揮し、光など外部刺激で簡単に接着力を失い容易に剥がす事の出来る非常にユニークな特長を持っています。今回は、このユニークな特徴を生み出す材料設計・メカニズムなどに関して紹介して頂きました。また、詳細なご講演の後、参加者と講演者の交流ができる時間を設ける事により、相互理解を深めることができた。
講演内容 13:00~14:10
「フォトクロミック反応を利用した光誘起固液相転移と接着材への展開」
産業技術総合研究所 則包 恭央 氏
光異性化反応において紫外光によって融解し可視光で固化する現象を見出し、この現象を活用した材料開発を行い、可逆的な接着材への取り組みから幅広い展開に関してわかり易く紹介頂きました。
14:20~15:30
「反応性高分子の精密合成と光機能性接着材料への応用」
大阪市立大学 佐藤 絵理子 氏
光に応答する易解体性接着材料の開発について、光によって分解や架橋が進行する反応性高分子の設計と精密合成および高分子反応と解体挙動の関係など、モルフォロジーが解体挙動に与える影響の観点からわかり易く紹介頂きました。
15:40~16:50
「熱・超音波・光を用いる剥離性粘着剤」
大阪府立産業技術総合研究所 舘 秀樹 氏
光や熱などの外部刺激によって粘着強度が変化する剥離性粘着剤は、工程フィルムなどのプロセス材料のみならず、リサイクルの観点からも注目を集めています。熱や光、超音波などの外部刺激によって剥離可能な粘着剤や光分解可能な架橋剤を用いた剥離性粘着剤についてわかり易く紹介頂きました。

第219回講演会
日 時 平成29年1月27日(金) 13:00~16:20
場 所 大阪府立大学 I-site なんば C1室
テーマ 『次世代太陽電池の新潮流』
  溶液プロセスで作成が可能な薄膜太陽電池は、次世代太陽電池の有力候補として活発に研究が行われている。本講演会では当分野で活発に研究を行っている新進気鋭の研究者による3件の講演を企画し、次世代太陽電池にむけた取り組みを分かりやすく概説いただいた。詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 13:00~14:00
「高効率・高耐久な有機薄膜太陽電池に向けた半導体ポリマーの開発」
広島大学 尾坂 格 氏
本講演では、高効率・高耐久な有機薄膜太陽電池に向けた半導体ポリマーの開発に対する最新の研究成果について概説していただいた。配向の制御や耐久性に対する重要な考え方について分かりやすく説明いただいた。参加者を交えた議論を興味深く拝聴した。
14:10~15:10
「ペロブスカイト太陽電池:真の有機無機ハイブリッドを目指して」
京都大学 若宮 淳志 氏
本講演では、ペロブスカイト太陽電池に対する演者の取り組み、特に材料の分子設計と高純度化を中心に最新の研究成果について概説していただいた。紙面では披露できないようなノウハウを御披露いただき、その中の重要性について御教授いただいた。
15:20~16:20
「高効率高分子太陽電池のための新戦略」
京都大学 大北 英生 氏
本講演では、高分子太陽電池中の三元ブレンドにおける界面制御による高効率化について、最新の研究成果を交えて概説していただいた。また、今後の展望として、一重項分裂という1光子で2電子を取り出す興味深い取り組みについてもお話いただいた。

会告

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平成27年度活動報告

総会・第209回講演会
日 時 平成27年4月24日(金)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
総 会 平成26年度事業報告および決算収支報告の承認。平成27年度事業計画および予算の決議。
第209回
講演会
『次世代リソグラフィ技術の展開』のテーマの下に次の3件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
13:30~14:30
「EUVリソグラフィの実用化に向けて」
ASMLジャパン 宮崎 順二 氏
EUVリソグラフィについて、ハードウェア(露光機)、プロセスおよびマスク、レジスト材料など量産適用のための技術開発が進められているが、光源開発などのさらに改良が必要な課題も残されている。本講演では、露光機を中心に技術開発の現状について概説していただいた。
14:40~15:40
「ナノインプリントリソグラフィの科学」
東北大学 中川 勝 氏
ナノインプリント技術はパターンドメディア、ディスプレイ部材等を中心に量産応用展開が進んでおり、半導体リソグラフィ技術としても注目されている。装置・プロセス、モールド・材料開発が精力的に進められている。本講演では、本技術の動向と界面機能分子制御に立脚したナノインプリントリソグラフィの科学などを含めて概説していただいた。
15:50~16:50
「自己組織化(DSA)技術」
(株)EUVL基盤開発センター 東 司 氏
ブロック共重合高分子(BCP)を用いた誘導自己組織化(DSA)リソグラフィはハーフピッチサブ15nmレベルの半導体デバイスを低コストで改造できるNGLの一つとして近年注目されている。本講演では、BCPを用いたDSAリソグラフィの概要を解説するとともに、実用化に向けて検討が進んでいるコンタクトホールシュリンクプロセスとラインパターンマルチプリケーションプロセスについて報告いただいた。

第210回講演会
日 時 平成27年6月11日(水) 13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館 第1フォーラム
テーマ 『フォトポリマーにおけるレオロジー』
  『フォトポリマーにおけるレオロジー』のテーマの下に、基礎的な内容から、実際にレオロジー測定で、フォトポリマー材料の評価している応用例まで、4件の講演があり、フォトポリマー研究に携わっていてレオロジー測定に関する実験データをよく見かけるが、今一つよくわからないという研究者に対しわかりやすく概説いただいた。詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 13:00~13:50
「レオロジーの基礎~重合硬化過程の解釈のために~」
千葉大学 大坪 泰文 氏
「レオロジー」とは何か?前半ではレオロジーの基礎理論をわかりやすくご教授いただき、後半では、重合過程におけるレオロジー測定とその解釈方法について概説いただいた。
14:00~14:50
「レオロジー測定の実際」
(株)アントンパール・ジャパン 宮本 圭介 氏
レオロジー測定はどのように行うのか?実際の測定方法をわかりやすくご説明いただき、フォトポリマー研究において役立つ測定方法、ノウハウ等をご紹介いただいた。また、最先端のレオロジー測定法についても概説していただいた。
15:05~15:55
「ソフトマテリアルのレオロジー光制御と光修復塗料や光粘着剤への応用」
産業技術総合研究所 山本 貴広 氏
アゾベンゼンに代表される光応答材料の分子構造変化等を利用してソフトマテリアル(微粒子/液晶複合ゲル、液晶含有高分子)の硬さや流動性の可逆制御、光修復塗料や光粘接着剤への応用について紹介していただいた。
16:05~16:50
「エラストマー、感光性樹脂開発に対するモルフォロジー解析とレオロジーの解析」
旭化成(株) 青柳 岳司 氏
熱可塑性エラストマーあるいは感光性樹脂には、ミクロ相分離構造を発現するブロックコポリマーが多く用いられている。また、材料に求められる物性としては弾性率、クリープ特性等レオロジー特性が重要である。これらレオロジー特性はミクロ相分離構造により形成されるモルフォロジーに大きく依存し、材料開発においてモルフォロジーとレオロジーを結びつけた検討が必要になる。本講演では、いくつかの高分子材料においてモルフォロジーとレオロジーを組み合わせた解析事例を紹介していただいた。

第25回フォトポリマー講習会
日 時 平成27年8月19日-20日
場 所 東京理科大学 森戸記念館
  基礎編、応用編に分けて2日間9件の講演が行われた。第1日目の最終プログラムとして統括討議と懇親会が実施された。懇親会では参加者と講師の先生方ほぼ全員が出席し、ビールを飲みながら和気藹々とディスカッションや名刺交換を行い、よい雰囲気であった。緊張がほぐれたためか2日目の講演では質疑応答が活発に行われた。構成はフォトポリマーを網羅し、かつ、応用編ではノウハウに関わるお話まであり本講習会に出席すればフォトポリマーの全貌が理解できる内容であった。
Ⅰ.基礎編 1.フォトポリマーの光化学 東京理科大学 青木 健一 氏
フォトポリマーについて考えるためには、一般的な光化学の概念を基礎とするも、その他に有機化学や生化学の概念も必要となってくる。本講演では、光吸収や分子の励起、エネルギーや電子の移動、増感反応等基礎的な光化学と、それらを実際にフォトポリマーに活用した幾つかの具体例を解説していただいた。
2.フォトポリマーの材料設計 信州大学 上野 巧 氏
感光性材料をパターン転写のために用いる場合と永久膜として用いる場合ではその材料設計が異なる。塗布、露光、現像などのプロセスにおける留意点を解説し、感光材料の設計を考察した。また高感度、高解像度のパターンを得るために重要な光化学反応、現像についても解説していただいた。
3.光酸発生剤の基礎 サンアプロ(株) 清家 英雄 氏
光酸発生剤は、カチオン重合および半導体デバイス製造のための化学増幅型フォトレジスト等、各種産業上の種々の用途に用いられており、それら用途によって、適応する光発生剤も異なってくる。本講演では、光酸発生剤の分類・反応、それぞれの応用で要求される特性、およびその組成物の性能を最適化するための光酸発生剤の選択について紹介していただいた。
4.フォトポリマーの特性評価 リソテックジャパン(株) 関口 淳 氏
フォトポリマーを設計、開発、使用するうえで、あるいはその材料を扱ううえで必要な特性評価を概説した。特に、近年実用化直前と言われ、注目が集まっているEUVリソグラフィ技術およびEUVフォトレジスト特性評価技術について解説していただいた。
Ⅱ.応用編 5.微細加工用レジスト 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
LSIの微細加工は、レジスト材料の発展によって支えられてきた。本講演では、レジスト材料開発の歴史と、波長別レジスト材料について紹介し、今後の最先端半導体加工技術としてEUVLなどの展望も解説していただいた。
6.コーティング分野におけるモノマーとフオトポリマーの役割と設計思想 荒川化学工業(株) 澤田 浩 氏
光硬化を利用したコーティングはディスプレイや光学フィルムを製造する際に欠かせない技術である。重合活性基を有する様々なモノマーと、それらを変性したオリゴマー、光開始剤の特性と基本的な組み合わせ例を紹介していただいた。
7.ウエハコート用感光性耐熱材料 日立化成デュポンマイクロシステムズ(株) 大江 匡之 氏
半導体の保護膜などに用いられている感光性耐熱材料について、ポリイミド(PI)およびポリベンゾオキサゾール(PBO)系の材料を中心に概説した。ポリイミドの光化学、具体的な感光材料、次世代に向けた、低温硬化材料などへの取り組みを紹介していただいた。
8. 光硬化型接着剤および光アニオン硬化の接着剤への活用 (株)スリーボンド 桐野 学 氏
アニオンUV硬化を中心に、ラジカル、カチオン、アニオンUV硬化の原理および接着剤分野におけるそれぞれの硬化方法の長所と短所を解説した。また、(株)スリーボンド社の製品を中心に、各硬化方法を利用した種々の接着剤製品を紹介していただいた。
9.トピックス マイクロ波成形の各分野への応用 (株)ディーメック 水野 善久 氏
光造形とは、液状の紫外線硬化樹脂(紫外線に反応し、硬化する液体) を光造形装置の紫外線レーザーを使用して硬化させ、積層することで3Dのデータと寸分違わぬ精密な立体物を、短時間で作成する技術である。また、「マイクロ波成形」とは、シリコーンゴム型を用いて熱可塑性樹脂の実モデルを成形する新しい技術で、ABS樹脂、PP樹脂など射出成型と同等の成形品を得ることができる。装置材料を含めて、光造形・成形システムについて解説していただいた。

見学会・第211回講演会
日 時 平成27年9月9日(水) 13:30~16:15
場 所 王子ホールディングス(株)東雲研究所
見学会 あいにくの天候であったが、静寂な環境に恵まれた研究所を見学させていただいた。始めにイノベーション推進本部の横山勝本部長より、該社の研究体制の概要の説明があり、引き続き講演会、その後、分析センター、紙パルプの手漉き工程を見学させていただいた。製紙を中心にした性能評価・分析、紙の手漉きプロセス等をご説明いただいた。何気なく使っている身近な紙の評価、製造を間近に見ることにより、新鮮な感覚を養うことができた。
第211回
講演会
未来を創るナノ技術を利用した応用製品
「王子ホールディングスのセルロースナノファイバーの紹介」 王子ホールディングス(株)東雲研究所 大淵 貴之 氏
王子ホールディングスのセルロースナノファイバーについて解説していただいた。パルプからフィブリル、さらにナノメーターオーダーのファイバーを製造する技術、これを応用したセルロースの透明フィルム、複合組成物など興味深い材料をご紹介いただいた。
「ナノバックリング構造を紹介」 王子ホールディングス(株)東雲研究所 川島 義晴 氏
独自技術により光拡散制御シートの凹凸ピッチや高さのコントロールが可能となり、透過光の拡散性、異方性などが制御できるナノバックリング構造を解説していただいた。光拡散の異方性を制御したナノバックリング構造を持つシートを利用したディスプレイのバックライト、照明などの応用を紹介していただいた。
「ナノピッチ構造体の紹介」 王子ホールディングス(株)東雲研究所 八田 嘉久 氏
基板上に多様なドット型微細凹凸形状を形成する技術を用いた製品をご紹介いただいた。モスアイ構造、LEDサファイア基板のPSS構造、有機ELの表面ブラズモンを取り出す構造等多彩なナノドットアレイの応用をご紹介いただいた。

第212回講演会
日 時 平成27年10月14日(水)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館 第1フォーラム
テーマ 『EUVリソグラフィ技術』
  EUVリソグラフィ技術は、7nmノードの半導体微細加工技術の量産技術として用いられる。TSMC、IBMならびに米国の主要企業等はEUVリソグラフィ技術の単層レジストプロセス技術に期待が寄せている。この中で、EUVレジストのみでなく、EUV光源の最先端技術の現状について報告いただいた。各ご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 13:00~13:50
「最先端リソグラフィ技術の現状と今後の展開」
(株)東芝セミコンダクター&ストレージ社 井上 壮一 氏
東芝では、EUVリソグラフィ技術をはじめ、様々な最先端技術の開発を進めている。本講演では、EUVリソグラフィ技術を中心に、ナノインプリントリソグラフィ技術(NIL)、自己組織化リソグラフィ技術(DSA)などの技術開発の現状と今後の展開について概説していただいた。
14:00~14:50
「EIDECにおけるEUVレジスト技術の現状と今後の展望」
(株)EUVL基盤開発センター 塩原 英志 氏
EIDECでは、マスク検査系の開発、新規レジスト開発およびレジストアウトガス評価の研究を進めている。本講演ではこれらの内容に加えて、メタル系の高感度新規レジスト(ESMR)の開発、エッチング耐性を含めた性能評価についてご報告いただいた。
15:05~15:55
「半導体量産用EUV光源開発の現状」
ギガフォトン(株) 溝口 計 氏
ギガフォトンではYAGレーザーとCO2レーザーを時間差を置いてSnドロップレットに照射するダブルパルスによるLPP方式のEUV光源の開発を進めている。本講演ではこの光源開発の現状と今後の展開について紹介いただいた。
16:05~16:55
「高感度化レジスト材料の分子設計:1Xnm休レジストパターンを目指して」
関西大学 工藤 宏人 氏
EUVレジストの課題は低LWRの実現である。LWRに有利とされる低分子レジスト、主鎖開裂型のハイパーブランチポリマー、チューブタイプポリマーなどに関して、1Xnm級のレジストパターン形成に向けた様々な研究の取り組みについてご紹介いただいた。

第213回講演会
日 時 平成27年12月11日(金)13:30~16:30
場 所 東京理科大学 森戸記念館 第1フォーラム
テーマ 『薄膜の応用解析、表面解析、界面解析』
  表面から深さ数nmの解析、分析法は、1960年代から実用化が始まり、その対象が金属から半導体、さらに有機材料へと広がるにつれ、材料、デバイスの研究開発に不可欠な手法となっている。本講演会では、薄膜の応用解析、表面解析、界面解析に関してご報告いただいた。各ご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 13:30~14:20
「光CELIV法によるトラップ密度解析」
兵庫県立大学 田島 裕之 氏
CELIV法は時間に比例する電場Sweepによって抽出される電流変化からmobilityを求める手法である。光CELIV法はその変形で、光照射によりできたキャリアを電場Sweepにより抽出する。本講演では、多数報告のある室温付近での光CELIV法ではなく、極低温での光CELIV法の実験に基づいて、光CELIV法のデータの解釈、またCELIVシグナルの観測から何がわかるか、ということについて概説していただいた。
14:20~15:10
「低エネルギー逆光電子分光法の開発と有機エレクトロニクスへの応用」
千葉大学 吉田 弘幸 氏
有機半導体のLUMO順位(空準位、電子親和力)のエネルギーについての情報は電子伝導に関わることから有機エレクトロニクスにとっては重要である。これまで測定が困難であったが、演者らが低エネルギー逆光電子分光法という新しい測定法を開発し、有機デバイスと同じく薄膜試料についての空準位の精密測定が可能となった。本講演ではその原理や特徴および有機発光素子や有機太陽電池などの有機エレクトロニクスへの本手法の応用例についてご紹介いただいた。
15:25~16:15
「Arガスクラスター(Ar-GCIB)を用いた有機デバイスの深さ方向XPS、TOF-SIMS分析」
アルバック・ファイ(株) 眞田 則明 氏
Ar-GCIBは、1原子あたりのエネルギーが数eVときわめて小さいにもかかわらず、試料を平坦にエッチングして表面にはほとんど残存しない。このため、きわめて低損傷な深さ方向分析が可能である。本講演では各種有機試料のスパッタクリーニングや、Ar-GCIBによって可能になった有機試料の深さ方向分析の結果を合わせて示し、Ar-GCIBを用いたXPS、TOF-SIMSの有用性をご紹介いただいた。

第214回講演会
日 時 平成28年1月27日(水)13:00~16:20
場 所 東京理科大学 森戸記念館 第1フォーラム
テーマ 『光硬化機能膜』
概要 フォトポリマーの特性として、硬化速度(感度)は重要な特性であるが、実際の用途を考えたときには、それ以外の機能や特性がより重要となることが多い。従って、要求される特性や機能を満足させるための材料設計がなされている。今回の講演会では、UV硬化膜の様々な特性、電気的な特性や自己修復機能などについて、それぞれの専門家に紹介していただいた。質疑に十分な時間をとることができ、活発な質疑が行われ、有意義な講演会であった。
講演内容 13:00~14:00
「さまざまな機能を有するUV硬化膜」
日立化成(株) 中村 武史 氏
UV硬化材料の特徴や変遷、さらに市場の推移、具体的な組成や使用法、さらにモノマーや樹脂構造と機能との関係について述べられた。UV硬化の課題である硬化収縮に伴う反りを低減させた低反りハードコート、タッチパネルなどで問題になる指紋を付きにくくしたり拭き取りやすくした耐指紋フィルムハードコート、さらに高機能な粘着剤用UV硬化型組成物などに関し、詳しく紹介していただいた。
14:10~15:10
「UV硬化型有機導電膜~IR-UVの効果~」
中京油脂(株) 近澤 正照 氏
コア技術である乳化・分散技術を水系分野に応用したUV樹脂において、導電性高分子PEDOT/PSSを用いることで導電性コーティング剤を開発し、ITO代替材料やタッチパネルの高導電フィルムなどへの用途展開をしている。今回、UV照射の直前にかなり高温のIR加熱を短時間行うことで、電気的特性を維持しつつ耐擦傷性を向上できるという、現象的に大変興味ある結果を紹介をされた。科学的な検討が待たれる。
15:20~16:20
「光硬化型自己修復コーティングの開発とその特徴」
荒川化学工業(株) 佐藤 仁宣 氏
自己修復の概念やメカニズム、自己修復の評価方法を述べられたあと、動画による自己修復の様子を見せていただいた。自己修復コーティング材料の設計において水素結合などが重要であることから、設計自由度の高いウレタンアクリレートを取り上げ、構造と特性などとの関係、特に動的粘弾性測定から得られるパラメー(tanδ)と自己修復性との間に密接な相関があること、さらに各種コーティング剤の詳細な特性などの紹介があった。

会告

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平成26年度活動報告

総会・第203回講演会
日 時 平成26年4月17日(木)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
総 会 平成25年度事業報告および決算収支報告の承認。平成26年度事業計画および予算の決議。
第203回
講演会
『3Dイノベーション』のテーマの下に次の4件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。製造業の現場がデジタル技術の革新により変わり始めた。簡単に試作部品を製造できる光造形技術を使えば、開発期間の短縮だけでなく、投資を抑えた効果的な少量多品種の生産も可能となる。最近特に、インクジェットプリント技術の展開である3Dプリンターが多数発表されており、巨大な設備や多くの人材を抱えて大量生産を追求した製造業のあり方が問われる状況を再認識する必要がある。
本講演会では、このデジタル技術の技術革新による3D造形技術に焦点を当て、3Dイノベーション技術の分類、動作原理という基礎的な解説をいただき、また3D造形技術イノベーションにおけるフォトポリマー技術・材料に関して講演会を企画した。
13:30~14:20
「マイクロミラーアレイによる空中映像表示技術」
㈱パリティ・イノベーションズ 前川 聡 氏
マイクロミラーアレイを用いた、鏡映像の実像を結像することができる結像光学素子を紹介する。全く歪みのない立体空中映像を表示することが可能なため、非常に実在感の高い空中映像となる。本光学素子の製造および応用に関する話題を提供していただいた。
14:20~15:10
「付加製造(3Dプリンティング)の現状と可能性」
東京大学生産技術研究所 新野 俊樹 氏
新野研究室では、SLS(Selective Laser Sintering)と呼ばれる方式を中心に積層造形の研究を行っている。樹脂粉末を用いたSLS法では光造形法と違い熱可塑性を持つ多くの材料を使用でき、ナイロン粉末等を用いることで衝撃強度の高い造形物が作成できる。高い強度の造形物が得られることから機能部品の試作品や国外では少量品の生産、いわゆるラピッドマニュファクチュアリングに使われ始めている。新野研究室では、100μmのレーザビーム径をもつ微細SLS造形装置の開発を行い、樹脂粉末の微細造形の可否について研究している。SLSの造形技術、装置開発、再生医療への応用等に関して紹介していただいた。
15:20~16:10
「光造形システムと今後の応用」
(株)ディーメック筑波モデリングセンター 水野 善久 氏
光造形とは、液状の紫外線硬化樹脂(紫外線に反応し、硬化する液体)を光造形装置の紫外線レーザーを使用して硬化させ、積層することで3Dのデータと寸分違わぬ精密な立体物を、短時間で作成する技術である。光造形では、3Dのデータから最短で3日程度で、表面だけでなく裏表完全な立体物として成形が可能である。厚さを持った製品の検証や、量産前の形状のチェック、複製品を製作するためのマスターモデルとして用いることができる。装置材料を含めて、光造形システムについて解説していただいた。
16:10~17:00
「3Dプリンター技術と今後の展望」
(株)スリーディー・システムズ・ジャパン 宇野 博 氏
3次元の設計データを基に立体の模型を作り出すことができる3Dプリンターが注目を集めている。これまでは建築の模型や試作品などを作る企業向けが主で、1台数百万円していた。それが性能の良いものでも10万円台で購入できるようになり、4万円ほどで買えるものも出ている。芸術分野や学校教育での活用も始まった。これら技術の最前線の動きを紹介していただいた。

第204回講演会
日 時 平成26年6月12日(水)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館 第1フォーラム
テーマ 『クリックケミストリー』
  クリックケミストリー(click chemistry)は化学分野において、簡単かつ安定な結合を作るいくつかの反応を用い、新たな機能性分子を創り出す手法のことであり、スクリプス研究所のバリー・シャープレスが提唱した。「クリック」は、シートベルトがカチッと音を立ててロックされるように、素早く確実な結合を作る様子をたとえた言葉である。近年、クリックケミストリーは医薬候補化合物など有用な化合物の探索に用いられている。また、高い官能基許容性を生かし、細胞内などでの分子修飾などに応用されている。本講演会では、クリックケミストリーの理解を深めるため、4件の講演を企画した。詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 13:00~13:50
「光クリックケミストリーとは」
近畿大学 北山 隆 氏
クリックケミストリーにより、望みの場所とタイミングで様々な分子同士を結合できれば、目的の機能をもった分子を効率よく合成することが可能となる。本講演では、クリックケミストリーの概念と応用範囲について簡単に解説していただいた。
14:00~14:50
「光クリックケミストリーの基礎とUV硬化へ応用」
東京理科大学 有光 晃二 氏
エポキシ樹脂はアミン存在下で硬化するが、光塩基発生剤、例えば、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)などの強塩基を発生させる光塩基発生剤を用いれば光硬化が可能である。本講演では、光塩基発生剤を用いた光クリックケミストリーを中心に解説していただいた。
15:05~15:55
「Dual(光・熱)硬化可能なチオール・エンUV硬化材料」
昭和電工(株) 室伏 克己 氏
ブラックレジストなど、光を通さないものの硬化に有効なチオール・エン反応を利用したUV硬化材料について説明していただいた。
16:05~16:55
「有機・無機ハイブリッド光クリックケミストリー材料」
荒川化学工業(株) 福田 猛 氏
アクリレートをUV硬化成分として利用したシルセスキオキサンを主成分とした有機・無機ハイブリッド光クリックケミストリー材料について解説していただいた。
第24回フォトポリマー講習会
日 時 平成26年8月21日-22日
場 所 東京理科大学 森戸記念館
  基礎編、応用編に分けて2日間9件の講演が行われた。第1日目の最終プログラムとして統括討議と懇親会が実施された。懇親会では参加者と講師の先生方ほぼ全員が出席し、ビールを飲みながら和気藹々とディスカッションや名刺交換を行い、よい雰囲気であった。緊張がほぐれたためか2日目の講演では質疑応答が活発に行われた。構成はフォトポリマーを網羅し、且つ、応用編ではノウハウに関わるお話まであり本講習会に出席すればフォトポリマーの全貌が理解できる内容であった。
Ⅰ.基礎編 1. フォトポリマーの光化学 東京理科大学 青木 健一 氏
フォトポリマーについて考えるためには、一般的な光化学の概念を基礎とするも、その他に有機化学や生化学の概念も必要となってくる。本講演では、光吸収や分子の励起、エネルギーや電子の移動、増感反応等基礎的な光化学と、それらを実際にフォトポリマーに活用した幾つかの具体例を解説していただいた。
2. フォトポリマーの材料設計 信州大学 上野 巧 氏
感光性材料をパターン転写のために用いる場合と永久膜として用いる場合ではその材料設計が異なる。塗布、露光、現像などのプロセスにおける留意点を解説し、感光材料の設計を考察した。また高感度、高解像度のパターンを得るために重要な光化学反応、現像についても解説していただいた。
3. 光酸発生剤の基礎 サンアプロ(株) 木村 秀基 氏
光酸発生剤は、カチオン重合および半導体デバイス製造のための化学増幅型フォトレジスト等、各種産業上の種々の用途に用いられており、それら用途によって、適応する光発生剤も異なってくる。本講演では、光酸発生剤の分類・反応、それぞれの応用で要求される特性、およびその組成物の性能を最適化するための光酸発生剤の選択について紹介していただいた。
4. フォトポリマーの特性評価 リソテックジャパン(株) 関口 淳 氏
フォトポリマーを設計、開発、使用するうえで、あるいはその材料を扱ううえで必要な特性評価を概説した。特に、近年ダブルパターニンぐ技術などで注目が集まっているArF対応化学増幅型レジストの特性評価技術について解説していただいた。
Ⅱ.応用編 5. 微細加工用レジスト 兵庫県立大学 渡邊 健夫 氏
LSIの微細加工は、レジスト材料の発展によって支えられてきた。本講演では、レジスト材料開発の歴史と、波長別レジスト材料について紹介し、今後の展望も解説していただいた。
6. コーティング分野におけるモノマーとフオトポリマーの役割と設計思想 荒川化学工業(株) 澤田 浩 氏
光硬化を利用したコーティングはディスプレイや光学フィルムを製造する際に欠かせない技術である。重合活性基を有する様々なモノマーと、それらを変性したオリゴマー、光開始剤の特性と基本的な組み合わせ例を紹介していただいた。
7. ウェハーコート用感光性耐熱材料 旭化成イーマテリアルズ(株) 金田 隆行 氏
半導体の保護膜などに用いられている感光性耐熱材料について、ポリイミド系の材料を中心に概説した。ポリイミドの光化学、具体的な感光材料、次世代に向けた、低温硬化材料などへの取り組みを紹介していただいた。
8. 光硬化型接着剤および光アニオン硬化の接着剤への活用 (株)スリーボンド 桐野 学 氏
アニオンUV硬化を中心に、ラジカル、カチオン、アニオンUV硬化の原理および接着剤分野におけるそれぞれの硬化方法の長所と短所を解説した。また、(株)スリーボンド社の製品を中心に、各硬化方法を利用した種々の接着剤製品を紹介していただいた。
9. トピックス 自己組織化リソグラフィの電子・光学デバイスへの応用 (株)東芝 浅川 鋼児 氏
電子デバイスの高性能化は加工技術の微細化が牽引してきたが、微細化に伴う装置や材料のコスト上昇が大きな問題となっている。このため、nmスケールの構造が簡便に得られる自己組織化材料が注目を集めている。特に高分子を用いた自己組織化ナノ加工は、従来のリソグラフィと相性が良い。自己組織化リソグラフィを用いた電子デバイスの開発について紹介していただいた。
見学会・第205回講演会
日 時 平成26年9月17日(水) 13:20~16:05
場 所 ライオン株式会社 研究開発本部
見学会 【コミュニケーションセンター】 商品展示棚・歴史ゾーン(約20分):ライオンの技術の歴史をパネルで紹介していただいた。
プレゼンゾーン(約20分):製品の特徴を、実験などを通して説明していただいた。
未来ゾーン映像(約10分):近未来に向けたライオンの取り組みを映像で紹介していただいた。
【洗浄実験室】(約5分) 衣類用洗剤等の評価をしている研究室の一部をガラス越しに見学させていただいた。 【ビオトープなど】(約5分) 環境に配慮した緑化の設備を見学させていただいた。
第205回
講演会
『洗浄剤と界面学』 研究開発本部 機能科学研究所 金子 行裕 氏
衣料・台所・身体用洗剤、化粧品の主機能となる起泡、消泡、洗浄について、主剤である界面活性剤の役割と界面現象にフォーカスして解説し、評価の考え方、方法を説明していただいた。

第206回講演会
日 時 平成26年10月16日(木)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館 第1フォーラム
テーマ 『次世代リソグラフィ』
  スマートフォンやタブレットの需要が、従来のノートパソコンの需要を凌ぐ勢いである。これらの製品を支えているMPUやメモリデバイスでは高速動作かつ低消費電力が要求されている。これらの実現には半導体微細加工技術が必須であり、半導体国際ロードマップに沿って米国、欧州、韓国、台湾ならびに日本を中心に次世代リソグラフィ技術の開発が進められている。本講演会では4件の講演を企画し、次世代リソグラフィの全容、低分子EUVレジスト、EUVL用露光装置並びにEUV光源にスポットをあて、それぞれの技術の現状と課題について紹介していただいた。
講演内容 13:00~13:50
「半導体向け次世代リソグラフィ技術の現状と今後の課題」
(株)東芝 セミコンダクター&ストレージ社 内山 貴之 氏
半導体のパターニングにはArF液浸リソグラフィによるダブル・マルチパターニングが適用されているが、さらなる微細化に対応するためには、これまで以上にプロセス制御が複雑・困難になり工程数も長くなる。そのため、早期の次世代リソグラフィの実用化が望まれている。本講演では次世代リソグラフィ技術の現状と今後の課題を整理していただいた。
14:00~14:50
「低分子EUVLレジスト材料開発の現状とその今後」
関西大学 工藤 宏人 氏
次世代レジストシステムとして、極端紫外線(EUVL)露光システムを用い、10nmの高解像性レジストパターンの量産化が期待されている。しかし、高解像性能を導き出すEUVLレジスト材料の開発において、超えていかなければならない大きな課題として、露光感度の上昇、パターンのラフネスの改善、アウトガスの低減化、エッチング耐性の改善などが、列挙される。本講演では、EUVLレジスト材料開発の現状と課題、および今後の開発状況について説明していただいた。
15:05~15:55
「EUVL用露光装置開発の現状とその展望」
エーエスエムエル・ジャパン(株) 宮崎 順二 氏
EUVリソグラフィは1Xnmノード以降の半導体デバイスのリソグラフィとして、量産適用に向けた開発が急ピッチで進められている。本講演では、ASMLの第三世代EUV露光システムであるNXE:3300Bのイメージングおよび重ね合わせ特性について報告いただき、あわせて光源パワーの進捗、ペリクルの開発状況についても説明していただいた。
16:05~16:55
「EUVリソグラフィ光源開発の現状とその展望について」
ギガフォトン(株) 山崎 卓 氏
10nmクラスのデザインルールでの半導体チップの量産にあたり、EUV光源を用いたリソグラフィが最有望な技術である。ギガフォトン社では、CO2-Sn-LPP方式で250WのEUV出力を達成すべく、独自の技術開発を進めており、92W出力を確認した。達成にあたっては、高出力短パルスCO2レーザ、2波長でのSnドロップレットシューティングによる高効率発光、磁場を用いたSnデブリミチゲーション技術などがある。本講演では、開発の背景、独自技術の詳細、今後の高効率化の見通しについて説明していただいた。

第207回講演会
日 時 平成26年12月12日(金) 13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館 第1フォーラム
テーマ 『フレキシブルエレクトロニクスの最前線におけるフォトポリマー』
  『フレキシブルエレクトロニクスの最前線におけるフォトポリマー』のテーマの下に次の4件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
講演内容 13:00~13:55
「UV光を用いた酸化物電子材料の作成技術」
(独)産業技術総合研究所 小笹 健仁 氏
電子デバイスを印刷と塗布の工程で作る試みが続けられ、焼結や還元などによる機能化が有効であることが判明している。本講演では、マルチソース光酸化により、緻密で信頼性の高いSiO2絶縁膜の作成、UV照射と酸素加圧の組合せで、アモルファス半導体の作成について報告していただいた。
13:55~14:50
「インクジェットと光アシスト技術」
(株)リコー 鈴木 幸栄 氏
プリンテッドエレクトロニクスは環境負荷が小さいなど多くの利点があり、デジタルファブリケーションとして期待されているが、解決すべき課題も多い。本講演では、フォトマスクを介したUV照射により、新規機能性ポリイミド薄膜表面の親水性/撥水性の変化について報告していただいた。
15:00~15:55
「プリンテッドエレクトロニクスに向けた有機材料技術開発」
(独)産業技術総合研究所 堀内 佐智雄 氏
自発分極を持ち、かつ電場により極性を反転できるという強誘電体の本来の機能が、近年、超低消費電力型メモリーとして利用できるということで、注目を集めている。本講演では、2-メチルベンソ゛イミダゾールの単結晶薄膜化など、有機物での強誘電体の開発と現状の課題を中心に紹介していただいた。
15:55~16:50
「金属ナノ粒子を用いたレーザープロセッシングによる導電性微細パターン形成」
東北大学 渡辺 明 氏
近年、エネルギー問題や環境問題の顕在化から、より環境負荷の小さいプロセスが可能な材料や技術に関心が向けられている。その中で、インクジェット法を中心としたプリンテッドエレクトロニクスは次世代の製造技術として注目され、多くの研究開発が行われている。本講演では、金属ナノ粒子を用いたレーザプロセッシングによる金属微細配線技術、メッキ代替技術および透明導電膜形成の現状と可能性について述べていただいた。

第208回講演会
日 時 平成27年1月27日(火) 13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館 第1フォーラム
テーマ 『フォトポリマー関連技術と材料:最近の動向と話題』
  光源については紫外領域で強力な光を放射するショートアークフラッシュランプおよび最近開発された285nm光を放射するDUV-LEDの開発動向について紹介していただいた。材料については3Dプリンティングに関連するインクジェットインクの動向を、さらに最近発見された希土類を使用しない発光体“ハイパー銀セルガイヤ”につて紹介していただいた。
講演内容 13:00~13:55
「ショートアークフラッシュランプによるVUVパターニング」
ウシオ電機(株) 大和田 樹志 氏
レジストレス、非真空プロセスである次世代のパターニングとして、SAM膜や樹脂の改質などを利用した安価で実用的な方法を世界で初めてショートアークフラッシュランプを使ったVUV露光装置で実現できた。本講演では、その概要を紹介していただいた。
13:55~14:50
「DUV-LEDの現状と今後の展望」
日機装技研(株) 浅野 英樹 氏
近年深紫外領域のLEDが実用化されている。本波長領域は主に水銀ランプが用いられているが、水銀は世界的に使用量削減の動きが活発化しているためにDUV-LEDが期待されている。本講演では、DUV-LEDの現状と今後の展望について概説していただいた。
15:00~15:55
「UV硬化型インクジェットインクの設計と基材密着性」
千葉大学 小関 健一 氏
ラジカル重合またはカチオン重合を利用するUV硬化型インクジェットインクに関し、その組成などが各種基材への密着性に与える要因について紹介していただいた。UV硬化に伴う体積変化挙動についても説明していただいた。
15:55~16:50
「レアアースフリー銀ゼオライト蛍光体を含有するセルロース繊維“ハイパー銀セルガイヤ”の創生と応用展開」
レンゴー(株) 杉山 公寿 氏
これまで蛍光発光特性に優れた蛍光体は、レアアースを含む酸化物またはケイ化物が主流であった。演者は銀ゼオライトが優れた蛍光特性を発揮することを見出し、それをセルロース繊維の中で合成することで様々な用途展開を図っている。本講演では、その概要をご説明いただいた。

会告

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平成25年度活動報告

総会・第197回講演会
日 時 平成25年4月18日(木)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
総 会 平成24年度事業報告および決算収支報告の承認。平成25年度事業計画および予算の決議。
第197回
講演会
『次世代リソグラフィ技術の展開』のテーマの下に次の3件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
13:30~14:30
「先端レジスト材料の動向」
大阪大学 遠藤 政孝 氏
EUVL技術は次世代リソグラフィの本命技術と位置付けられ、各要素技術の開発が加速されている。本講演では先端レジストとしてEUVレジストを取り上げ、現状と課題、今後の展望について概説していただいた。(EUVL、微細化、レジスト、RLS、LWR)
14:40~15:40
「ナノインプリント技術の最前線」
産業総合研究所 廣島 洋 氏
ナノインプリント技術はパターンドメディア、ディスプレイ部材等を中心に量産応用展開が進んでおり、半導体リソグラフィ技術としても注目されている。装置・プロセス、モールド・材料開発が精力的に進められている。バブル欠陥を回避するため、ガス環境として1,1,1,3,3-ペンタフロロプロパン(PFP)を利用する手法を中心に、本技術の動向とそこに使用される機能性材料について、将来展望などを含めて概説していただいた。(ナノインプリント、半導体リソグラフィ、モールド、材料開発、機能性材料、PFP)
15:50~16:50
「自己組織化リソグラフィーの電子・光学デバイスへの応用」
(株)東芝 浅川 鋼児 氏
ナノレベルでの規則的な相分離構造を自己組織的に発生するブロックコポリマーを利用するブロックコポリマーリソグラフィーを光リソグラフィーと融合させたDirected Self-Assembly(DSA)に期待が高まっている。本講演では自己組織化リソグラフィーの光学デバイス、半導体デバイスへの応用について現状と課題、今後の展開について解説していただいた。(ブロックコポリマー、ナノ粒子、LED、OLED、透明電極、DSA)

第198回講演会
日 時 2013年6月13日(木)
場 所 東京理科大学 森戸記念館
テーマ 『太陽電池を革新する周辺材料』
  『太陽電池を革新する周辺材料』のテーマについて4件の講演が行われ、さまざまな太陽電池やそれらの課題とともに太陽電池を構成し支え、革新する周辺材料の進展について概説された。
講演内容 13:00~14:00
「フレキシブル有機薄膜太陽電池
三菱化学(株) 山岡 弘明 氏
軽量かつフレキシブルを生かした有機薄膜太陽電池について、高い変換効率を目指した分子設計や製造法における材料開発の課題と今後の展開について概説していただいた。
(キーワード:フレキシブル有機薄膜太陽電池、p型半導体、n型半導体、コーティング、 モルフォロジー )
14:00~14:40
「新日鉄住金化学における色素増感太陽電池の開発」
新日鉄住金化学(株) 山口 能弘 氏
独自のセル構造の開発フレキシブルなフィルム色素増感太陽電池の特徴、さらには弱い光でも発電し、封止にすぐれた耐久性を有する円筒型色素増感太陽電池について概説していただいた。
(キーワード:DSC、有機太陽電池)
14:50~15:50
「太陽電池モジュール部材と信頼性」
(独)産業技術総合研究所 増田 淳 氏
太陽光発電コスト低減のため、太陽電池モジュールの信頼性向上・長寿命化の実用サイズに対応した太陽電池モジュールの試作・評価を通して、充填材、バックシート、配線材、シール材などの周辺材料部材や新規構造を適用した太陽電池モジュールの進展と長期信頼性の課題について概説していただいた。
(キーワード:太陽電池、モジュール部材、バックシート、封止材、配線材、信頼性)
16:00~17:00
「銀塩写真技術を応用した透明導電性フィルムの開発」
冨士フイルム(株) 高橋 俊朗 氏
銀塩写真技術を応用したレアメタルを用いないITO電極などを代替する透明導電性フィルム、エクスクリアの特長や、そのELや太陽電池、ディスプレイの透明電極への期待について概説していただいた。
(キーワード:銀塩写真、透明導電性フィルム、RtoR)

第23回フォトポリマー講習会
日 時 平成25年8月28日-29日
場 所 東京理科大学 森戸記念館
  基礎編、応用編に分けて2日間9件の講演が行われた。第1日目の最終プログラムとして統括討議と懇親会が実施された。懇親会では参加者と講師の先生方ほぼ全員が出席し、ビールを飲みながら和気藹々とディスカッションや名刺交換を行い、よい雰囲気であった。緊張がほぐれたためか2日目の講演では質疑応答が活発に行われた。構成はフォトポリマーを網羅し、且つ、応用編ではノウハウに関わるお話まであり本講習会に出席すればフォトポリマーの全貌が理解できる内容であった。
Ⅰ.基礎編 1. フォトポリマーの光化学 千葉大学 宮川 信一 氏
フォトポリマーについて考えるためには、一般的な光化学の概念を基礎とするも、その他に有機化学や生化学の概念も必要となってくる。本講演では、光吸収や分子の励起、エネルギーや電子の移動、増感反応等基礎的な光化学と、それらを実際にフォトポリマーに活用した幾つかの具体例を解説していただいた。
2. フォトポリマーの材料設計 東京理科大学 有光 晃二 氏
光化学的に酸や塩基を発生させ、これを触媒としてポリマーを変性させるフォトポリマーは高効率な感光材料として注目されている。これらの材料特性についてふれると同時に、演者らが開拓した新規な光塩基発生剤の特性とその利用について述べ、これらのフォトポリマーの感度を飛躍的に向上させることができる酸増殖剤や塩基増殖剤の特性とその利用法についても解説された。
3. 光硬化型接着剤および光アニオン硬化の接着剤への活用 (株)スリーボンド 桐野 学 氏
アニオンUV硬化を中心に、ラジカル、カチオン、アニオンUV硬化の原理および接着剤分野におけるそれぞれの硬化方法の長所と短所を解説した。また、(株)スリーボンド社の製品を中心に、各硬化方法を利用した種々の接着剤製品を紹介していただいた。
4. フォトポリマーの特性評価 東京理科大学 山下 俊 氏
フォトポリマーを設計、開発、使用するうえで、あるいはその材料を扱ううえで必要な特性評価を概説した。膜厚、光量の測定、フォトレジストのリソグラフィ特性、過渡吸収と活性種同定、膜の諸物性、化学反応速度論と量子収率まで広い範囲の項目をほぼ網羅していただいた。
Ⅱ.応用編 5. 微細加工用レジスト (株)富士通研究所 野崎 耕司 氏
LSIの微細加工は、レジスト材料の発展によって支えられてきた。本講演では、レジスト材料開発の歴史と、波長別レジスト材料について紹介していただいた。
6. コーティング分野における光重合性樹脂材料とその用途展開 大阪有機化学工業(株) 猿渡 欣幸 氏
光硬化を利用したコーティングはディスプレイや光学フィルムを製造する際に欠かせない技術である。重合活性基を有する様々なモノマーと、それらを編成したオリゴマー、光開始剤の特性と基本的な組み合わせ例を紹介していただいた。
7. ウェハーコート用感光性耐熱材料 旭化成イーマテリアルズ(株) 金田 隆行 氏
半導体の保護膜などに用いられている感光性耐熱材料について、ポリイミド系の材料を中心に概説した。ポリイミドの光化学、具体的な感光材料、次世代に向けた、低温硬化材料などへの取り組みを紹介していただいた。
8. 光酸発生剤の基礎 サンアプロ(株) 木村 秀基 氏
光酸発生剤は、カチオン重合および半導体デバイス製造のための化学増幅型フォトレジスト等、各種産業上の種々の用途に用いられており、それら用途によって、適応する光発生剤も異なってくる。本講演では、光酸発生剤の分類・反応、それぞれの応用で要求される特性、およびその組成物の性能を最適化するための光酸発生剤の選択について紹介していただいた。
9. トピックス タッチパネルの種類・原理とフォトポリマー関連技術 (株)タッチパネル研究所 中谷 健司 氏
タッチパネルには多くの種類があり、その原理や特性から様々に応用されている。 本講演では、基調講演としてタッチパネルの動作原理を初めとして解説頂き、さらに、タッチパネルにおけるフォトポリマーの関連技術を紹介していただいた。

見学会・第199回講演会
日 時 平成25年9月25日(水) 14:00~17:00
場 所 東京大学生産技術研究所
見学会 静寂な環境に恵まれた研究所を見学させていただいた。始めに研究所の概要の説明があり、その後実験室、オフィス等をご案内いただいた。最先端の研究の一端を間近に見ることにより、新鮮な感覚を養うことができた。
第199回
講演会
「構造規則性をもつ脂環式ポリイミドの合成とその利用」 東京大学生産技術研究所 工藤 一秋 氏
脂環式ポリイミドの精密重合による規則性制御およびその物性、ペプチド触媒、有機ELの電子輸送材料、燃料電池の電解質膜等の最近の研究成果について解説していただいた。

第202回フォトポリマー懇話会講演会
日 時 平成26年1月23日(木) 13:00~17:00
場 所 森戸記念館(東京)
主 題 フォトポリマーと光源:マッチングと新しい選択
フォトポリマーを活用するためには光源は不可欠であり、これまで高圧水銀ランプあるいはメタルハライドランプが広く活用されてきたが、最近UV-LEDの登場により新しい光源をどう活用するかが話題となっている。この講演会ではこれまでの光源の特長を紹介するとともに、UV-LEDをどのように活用されているのかについて紹介していただいた。
第202回
講演会
1. UV硬化におけるUV-LEDの活用とエキシマランプによる接着性の改善 浜松ホトニクス(株) 杉本 晴彦 氏
UV-LEDは寿命が長く、赤外線は出ない。トータルコストは安いとのことであるが、光源自体は決して安くない。これまでの多波長を放射するランプに比べ単一波長であるので用途によって光源の波長の選択が必要であり、点光源であるので、幅広く照射するときには点光源を並べるなど、実用面での工夫が紹介された。また、応用分野では塗料、接着剤、インクの例が紹介された。さらに接着性改善に有効な光源としてエキシマーランプ (172nm)が紹介された。この光源は基材表面の洗浄あるいは親水化などに有効である とのことであった。
2. 高効率UV硬化システム:ハイブリッドUV-LED硬化の活用技術 岩崎電気(株) 木下 忍 氏
従来型の光源(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)とUV-LEDを比較すると光源としてのUV-LEDは優れている面も多いが、高価でありさらに、実用化においてはこれまでのUVインクでは硬化は難しく、新しいフォーミュレーションの工夫が不可欠であった。そこで、これまでの光源とUV-LEDの併用 するとUVインクの硬化(乾燥)が高速で効率よく進められる例を紹介された。結論として、これまでの光源をUV-LEDに置き換えるためには、その光源の特徴をよく理解し、使い方を工夫する必要があることを強調された。
3. UV-LEDを用いたワイドフォーマットインクジェットシステムの開発 富士フイルム(株) 佐藤 武彦 氏
①UV-LED光源に対応する高感度インクの開発と②UV-LEDの照射方法の提案を中心にまとめられた。①ではN-ビニルカプロラクタムが高感度化と膜質の物性改善(密着と伸び率)の両立に有効であること ②では着弾インキの固定化(微弱露光)とその後の完全硬化の2段階硬化法を紹介された。この二段露光は密着性を改善するだけでなく、多層印刷にも利用できるとのことである。
4. LED-UVプリンタとデジタル加飾技術への応用 (株)ミマキエンジニアリング 大西 勝 氏
これまでの実用化事例について基礎から、実際まで紹介された。UV-LED(385nm)がインクジェットプリンターで本格的に利用されるようになったのは2008年ころであり、これは光源の出力が数十mWものが2W程度まで向上し、UVインキも数千mJで硬化(乾燥)したものが、100-300mJでも硬化できるように改善されたことによるとされている。この講演ではさらにインクジェットプリンターを利用する加飾法についての現状を詳しく紹介された。
寸 評 これらの講演を通じて、UV-LEDはかなり利用されるようになっているのがわかったが、用途によってはまだ十分に検討されていない分野(たとえば塗料)もあり、光源の特徴をよく理解することと高感度な材料開発が不可欠であることが再確認された。また、UV-LEDにも用途によっては欠点もあるので、用途に合わせたUV-LEDの開発が望まれる。参加者は30名でいろいろな質問も出されて盛会であった。

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平成24年度活動報告

第191回講演会
日 時 平成24年4月19日(木)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館第一フォーラム
総 会 平成23年度事業報告および決算収支報告の承認。平成24年度事業計画および予算の決議。
第191回
講演会
『最先端フォトポリマー技術の展開』のテーマの下に次の3件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
13:30~14:30
「EUVLへの期待と次世代リソグラフィへの期待」
(株)東芝 東木 達彦
今注目されているEUVL技術を中心にした次世代リソグラフィについて、ナノインプリント技術を含め、ハードウェア、プロセスおよびマスク、レジスト材料をはじめとしてプロセスで使われる部材など技術開発の現状と課題を概説していただいた。
14:40~15:40
「ナノインプリント技術の量産適用とその課題」
兵庫県立大学 松井 真二
ナノインプリント技術はパターンドメディア、ディスプレイ部材等を中心に量産応用展開が進んでおり、半導体リソグラフィ技術としても注目されている。装置・プロセス、モールド・材料開発が精力的に進められている。本技術の動向とそこに使用される機能性材料について、将来展望などを含めて概説していただいた。
15:50~16:50
「放射光によるグリーンナノデバイスの分析」
東京大学 尾嶋 正治
高輝度放射光を用いた解析技術とシミュレーション技術は科学技術や産業をささえる基本技術となっている。日本の次世代産業を支えるグリーンナノデバイスの開発に放射光による解析がどのように役立っているかを中心に、最近の研究動向、将来展望などを含めて概説していただいた。
第192回講演会
日 時 平成24年6月13日(水)
場 所 東京理科大学 森戸記念館
  光・熱などの刺激により、物性が大きく変化する材料は、産業界において注目されている。本講演会では、「ユニークな接着剤」と題して「刺激により特性を変化させる材料」にフォーカスし、その設計法から具体的な用途を含め幅広い視点からご講演して頂いた。
(キーワード:刺激応答、光、熱、構造変化、硬化、分解)
  「光を利用するユニークな接着剤」
第192回
講演会
13:10~14:00
「分解型光硬化性樹脂とUVインプリント等への応用」
大阪府立大学 白井 正充
通常、硬化した樹脂は、3次元網目構造を有するため不溶固体となる。光などの刺激により分解できれば可溶化できる。硬化後、分解・歌謡化可能な光硬化樹脂(リワーク型硬化樹脂)の考え方及びその分子設計法の紹介をして頂き、同時にUVインプリント材料などへの適用性に関しても紹介頂いた。
(キーワード:UV硬化樹脂、リワーク性、架橋と分解、剥離型接着剤、UVインプリント)
14:00~14:50
「光酸発生剤を利用する二重刺激応答型の易解体性接着材料」
大阪市立大学 松本 章一
光と熱の二重刺激にのみ応答して容易に剥離できる易解体性接着材料とその特性に関して紹介して頂いた。ポリマー構造や側鎖エステル基の設計、剥離条件や剥離機構の検討など、易解体性接着材料設計の考え方と材料開発の現状について詳細に紹介頂いた。
(キーワード:易解体性接着、リビングラジカル重合、ブロックコポリマー、光酸発生剤、粘着テープ、アクリルポリマー)
15:00~15:50
「光で溶ける有機材料の開発とその可能性」
産総研 則包 恭央
固体に光を照射することにより液体に変化し、生じた液体を加熱すると元の固体へともどる常識とは異なる非常にユニークかつ新奇な有機材料の開発に至った背景と同時に、この材料の特性、応用の可能性および課題について紹介頂いた。
(キーワード:アゾベンゼン、光異性化、光融解、構造変化、可逆的)
15:50~16:40
「UV自己剥離型粘着テープとその応用」
積水化学工業(株) 杉田 大平
極薄化する半導体ウェハの加工プロセスに伴い、ウェハ加工の時に、ガラス基板にしっかり接着保護して、安全に加工を行う必要性がある。紫外線照射することによりウェハを安全に取り出すシステムと紫外線照射型自己剥離粘着テープ「セルファ」の紹介を頂いた。更に、耐熱性に優れた紫外線照射型自己剥離粘着テープの開発、およびMEMSや極薄ウェハ加工プロセスへの応用についても紹介頂いた。
(キーワード:UV照射、自己剥離、半導体プロセス、MEMS、粘着、テープ)
第22回フォトポリマー講習会
日 時 平成24年8月29日~30日
場 所 東京理科大学 森戸記念館
  基礎編、応用編に分けて2日間9件の講演が行われた。第1日目の最終プログラムとして統括討議と懇親会が実施された。懇親会では参加者と講師の先生方ほぼ全員が出席し、ビールを飲みながら和気藹々とディスカッションや名刺交換を行い、よい雰囲気であった。緊張がほぐれたためか2日目の講演では質疑応答が活発に行われた。構成はフォトポリマーを網羅し、且つ、応用編ではノウハウに関わるお話まであり本講習会に出席すればフォトポリマーの全貌が理解できる内容であった。
Ⅰ.基礎編 1. フォトポリマーの光化学 千葉大学 宮川 信一
フォトポリマーについて考えるためには、一般的な光化学の概念を基礎とするも、その他に有機化学や生化学の概念も必要となってくる。本講演では、光吸収や分子の励起、エネルギーや電子の移動、増感反応等基礎的な光化学と、それらを実際にフォトポリマーに活用した幾つかの具体例を解説していただいた。
2. フォトポリマーの材料設計 東京理科大学 有光 晃二
光化学的に酸や塩基を発生させ、これを触媒としてポリマーを変性させるフォトポリマーは高効率な感光材料として注目されている。これらの材料特性についてふれると同時に、演者らが開拓した新規な光塩基発生剤の特性とその利用について述べ、これらのフォトポリマーの感度を飛躍的に向上させることができる酸増殖剤や塩基増殖剤の特性とその利用法についても解説された。
3. ラジカルおよびカチオン光硬化型樹脂の概要と接着性 東亞合成(株) 稲田 和正
光硬化は最近の環境問題(VOC規制、省エネルギー志向)との関連で注目を浴びており、需要は今後益々増えるものと予想される。しかし、瞬時に硬化するため基材との接着性が問題となることが多い。本講演では、ラジカル系およびカチオン系光硬化型樹脂の概要、特徴を解説するとともに、接着性改善の具体例を紹介していただいた。
4. 光酸発生剤の基礎 サンアプロ(株) 古田 剛志
光酸発生剤は、カチオン重合および半導体デバイス製造のための化学増幅型フォトレジスト等、各種産業上の種々の用途に用いられており、それら用途によって、適応する光発生剤も異なってくる。本講演では、光酸発生剤の分類・反応、それぞれの応用で要求される特性、およびその組成物の性能を最適化するための光酸発生剤の選択について紹介していただいた。
Ⅱ.応用編 5.微細加工用レジスト (株)富士通研究所 野崎 耕司
LSIの微細加工は、レジスト材料の発展によって支えられてきた。本講演では、レジスト材料開発の歴史と、波長別レジスト材料について紹介していただいた。
6. コーティング分野における光重合性樹脂材料とその用途展開 大阪有機化学工業(株) 猿渡 欣幸
光硬化を利用したコーティングはディスプレイや光学フィルムを製造する際に欠かせない技術である。重合活性基を有する様々なモノマーと、それらを編成したオリゴマー、光開始剤の特性と基本的な組み合わせ例を紹介していただいた。
7. ウェハーコート用感光性耐熱材料 旭化成イーマテリアルズ(株) 金田 隆行
半導体の保護膜などに用いられている感光性耐熱材料について、ポリイミド系の材料を中心に概説した。ポリイミドの光化学、具体的な感光材料、次世代に向けた、低温硬化材料などへの取り組みを紹介していただいた。
8. フォトポリマーの特性評価 東京理科大学 山下 俊
フォトポリマーを設計、開発、使用するうえで、あるいはその材料を扱ううえで必要な特性評価を概説した。膜厚、光量の測定、フォトレジストのリソグラフィ特性、過渡吸収と活性種同定、膜の諸物性、化学反応速度論と量子収率まで広い範囲の項目をほぼ網羅していただいた。
9. トピックス 放射光の利用とEUVL 兵庫県立大学 木下 博雄
放射光の利用について概要を解説する。その中で特に、次世代リソグラフィ技術としてのEUVL技術について、ハードウェア、プロセスおよびマスク、レジスト材料をはじめとしてプロセスで使われる部材など技術開発の現状と課題を概説していただいた。
第194回講演会
日 時 平成24年10月17日(水)
場 所 東京理科大学 森戸記念館
  近年、スマートフォンの普及拡大やタブレットPC、携帯ゲーム機などの普及により、これまで一部のPDAユーザーや電車の自動券売機くらいしか触れることのなかったタッチパネルが非常に身近な技術なってきた。 このタッチパネルに焦点を当て、タッチパネルの分類、動作原理という基礎的な解説をいただき、またタッチパネルにおけるフォトポリマー技術・材料に関して3件のご講演をして頂いた。
  『進化するタッチパネルとフォトポリマー』
第194回
講演会
13:00~14:10
「タッチパネルの分類・原理とフォトポリマー関連技術」
(株)タッチパネル研究所 中谷 健司
タッチパネルには多くの種類があり、その原理や特性から様々に応用されている。 本講演では、基調講演としてタッチパネルの動作原理を初めとして解説頂き、さらに、タッチパネルにおけるフォトポリマーの関連技術を紹介して頂いた。
(キーワード:ポリマー関連技術、マルチタッチ、静電容量、大型化)
14:10~15:00
「銀イオン担持体への電子線照射による銀ナノワイヤの生成」
(独)産業技術総合研究所 槇田 洋二
タッチパネルにおいて重要な部材の1つである透明電極にはITOをはじめ、銀フィラーを用いた銀系導電性フィルムや導電性高分子、カーボンナノチューブなどが研究されている。本講演では、タッチパネル透明電極に適用されるAgナノワイヤーに関して紹介して頂いた。
(キーワード:銀ナノワイヤ、電子線照射、無機イオン交換体。超イオン伝導体)
15:15~16:05
「タッチパネル貼り合せ技術とOCAに求められる特性」
淀川メデック(株) 木村  滋
静電容量式タッチパネルの進歩により、スマートフォン、タブレット端末の市場が拡大しています。 本講演ではそのタッチパネルの製造工程である、カバーガラスとセンサーパネルの真空貼り合せ技術とOCAに求められる特性を紹介して頂いた。
(キーワード:OCA貼付け)
16:05~16:55
「タッチパネルに利用されるハードコートフィルムについて」
(株)きもと 小山 益生
タッチパネルには、光学フィルムや導電性フィルムをはじめ多くの機能性フィルム材料・技術が使われている。本講演では、タッチパネルに用いられているフィルム材料について解説頂き、また高透明な光硬化ハードフィルムに関してご紹介頂いた。
(キーワード:ハードコート、抵抗膜式、静電容量式)
第196回フォトポリマー懇話会例会 報告
日 時 平成25年1月22日(火)13:00~17:00
場 所 大阪科学技術センター
主 題 『UV硬化システムにおけるトピックス』
UV硬化技術は今や表面加工の分野では不可欠な技術となっているが、このような状況の中で、今、話題となっている4件のUV硬化技術のトピックスについて紹介をお願いした。
第196回
講演会
①「UV硬化を活用した高精度・高耐久性スクリーン印刷版の開発と導電性回路形成」 大阪府立大学 白井 正充 氏
電子機器での導電性回路は微細化の一途をたどっている。近年、導電性回路形成において、インクジェット法やスクリーン印刷法が注目されている。スクリーン印刷法は、インクジェット法に比べて生産性やコスト面で利点がある。ここでは、サブ10μmサイズの導電性回路印刷が可能な、高精度・高耐久性スクリーン印刷製版の為のレジスト開発と、開発したスクリーン版用いた微細導電回路形成を紹介していただいた。この分野では使用するインクの開発が重要という課題も指摘された。
(キーワード:ポジ型化学増幅レジスト、UV硬化、スクリーン印刷版、高耐久性レジスト、回路印刷)
②「UV硬化における相分離を利用する機能性材料の開発」 東亞合成 佐々木 裕 氏
ポリマーブレンドのメゾスケール構造を制御して材料物性を設計するという手法は、一般に広く用いられている。光硬化型材料の物性設計においても、同様な考え方を応用することができる。例えば、広く利用されているウレタンアクリレートをマルチブロックポリマーと捉えてメゾスケール構造と硬化部物性との相関を議論することで、有用な設計指針を得ることができる。その他の相分離方法も交え、最近の検討内容について説明いただいた。
(キーワード:光硬化、相分離、ウレタンアクリレート、マルチブロックポリ マー、反応誘起相分離)
③ 「高耐候UV硬化型無機-有機ハイブリッド樹脂の設計とその用途展開」 DIC(株) 高田 泰廣 氏
UV硬化型樹脂の耐候性を向上させる方法として、ポリシロキサンとアクリル樹脂のハイブリッド化について言及するとともに、プラスチック用保護コートとして注目される機能であるハードコート性、紫外線遮蔽能、耐汚染性の付与について紹介いただいた。
(キーワード:紫外線硬化、ハイブリッド、高耐候性、ハードコート性、耐汚染性)
④ 「UV硬化時の硬化収縮低減に対する材料アプローチ」 大阪有機化学工業(株) 猿渡 欣幸 氏
紫外線硬化における硬化収縮は工業プロセスにおいて、様々な問題の原因となる。通常、硬化収縮を低減するためにはオリゴマーやフィラーを混ぜて対処するが、アクリルモノマーの構造に工夫を加えるアプローチを紹介された。その方法は
①デンドリマーアクリレート:アクリルユニット同士を高密度に集積させることで、硬化収縮を低減できる。②光分解型アクリレート:重合と同時に側鎖の一部が分解することで、硬化収縮をキャンセルできるというもので、興味深い報告であった。
(キーワード:UV硬化、硬化収縮、デンドリマーアクリレート、光分解型アクリレート)
参加者は講演者を含め29名で質疑応答も活発であった。

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平成23年度活動報告

総会・第185回講演会
日 時 平成23年4月14日(木)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
総 会 平成22年度事業報告および決算収支報告の承認。平成23年度事業計画および予算の決議。
第185回
講演会
『最先端フォトポリマー技術の展開』のテーマの下に次の3件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
13:30~14:30
「次世代リソグラフィ技術 EUVL元年」
兵庫県立大学 木下 博雄
今注目されている次世代リソグラフィ技術としてのEUVL技術について、ハードウェア、プロセスおよびマスク、レジスト材料をはじめとしてプロセスで使われる部材など技術開発の現状と課題を概説していただいた。(リソグラフィ、EUVL、多層膜、反射光学系、反射型マスク、レジスト)
14:40~15:40
「フラットパネルディスプレイの進化と3D技術」
パナソニック(株) 北川 雅俊
フラットパネルディスプレイ、特にプラズマディスプレイの技術動向と3D技術、そこに使用される機能性材料について、将来展望などを含めて概説していただいた。(フラットパネルディスプレイ、PDP、FPD、3D、高臨場感)
15:50~16:50
「有機薄膜デバイス、分子デバイス」
東洋大学 和田 恭雄
分子ナノエレクトロニクス研究について、有機薄膜デバイス、分子デバイスなどを中心に、最近の研究動向、将来展望などを含めて概説していただいた。(有機薄膜トランジスタ、単一分子デバイス、単一分子発光、単一分子トランジスタ、情報処理)
第186回講演会
日 時 平成23年6月8日(水)
場 所 東京理科大学 森戸記念館
  フォトポリマーにとって高感度化は永遠のテーマである。高感度化は開始剤や増感剤などの促進添加剤からのアプローチと、硬化反応の機構・構造・官能基などからのアプローチがある。今回は光開始過程における増感と硬化反応からの高感度化、及び製品における硬化促進についてご講演していただいた。(キーワード:増感剤、開始剤、UV硬化、高感度化、硬化促進)
  「増感と硬化促進」
第186回
講演会
13:00~13:50
「UV硬化における増感剤の利用」
BASFジャパン(株) 倉 久稔
光開始過程における増感の考え方、及びUV硬化反応で用いられる増感剤について概説していただいた。(キーワード:光重合開始剤、増感剤、ラジカル重合、カチオン重合、エネルギー移動、電子移動)
14:00~14:50
「UV硬化におけるチオール化合物の構造と硬化挙動及びその利用」
昭和電工(株) 室伏 克己
チオールエン反応による硬化について、光硬化性、安定性、密着強度など、その特性について概説していただいた。(キーワード:UV硬化、チオール、構造、硬化物特性、反応)
15:00~15:50
「ラジカル共重合反応を応用したフォトポリマーの高感度化」
綜研化学(株) 宇都宮 伸
硬化反応におけるフォトポリマーの高感度化として、ラジカル共重合反応を用いたアプローチについて概説していただいた。(キーワード:styryl、cross linker、oxime、sensitivity)
16:00~16:50
「LCDカラーフィルター用フォトポリマーの役割と材料設計」
新日鐵化学(株) 藤城 光一
製品における硬化促進としてLCD用カラーレジストならびにブラックレジストを例に、フォトポリマー設計の考え方を概説していただいた。(キーワード:LCD、カラーフィルター、フォトポリマー、ブラックマトリックス、耐熱性)
第21回フォトポリマー講習会
日 時 平成23年8月24日~25日
場 所 千葉大学 けやき会館
  基礎編、応用編に分けて2日間9件の講演が行われた。今年度から第1日目の最終プログラムとして統括討議と懇親会を加えた。懇親会では参加者と講師の先生方ほぼ全員が出席し、ビールを飲みながら和気藹々とディスカッションや名刺交換を行い、よい雰囲気であった。緊張がほぐれたためか2日目の講演では質疑応答が活発に行われた。内容はフォトポリマーを網羅し、且つ、応用編ではノウハウに関わるお話まであり本講習会に出席すればフォトポリマーの全貌が理解できる。
Ⅰ.基礎編 1. フォトポリマーの光化学 千葉大学 宮川 信一
フォトポリマーについて考えるためには、一般的な光化学の概念を基礎とするも、その他に有機化学や生化学の概念も必要となってくる。本講演では、光吸収や分子の励起、エネルギーや電子の移動、増感反応等基礎的な光化学と、それらを実際にフォトポリマーに活用した幾つかの具体例を解説していただいた。
2. フォトポリマーの材料設計 東京理科大学 有光 晃二
光化学的に酸や塩基を発生させ、これを触媒としてポリマーを変性させるフォトポリマーは高効率な感光材料として注目されている。これらの材料特性についてふれると同時に、演者らが開拓した新規な光塩基発生剤の特性とその利用について述べ、これらのフォトポリマーの感度を飛躍的に向上させることができる酸増殖剤や塩基増殖剤の特性とその利用法についても解説された。
3. ラジカルおよびカチオン光硬化型樹脂の概要と接着性 東亞合成(株) 稲田 和正
光硬化は最近の環境問題(VOC規制、省エネルギー志向)との関連で注目を浴びており、需要は今後益々増えるものと予想される。しかし、瞬時に硬化するため基材との接着性が問題となることが多い。本講演では、ラジカル系およびカチオン系光硬化型樹脂の概要、特徴を解説するとともに、接着性改善の具体例を紹介していただいた。
4. 光酸発生剤の基礎 BASFジャパン(株) 朝倉 敏景
フォトポリマーを設計、開発、使用する際に必要な特性評価を解説した。膜厚、光量の測定、過渡吸収と活性種の同定、化学反応速度論と量子収率の意味など本質的な問題を優しく解説。
Ⅱ.応用編 5.微細加工用レジスト (株)富士通研究所 野崎 耕司
光硬化を利用したコーティングはディスプレイや光学フィルムを製造する際に欠かせない技術である。重合活性基を有する様々なモノマーと、それらを編成したオリゴマー、光開始剤の特性と基本的な組み合わせ例を紹介していただいた。
6. コーティング分野における光重合性樹脂材料とその用途展開 大阪有機化学工業(株) 猿渡 欣幸
7. ウェハーコート用感光性耐熱材料 東レ(株) 富川 真佐夫
半導体の保護膜などに用いられている感光性耐熱材料について、ポリイミド系の材料を中心に概説した。ポリイミドの光化学、具体的な感光材料、次世代に向けた、低温硬化材料などへの取り組みを紹介していただいた。
8. フォトポリマーの特性評価 東京理科大学 山下 俊
フォトポリマーを設計、開発、使用するうえで、あるいはその材料を扱ううえで必要な特性評価を概説した。膜厚、光量の測定、フォトレジストのリソグラフィ特性、過渡吸収と活性種同定、膜の諸物性、化学反応速度論と量子収率まで広い範囲の項目をほぼ網羅していただいた。
9. UV硬化性樹脂の硬化挙動 (独)国立印刷局 内田 明日香
UV硬化性樹脂は、印刷インキや接着剤等、様々な用途で広く利用されており、これらの表面・界面における硬化性は製品の品質に大きな影響を及ぼす。本講演では分析機器を用いてUV硬化性樹脂の硬化反応挙動を化学的に評価した事例を紹介していただいた。
第188回講演会
日 時 平成23年10月13日(木)
場 所 東京理科大学 森戸記念館
  有機・無機ハイブリッドは、従来の材料設計の幅を大きく変化させてくれる物です。本材料系は、高機能化を通してアプリケーションの爆発的な増加を予感させる物でもあります。本講演は、「有機無機ハイブリッド材料への適用性」と題し、材料設計から用途展開に至るまで幅広い内容でご講演していただいた。(キーワード:有機、無機、ハイブリッド、分散、機能発現、硬化)
  「有機無機ハイブリッド材料への適用性」
第188回
講演会
13:10~14:00
「光硬化系有機無機ハイブリッド材料の開発と応用」
大阪市工研 松川 公洋
ナノメートルサイズで分散した有機無機ハイブリッドを合成するには、無機成分と有機成分を相互作用させる必要があり、そのためには無機成分に有機官能基を導入することが有効である。このようにして得られる有機無機ハイブリッドは透明であり、光学材料として注目されている。本講演では、光重合性基を持った無機成分(シルセスキオキサン、ゾル、ナノ粒子)を用いて、光ラジカル重合、光カチオン重合、エン-チオール反応による光架橋で有機成分と結合させた屈折率を制御した材料の開発と応用について述べていただいた。(キーワード: 有機無機ハイブリッド、光架橋、屈折率、シルセスキオキサン、ナノ粒子)
14:00~14:50
「新規シルセスキオキサンの創製と機能性コーティング材料への応用」
チッソ石油化学(株) 山廣 幹夫
パーフロロアルキル基を含有する不完全縮合型シルセスキオキサン化合物の選択的な合成に成功し、各種クロロシラン類との反応による官能基導入の簡便性と、有機-無機ナノハイブリッド材料の前駆体としての有用性について報告されている。本講演では、パーフルオロアルキル基含有シルセスキオキサンを用いた含フッ素系ハイブリッド高分子の合成とその特性について概観する。さらに表面・界面の特性技術を駆使して開発された各種精密塗工フィルムについても紹介していただいた。(キーワード:有機無機ハイブリッド、パーフルオロシルセスキオキサン、ハードコートフィルム)
15:00~15:50
「耐環境性を有する有機無機ハイブリッド材料の開発」
昭和電工(株) 山木 繁
近年、有機・無機ハイブリッド材料は光学特性の付与や機械特性改善の観点から盛んに研究されている。しかしながら、耐環境特性による報告例は少ない。そこで、表面修飾されたナノ粒子をハイブリッドさせた樹脂を用いて、光学特性と耐環境性の関係について検討を行った。屈折率の温度依存性ではハイブリッドによる効果が得られることがわかった。(キーワード:有機無機ハイブリッド材料、耐環境性、ナノテクノロジー)
15:50~16:40
「粘土ポリマーコンポジットフィルムの開発と応用」
産総研 蛯名 武雄
古来粘土ポリマーコンポジットフィルムは広く利用されてきたものであるが、最近の耐熱・ハイガスバリアに対するニーズから、その性能が見直され、日本を中心に開発が盛んである。我々はその中でも粘土の混合割合が高いフィルム(粘土膜)の、優れた耐熱性・ガスバリア性などに注目し、原料、素材、用途の開発を並行して行っている。本講演では、粘土膜の製法・特性・用途について概説するとともに、最近の展開について紹介し、将来像を展望していただいた。(キーワード:有機無機ハイブリッド、耐熱性、ガスバリア性、絶縁性、透明性、耐久性)
第189回講演会
日 時 平成23年12月8日(木)
場 所 DIC(株)本社 会議室
  『高分子の量子ビーム分析技術』のテーマの下に次の5件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
  「高分子の量子ビーム分析技術」
第189回
講演会
13:00~13:45
「X線位相トモグラフィ法による高分子材料解析」
東京大学 百生 敦
物体の内部を非破壊で観察する目的において、X線は大変魅力的である。弱吸収体に対して優れた感度を有するX線位相イメージング法を、高分子ブレンドの観察例を通じて紹介していただいた。
13:45~14:30
「電子線トモグラフィー法による高分子材料の三次元解析」
九州大学 陣内 浩司
透過型電子顕微鏡法(TEM)あるいは走査透過型電子顕微鏡法(STEM)によるトモグラフィ法を応用することで材料内部の構造をnmスケールで3次元可視化するのが、透過型電子線トモグラフィ法である。ABS樹脂等の観察例を解説し、今後の展開を解説していただいた。
14:30~15:15
「陽電子ビームを利用した高分子研究」
産総研 鈴木 良一
陽電子は、高分子の物性を左右する原子~ナノスケールの空隙を評価できるプローブである。本講演では、高強度高速陽電子ビーム技術の現状と高分子研究への応用について紹介していただいた。
15:20~16:05
「ナノアロイ技術による高機能材料の創出」
東レ(株) 小林 定之
ポリマーアロイをナノオーダーで分散構造を形成させるナノアロイ技術と良流動化技術が開発されている。これら技術および材料について解説していただいた。
16:05~16:50
「レジスト薄膜材料の陽電子、X線等の量子ビームによる分析」
大阪大学 田川 精一
EUVを用いたリソグラフィ技術を概説いただき、ここで使われている量子ビームを用いた分析の研究例、さらに今後必要となる解析手段について解説していただいた。
第190回講演会
日 時 平成24年1月24日(火)13:00~17:00
場 所 大阪科学技術センター405
第190回
講演会
最近、光塩基発生剤は基礎研究だけでなく実用化に向けた報告が見られるようになった。本講演会ではその現状について、基礎的立場からの開発状況、接着剤への応用、感光性ポリイミドへの応用、ポリマーの分解での応用について紹介していただいた。
テーマ : 光塩基発生剤の開発状況と実用化に向けて
13:00~13:55
「光塩基発生剤の開発と応用:最近の動向」
大阪府立大学 陶山 寛志
基礎的な立場から光塩基発生剤の開発状況について紹介された。光塩基発生剤から生成するアミンは第一級から第三級まで多種のアミンがあり、保護基をつけるもの、立体障害でブロックして塩基の作用を抑えるものなど多くの例が紹介された。また、その応用例についての紹介もあった
13:55~14:50
「光塩基発生剤を利用する接着剤の開発:α―シアノアクリレートおよびエポキシ樹脂系を中心に」
(株)スリーボンド 桐野 学 
UV硬化ではラジカル硬化が主流で、カチオン硬化も実用化だれている。しかし、アニオン硬化についてはまだ実用化の例は少ない。この講演ではすでに実用化されているシアノアクリレートのUV接着剤の意味と接着剤の長所欠点について紹介された。ついで新しく開発されたベンゾイルギ酸アミンイミドを光塩基発生剤とするチオール・エポキシ系の接着剤が紹介された。この塩基発生剤は光だけでなく、熱でもアミンを生成することから、デユアル硬化型の光塩基発生剤として利用できると考えられている。
15:00~15:55
「クマル酸アミド誘導体型塩基発生剤を利用した感光性ポリイミドの開発」
大日本印刷(株) 管家 了
感光性ポリイミドはすでに実用化されフォトレジストとして広く利用されている。しかし現在の感光性イミドはネガ型で、感光部位は重合型である。感光基の導入は化学結合するか、イオン結合するかなど手間がかかり改善が求められていた。一方光塩基発生剤はポリアミック酸のイミド化における触媒となることは知られていたが感度が低いのが難点であった。本報告ではクマル酸アミド誘導体を光塩基発生剤として利用し実用化できる感度を達成したことが報告された。この感光性ポリイミドは有機EL素子用の絶縁材料として優れていることも認められている。
15:55~16:50
「光塩基発生剤を利用するポリオレフィンスルフォンの分解」
東京理科大学 佐々木 健夫
ポリオレフインスルフォンは塩基が存在すると解重合をおこし分解する。本報告では光塩基発生剤の種類とポリオレフィンスルフォンの構造と分解性について紹介された。光塩基発生剤を添加するか、ポリマーに結合するかなど分解性を高めるは方法が報告された。この結果は剥離型接着剤に利用できる可能性が紹介された。
講演の
状況
参加者は講演者を含め29名で質疑応答も活発であり、光塩基発生剤の今後の展開に関心がある人が多いと感じられた。

会告

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平成22年度活動報告

総会・第179回講演会
日 時 平成22年4月15日(木)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館第一フォーラム
総 会 平成21年度事業報告および決算収支報告の承認。平成22年度事業計画および予算の決議。
第179回
講演会
『エレクトロニクスに展開する最先端フォトポリマーの技術』のテーマの下に次の3件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
13:30~14:30
「次世代リソグラフィ(EUV)とレジストの現状と課題」
大阪大学 田川精一
EUVリソグラフィとレジスト材料・プロセスの現状と課題について、概説していただいた。従来技術との違い、ここで使用される化学増幅方レジストの課題の整理、特にLERに対する考え方、将来のリソグラフィ技術への展開などを含む示唆深い講演であった。(レジスト、EUV、次世代リソグラフィ、RLSトレードオフ、化学増幅レジスト)
14:40~15:40
「次世代フラットディスプレイ材料」
JSR(株) 梶田 徹
FPD産業の成長戦略として①新たな成長エンジンの模索、②"規模の経済"に立脚したビジネスモデル再構築を技術的な側面から捉え、次世代フラットパネルとして要求される技術動向例を紹介していただいた。あわせてその技術動向に対応した次世代ふらっとぱねる材料についてLCD材料を中心に紹介された。(LED、有機EL、感光性材料、カラーフィルター、絶縁材料)
15:50~16:50
「LSIパッケージおよびSiP基板の開発状況」
イビデン(株) 神保直幸
LSI用実装技術のトレンドを概説していただくと共に10数年前から実用化された全プラスチックのMPU用高密度パッケージ基板、高密度多層敗戦基板、SiP基板、ごく最近の機能内蔵基板などに着いて詳しく解説していただいた。フオトポリマー材料の開発に示唆にとんだ内容であった。(多層配線、プリント基板、高密度、プラスティック、レジスト材料、電気特性)
第180回講演会
日 時 平成22年6月10日(木)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
第180回
講演会
光重合開始剤の基礎から応用まで、技術全般にわたり最先端の状況について講演をしていただいた。 ラジカル重合開始剤、カチオン系重合開始剤、リビング系重合開始剤、および増感剤についてそれぞれの実情をまとめてもらい、最後に白井先生の独自の研究を含めて総括を行った。
<テーマ>重合開始剤の最先端に関する講演
13:00~13:40
「高機能光開始系の開発」
・ロフィンダイマーの置換基効果と感度について
保土ヶ谷化学工業 樽本 直浩 氏
13:40~14:20
「スルホニウム塩系カチオン硬化剤の特長について」
・カチオン系開始剤の特性について
三新化学工業(株) 高下 勝滋
14:35~15:15
「リビング的光重合を用いた特異形状ポリマーの合成」
・リビング系開始剤の特徴について
神奈川大学 亀山 敦
15:15~15:55
「UV硬化における増感剤の最前線」
・種々の増感剤の構造と特徴について
川崎化成工業(株) 藤村 裕史
16:10~17:00
<研究の総括>「光重合開始剤の新展開~拡散・容出しにくい重合開始剤~」
・重合開始剤の総合的設計と高機能化について
大阪府立大学 白井 正充
第20回フォトポリマー講習会
日 時 平成22年8月18日(水)~19日(木)
場 所 東京理科大学 森戸記念館
  基礎編、応用編に分けて2日間9件の講演が行われた。今年度から第1日目の最終プログラムとして統括討議と懇親会を加えた。参加者全員と講師の先生全員(一名の先生がご所用で欠席)でビールを飲みながら和気藹々とディスカッションや名刺交換を行いよい雰囲気であった。緊張がほぐれたためか2日目の講演では質疑応答が活発に行われた。内容はフォトポリマーを網羅し、且つ、応用編ではノウハウに関わるお話まであり本講習会に出席すればフォトポリマーの全貌が理解できる。
Ⅰ.基礎編 1. フォトポリマーの光化学 千葉大学 高原 茂
フォトポリマーを使用する際、あるいは、フォトポリマーの分子設計・合成を行うにあたり必要な光化学(電子スペクトルの解析、増感剤の選択、他)の基礎知識の分かりやすい説明がおこなわれた。
2. フォトポリマーの材料設計 富士フィルム(株) 鈴木 博幸
多種のフォトポリマーが存在するが、それらの反応機構、発現する光物性変化、基本の光化学素反応などを分類、整理し全貌を分かり易く説明された。
3. ラジカルおよびカチオン 東亞合成(株) 稲田 和正
光硬化系はラジカル系とイオン系に大別され後者はカチオン系が主流である。それぞれ特長があるが、感度、酸素・水分阻害、物性、接着性、体積収縮性などの観点から詳細に説明された。
4. フォトポリマーの特性評価 東京理科大学 山下 俊
フォトポリマーを設計、開発、使用する際に必要な特性評価を解説した。膜厚、光量の測定、過渡吸収と活性種の同定、化学反応速度論と量子収率の意味など本質的な問題を優しく解説。
Ⅱ.応用編 5.光酸発生剤の基礎 BASFジャパン(株) 朝倉 敏景
光酸発生剤は光重合、化学増幅型レジスト、など広範な分野で使用され、用途によって要求される特性が異なってくる。本講演では光酸発生剤を分類し、反応、特性、組成物の性能を最適化する例などが解説された。
6. 微細加工用レジスト JSR(株) 島 基之
半導体用途のリソグラフィーレジストはデバイスの高集積化に伴い激しい技術革新が進んでいる。初期のゴム系ネガレジスト、ノボラックポジレジストから化学増幅レジストに至るまで、水銀灯のg-線から次世代のX線EUVと技術進歩を追って分かりやすく解説された。
7. コーティング分野における光重合性樹脂材料とその用途展開 東洋インキ製造(株) 白鳥 進
光硬化コーティングはエレクトロニクス、ディスプレイ、UVインキ、光学コーティング他広範な分野で利用されている。基本は光重合性モノマー、光重合性オリゴマー、開始剤の組み合わせであるが、必要な物性実現はこれらの組み合わせの技術である。さまざまな物性の出し方とブレンド方法についてノウハウを詳しく説明して頂いた。
8. ウェハーコート用感光性耐熱材料 東レ(株) 富川真佐夫
半導体の保護膜、層間絶縁膜として展開されている耐熱樹脂を感光性ポリイミドのネガ型、ポジ型について構造別に特性等を解説。低温イミド化、ポリベンゾオキサゾール材料についても解説された。
9. 企業における「研究・技術者」を考える
=運も実力のうちである=
信州大学名誉教授 谷口 彬雄
企業内の研究者・技術者のあるべき考え方を演者の日立中研および大学での体験から示した。自らの研究領域に熟知した研究者にとって他領域をみて新しいコンセプトのヒントが存在するはずである。境界領域にこそ宝物があり、サラリーマン意識を脱却し学問的な知識、考える力をもって蓄えておけば、しばしば訪れているチャンスを見逃すことはない。即ち「運」も実力のうちである。ひと言ひと言が心に染み入るお話でした。
見学会・第181回講演会
日 時 平成22年9月21日(火)14:00~17:00
場 所 東洋合成工業株式会社 感光材研究所
見学会 静寂な環境に恵まれた研究所を見学させていただいた。始めに研究所の概要の説明があり、その後実験室、オフィス等をご案内いただいた。最先端の感光材の研究の一端を間近に見ることにより、新鮮な感覚を養うことができた。
第181回
講演会
見学会に引き続いて、感光材のバイオ応用の詳細なご講演があった。参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
15:40~16:45
『研究紹介 : 感光材のバイオ応用』
東洋合成工業 池谷 武志
感光材のバイオ応用について、概説していただいた。基板上にパターン形成を行う場合とは異なり、生体に感光材が残存するという新しい技術開発の要点が理解できた。水溶性感光樹脂等を用いる。議論も活発で大変興味深いご講演だった。
第183回講演会
日 時 平成22年12月9日(木)13時~17時15分
場 所 DIC株式会社 本社DICビル17階大会議室
第183回
講演会
例年、12月の例会は有機エレクトロニクス材料研究会とフォトポリマー懇話会との合同講演会として開催している。したがって、平素フォトポリマーに接しておられない会員の方々にもフォトポリマーに馴染んで頂けるよう講演内容をアレンジした。フォトポリマーの全貌に続いて、設計、物性からみた最適利用法、超微細化工であるリソグラフィの極限を追及する最先端技術、各種電子材料への応用例と課題、などをそれぞれの分野で実戦されておられる方々に分かりやすくお話し頂いた。
<テーマ>フォトポリマーの現状と課題を見極める
13:00~13:40
「フォトポリマーの体系 : 化学組成と用途からの展望」
・光二量化型、ジアゾニウム塩、アジド化合物、ナフトキノンジアジド
東洋合成工業(株) 菊池 英夫
13:40~14:40
「フォトポリマーの設計・合成から仮題を見極める」
・感光剤、増感剤、光反応と熱反応、化学増幅と非化学増幅型、溶解性
大阪府立大学 白井 正充
14:30~15:20
「光硬化性樹脂の物性から最適利用法を見極める」
・レオロジー、付着、内部応力、硬度
日本ペイント(株) 上田 隆宣
16:20~17:15
「電子材料としてのフォトポリマーの現状と課題を見極める」
・LCD、カラーフィルター、フォトスペーサー配向処理
JSR(株) 熊野 厚司
第184回講演会
日 時 平成23年1月26日(水)
場 所 大阪科学技術センター
第184回
総会
<テーマ>UV硬化材料の光学材料への応用
13:00~13:45
「光材料用UV硬化樹脂の動向」
東亞合成(株) 佐内 康之
UV硬化材料の構造と屈折率について解説するとともにUV硬化時の黄変についても紹介
13:45~14:30
「光学系接着剤―UV-LEDの利用の現状と展望」
電気化学工業(株) 渡辺 淳
上記テーマの接着剤としてチオール・エンUV硬化系を利用するLED-UV硬化の特長が紹介された。
14:30~15:15
「高屈折率プラスチック用有機―無機ハイブリッドUVハードコートの原理と展望」
三井化学(株) 中山 徳夫
プラスチックレンズのハードコート用材料としてチオウレタン樹脂と無機物を利用することによって、 高屈折率化と高硬度化を実現、実用化における課題とその対策についても紹介。
15:25~16:10
「UV硬化を利用するモスアイフィルムの開発」
三菱レイヨン(株) 魚津 吉弘 氏
UV硬化型ナノインプリントを利用したモズアイフィルムの製造の原理と方法について解説。 大量生産ではアルミナナノホールアレイを用いたロール光インプリント法について紹介。
16:10~16:55
「レーザーで硬化するフォトポリマー : ホログラムメモリー用記録材料の開発と展望」
共栄社化学(株) 池田 順一
UV硬化によるナノゲル生成を利用する体積ホログラムおよびコリニアホログラムについて紹介。プロジェクトの成果と実用化についても紹介。
講演の
状況
5件のテーマともに質問が多く、時間が不足したのは残念であった。 

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平成21年度活動報告

総会・第173回講演会
日 時 4月14日(火)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
総 会 平成20年度事業報告および決算収支報告の承認。平成21年度事業計画および予算の決議。
第173回
講演会
『広がりゆく印刷とリソグラフィ技術』のテーマの下に次の4件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
1. 光触媒リソグラフィー法 東京大学 立間 徹
2. スクリーン印刷で10ミクロン微細配線 大阪府立大学 白井正充
3. 無処理サーマルCTP版材の開発 富士フィルム(株) 園川浩二
4. 全印刷法によるフレキシブル基板への有機トランジスタアレイの作製 産業技術総合研究所 八瀬清志
第174回講演会
日 時 6月9日(火)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
第174回
講演会
『フォトポリマーにおける新素材』のテーマの下に次の4件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
1. 光解重合性ポリオレフィンスルホン 東京理科大学 佐々木建夫
2. 光を用いた新たな二次元パターン形成 名古屋大学 関 隆弘
3. 反応現像画像形成を基盤とした感光性ポリイミドの新設計 横浜国立大学 大山俊幸
4. ビスマスの特性を活かした反応剤の設計と開発-光重合開始剤への展開- 京都大学 俣野善博
第26回国際フォトポリマーコンファレンス
日 時 6月30日(火)~7月3日(金)
場 所 千葉大学けやき会館
内 容 ニュースレターNo.44(2009年10月発行)を参照ください。
第19回フォトポリマー講習会
日 時 8月19日(水)~20日(木)
場 所 東京理科大学 森戸記念館
  基礎編、応用編に分けて2日間にわたり、次の9件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
Ⅰ.基礎編 1. フォトポリマーの光化学 千葉大学 高原 茂
フォトポリマーの光化学反応の基礎的な概念や現象についての講演で、光の伝播と吸収、励起状態からの反応と中間体、増感と消光など、歴史的な背景も含めて解説した。参考書の紹介など今後の勉強のやり方まで教示していただいた。
2. フォトポリマーの材料設計 富士フィルム(株) 鈴木博幸
光で何らかの物性変化を引き起こす光官能基を持った低分子・高分子の混合物がフォトポリマーである。これらの材料を構築するのに必要な機能、物性変化、そのための光反応形態について、具体例を交えて概説していただいた。
3. フォトポリマーの特性評価 東京理科大学 山下 俊
フォトポリマーの材料を構築するのにどのような機能を発現させたいのか、そのためにはどのような物性変化が必要か、さらにこれを実現するためどのような光反応形態を利用するのかがポイントである。本講演では材料設計に必要な光反応形態について具体例を交えて概説していただいた。
4. ラジカルおよびカチオン光硬化型樹脂の特徴とその応用 ダイセル化学工業(株) 三宅弘人
光により3次元架橋・硬化する光硬化性樹脂についての概説。光硬化は最近の環境問題(VOC規制、省エネルギー志向)との関連で注目を浴びている。硬化系はラジカル系とイオン系に大別され後者はカチオン系が主流でアニオン系は開発途上にある。酸素による硬化阻害、硬化収縮などの観点から最近の適用事例等を紹介していただいた。
Ⅱ.応用編 5.開始剤と増感剤の利用技術 チバジャパン 倉 久稔
前講演(No.4)の光硬化性樹脂は多くの場合モノマー、オリゴマーと光開始剤、増感剤の組み合わせである。光開始剤および増感剤をラジカル系、カチオン系から開発途上のアニオン系まで分類して説明した。これらは酸素阻害、硬化収縮、その他の実用特性でそれぞれ特徴があり用途により使い分けが必要であり、多くの材料が利用されているが、具体的な例をあげて解説していただいた。
6. 微細加工用レジスト JSR(株) 島 基之
半導体用途のフォトレジストはデバイスの高集積化に伴い技術革新が非常に激しい。初期のゴム系ネガレジスト、ノボラック系ポジレジストから化学増幅レジストに至るまで露光波長に合わせて、材料、反応、プロセス共に大きく変化してきた。レジスト材料の歴史から最新技術まで解説していただいた。
7. コーティング分野における光重合性樹脂材料とその用途展開 東洋インキ製造(株) 秦野 望
光硬化コーティングはエレクトロニクス、ディスプレイ、UVインキ、光学コーティング等の応用分野に広く展開している。光重合性モノマー(単~多官能アクリレート)、オリゴマー(ウレタン、ポリエステル、エポキシアクリレート)と開始剤の組み合わせであるが多方面の用途展開例を概説していただいた。
8. ウェハーコート用感光性耐熱材料 東レ(株) 富川真佐夫
半導体の保護膜として展開している感光性耐熱材料について概説した。ポリイミド系が中心であり、ポリイミドの化学、光反応、具体的な感光性材料について詳説し、次世代ポリイミドの低温硬化材料の開発、ポリベンゾオキサゾール(PBO)系のポジ型材料にも言及していただいた。
9. 企業における『研究・技術者』を考える 信州大学 谷口彬雄
企業内の研究者・技術者のあるべき姿、望ましい形を考えるきっかけ、方法を示した。それぞれが持っている知識と発想の関連、陥りやすい過ち等を講演者の企業内での経験と外からの観察をもとに解説し、研究開発とは、発明とは、目標等について考えを示された。
見学会・第175回講演会
日 時 9月14日(水)
見学先 三井化学㈱ 袖ヶ浦センター
第175回
講演会
ROMP触媒によるフォトレジスト材料の創出 三井化学(株) 須永忠弘
第176回講演会
日 時 10月14日(水)13:00~17:00
場 所 東京理科大学 森戸記念館
第176回
講演会
『先端レジスト技術』のテーマの下に次の4件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
1. Fleezing Free LLEプロセスの開発状況 東京応化工業(株) 中村 剛
2. ダブルパターニング向け材料開発 JSR(株) 杉田 光
3. EUV用分子レジスト
-Noria誘導体を中心に-
神奈川大学 西久保忠臣
4. EUVレジストにおける技術開発 富士フィルム(株) 椿 英明
第177回講演会
日 時 12月11日(金)13:00~17:00
場 所 DIC(株)本社ビル
第177回
講演会
『ナノインプリント技術の最前線』のテーマの下に次の5件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
1. ナノインプリント技術の最前線(総論) 早稲田大学 水野 潤
2. 大面積・連続転写技術の最新状況と応用 東芝機械(株) 小久保光典
3. UVインプリント技術の最新状況と応用 キャノンマーケティングジャパン 野口信夫
4. 大容量記録媒体への応用と今後の展望 (株)東芝 鎌田芳幸
5. シートナノインプリント技術の応用と今後の展望 (株)日立製作所 宮内昭浩
第178回講演会
日 時 1月27日(水)13:00~17:00
場 所 大阪科学技術センター
第178回
講演会
『光硬化技術:プロセスおよび評価の最新の動向』のテーマの下に次の5件の講演があり、詳細なご講演の後、参加者と質疑応答を実施し、理解を深めることができた。
1. UV硬化型テレケリックポリアクリレート (株)カネカ 河野良行
2. 高感度光塩基発生剤を用いた感光性ポリイミドの開発と実用化 大日本印刷(株) 福田俊治
3. 湿気硬化付与光硬化性樹脂~特徴と動向~ (株)スリーボンド 岩澤淳也
4. デュアル硬化(光と熱)の現状と展望 ナガセケムテックス(株) 飯田隆文
5. オプトエレクトロニクス分野で利用されるUV硬化樹脂とその評価 JSR(株) 高瀬英明


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活動計画

2024年度活動計画

2024年度総会

日 時
2024年4月25日(木)13:00~13:20

第258回講演会

【次世代リソグラフィ技術の展開】

日 時
2024年4月25日(木)13:30~17:00
会 場
オンライン開催(Zoom)
主担当
鴨志田技術事務所  鴨志田 洋一

第259回講演会

【パターニング技術の新展開】

日 時
2024年6月13日(木)13:00~17:00
会 場
オンライン開催(Zoom)
主担当
富士フイルム  土村 智孝

第34回フォトポリマー講習会

【基礎編・応用編】

日 時
2024年8月29日(木)~30日(金)9:00~17:30
会 場
オンライン開催(Zoom)
主担当
千葉大学名誉教授  高原 茂

第260回講演会・見学会

【太陽ホールディングス 見学会】

日 時
2024年9月  (日時未定) 
会 場
太陽ホールディングス関連施設
主担当
東レ  富川 真佐夫

第261回講演会

【ポリマー用の各種化学分析や構造解析】

日 時
2024年10月18日(金) 13:00~17:00
会 場
大阪公立大学文化交流センター (Zoomでのハイブリッド開催)
主担当
大阪公立大学  堀邊 英夫

第262回講演会(有機エレクトロニクス材料研究会との合同開催)

【フォトニック材料関連】

日 時
2024年12月12日(木) 13:00~17:00
会 場
オンライン開催(Zoom)
主担当
東レ  富川 真佐夫

その他の事業計画

  
○ ニュースレター発行 年4回